「神戸の洋食史・洋菓子史 世界に発信を~多文化共生の時代から多文化共創の時代へ」
武庫川女子大学生活環境学部教授
三宅 正弘 氏
神戸新聞情報文化懇話会の10月例会が28日、神戸メリケンパークオリエンタルホテル(中央区)であり、武庫川女子大学生活環境学部の三宅正弘教授が、「神戸の洋食史・洋菓子史 世界に発信を~多文化共生の時代から多文化共創の時代へ」と題して講演しました。
トアロード北端にあったトアホテルについて「1908年に米、英、ドイツ、フランス人の出資でできた。国際都市を象徴する痕跡」と強調。ユニークな点として、総支配人がスイス人、総料理長はフランス人、日本に西洋料理を広めた五百木(いおき)熊吉ら多彩な国の一流シェフが腕を振るったことを紹介しました。
オリエンタルホテルなど神戸のホテルの厨房(ちゅうぼう)について「欧米、アジア人の料理人が集結した。仕事の合間には野球をして交流を深めた」と多文化が混じり合う場だったことを解説。ロシア革命で亡命してきたロシア人らが加わり、さらに音楽や芸術を伝えたほか、モロゾフがロシア菓子店を開いたことなどを指摘しました。
三宅教授は「洋菓子文化も欧州の多彩な伝統が溶け込んできた。根底には神戸の外国人の共創があり、その影響で深みを増した」と話しました。
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