「敵を知る~経済安保とサイバーセキュリティ~」
日本プルーフポイント(株)チーフエバンジェリスト、警察大学校講師
増田 幸美 氏
神戸新聞情報文化懇話会の11月例会が27日、ANAクラウンプラザホテル神戸(中央区北野町1)であり、日本プルーフポイントのチーフエバンジェリストで警察大学校講師を務めた増田幸美さんが、「敵を知る~経済安保とサイバーセキュリティー」をテーマに講演しました。
国際的に増加傾向にあるサイバー攻撃を巡って増田さんは、日本で大手出版社などが実際に被害に遭い、データを人質に身代金を要求された事例を紹介しました。
特に、ハッカー集団は被害者のデータを暗号化するコンピューターウイルス「ランサムウエア」と呼ばれるソフトを使い、フィッシングメールを足掛かりにアカウント情報などを窃取するといい、警戒を促しました。
また転職などで人材の流動性が高まる中、内部の人間が営業秘密を流出させるリスクにも注意する必要があると語りました。
人工知能(AI)の進化に伴ってハッキング攻撃が高度化し、言語の壁で守られてきた日本にも人ごとではなくなったと分析。保護主義的な傾向が強まる世界情勢にあって、国家間の情報の奪い合いに巻き込まれるリスクはいっそう高まると報告しました。
その上で、中国と米国との間で板挟みになる日本は脅威に立たされており、会社の情報分野の管理責任者は情報機密保護について在り方を見つめ直すべきと呼びかけました。
犯罪の複雑化を踏まえて「情報防衛には身を引き締めて対応してほしい」と警鐘を鳴らしました。
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