「アジア太平洋情勢と日本の対応」
外交官、前駐オーストラリア特命全権大使
山上 信吾 氏
神戸新聞情報文化懇話会の9月例会が21日、神戸市中央区の神戸メリケンパークオリエンタルホテルであり、外交官で前駐オーストラリア特命全権大使の山上信吾さん(62)が「アジア太平洋情勢と日本の対応」と題して講演しました。
山上さんは東京大学法学部を卒業後の1984年に外務省に入省。ワシントンや香港での在外勤務を経て、茨城県警本部警務部長や在英国日本国大使館公使、国際情報統括官、経済局長などを歴任しました。2020年12月から23年4月まで駐豪日本大使を務めした。
山上さんはまず、日本が輸入する石炭の約7割、砂糖の約9割をオーストラリア産に頼ると指摘。加えて同国の在留邦人は10万人に迫る勢いで、近く世界2位となる可能性に言及しました。
また豪からの訪日客は1回の旅行で1人当たり24万円ほど消費、平均13日間滞在する―とのデータも提示。「神戸を国際的観光地にするため、どの国からどれだけの訪日客を受け入れるかという点に戦略があっていい」と話しました。
豪国内では「アジアの最良の友人」として4割以上が日本を選んだといいます。中国による経済的威圧などで、対中国への姿勢が硬化したことが背景にあるとし、「アジア太平洋の平和と繁栄を維持するには、軍事面だけでなく、ビジネスなどでりりしい日本人の姿を見せるべき」と強調しました
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