「経済安全保障とは何か」
前国家安全保障局長
北村 滋 氏
神戸新聞情報文化懇話会の8月例会が26日、神戸市中央区のホテルオークラ神戸であり、前国家安全保障局長の北村滋(しげる)さんが「経済安全保障とは何か」と題して講演しました。
北村さんは1956年、東京都生まれ。東大法学部を卒業後、警察庁に入り、兵庫県警本部長などを歴任しました。内閣情報官を長年務め、2019年、国家安全保障局長・内閣特別顧問に就任し、経済安全保障政策を推進しました。
北村さんはロシアのウクライナ侵攻も例に挙げながら、対立者間の戦闘は、これまでの陸・海・空にとどまらず、宇宙やサイバー空間など科学技術に由来する場合が増えたと指摘。そのため、先端技術の流出防止など経済安全保障の重要性が高まっていると説きました。
また近年、米国と覇権争いを続ける中国について「軍事力を使わず、経済・技術的手法で勝つことを良しとしている」と説明。米国の同盟国、日本で今年、経済安全保障推進法が成立したことは国際秩序を維持するためにも歓迎すべきだとしました。
同法に基づき、技術情報の管理や重要技術の育成、特許の非公開などにこれまで以上に力を入れることが重要だと指摘しました。
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