「播磨国と神戸について」
東京大学史料編纂所教授
本郷 和人 氏
神戸新聞情報文化懇話会の5月例会が27日、中央区波止場町のホテルオークラ神戸で開かれ、歴史学者で東京大学史料編纂所教授の本郷和人さん(63)が「播磨国と神戸について」と題して講演しました。
本郷さんは東京大文学部卒で、日本中世史を学び、2012年から現職。NHK大河ドラマ「平清盛」のほか、ドラマやアニメの時代考証に携わりました。
本郷さんは、平安時代の播磨国は「国の中で最上に位置づけられる大国だった」とし、朝廷内で権力を得た平清盛や父・忠盛が播磨守を務めたと解説しました。
その後、清盛は福原(神戸市)に本拠地を置き、港を整備して日宋貿易を推進。「大量の宋銭が日本に広まり、列島の貨幣経済が確立した」と評価しました。また、清盛が武家のトップとして独裁政治を行ったことから、「初の武家政権が生まれ、『福原幕府』ができたと考えても良いと思う」と主張しました。
平家滅亡とともに「港としての福原の役割は低下したが、幕末の日米修好通商条約で再び繁栄に向かった」と本郷さん。「福原は武家、経済の都として一時期強烈な光を放ち、明治になって息を吹き返した神戸港が今に至った」と締めくくりました。
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