震災16年ブログ|神戸新聞

 

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 みなさんは七草がゆは食べましたか? 本当に寒い一日でしたね。

 編集局では「励まされた歌、曲」を募集していますが、今日は私自身の
エピソードを紹介します。

 まだ震災間もないころ、

 現在の社屋とは別の仮社屋で仕事をしていたころのことです。
 ビルのワンフロアで記者が入り乱れ、懸命に記事を書いていました。

 そんなとき、バイオリニストの古澤巌さんが編集局を訪ねてこられました。
神戸市内でのコンサートを前に、「本社社屋が倒壊しても、休まず新聞を
発刊し続ける神戸新聞のみなさんを励ましたい」と立ち寄ってくださったの
です。すると、あいさつもそこそこに、おもむろにバイオリンを取り出し、あ
の有名なサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を弾き始めました。

 フロアに響き渡る荘厳な響き...。ですが、あまりに突然のことで、その場に
居合わせた記者たちは半ばあっけにとられ、演奏が終わった後も拍手は「パラ、
パラ」。その後のスケジュールもあり、古澤さんはすぐに帰られました。
 周りにいた記者同士、顔を見合わせると一様に「今のは何だったんだ?!」と
いった表情。私も、まるで夢でも見ていたかのような不思議な気持ちになったの
を覚えています。

 それからというもの、「ツィゴイネルワイゼン」を耳にするたび、震災直後
の会社の様子を思い出します。取材手段もままならない中、無我夢中で街に出て
被災者のみなさんの声を伝えることに懸命だった当時の思いがよみがえります。

 ただ、あのとき、古澤さんにきちんとお礼ができなかったことは、今でも心残り
です。

 みなさんの歌や曲に関する思い出も、引き続きお待ちしています。

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コメント(2)

秋月 | 2011年1月 9日 08:32

歌に励まされたといえば、敗戦後の「リンゴの唄」と「青い山脈」でしょうね。個人的なことですが、かつてアメリカに留学していて孤独な生活を送っていました。たまたま日系人のお宅に呼ばれ、日本の童謡を聴かせていただいた時、涙が止まりませんでした。いかに自分が緊張して生活していたか、今でも懐かしく思い出されます。歌は癒しの力があるのですね。

秋月さま | 2011年1月19日 12:57

ブログへのコメント、ありがとうございます。そして、返信が大変遅くなりましたこと、お許しください。

「リンゴの唄」は、まさに同じ曲を挙げられた方がいました。胸を打つエピソードは、記事にも取り上げられました。

個人的な話ですが、私もアメリカに暮らしていたので、秋月さまのお気持ちがとてもよく分かります。私自身も、音楽に励まされたことが多々あります。

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