「人新世の資本論 気候崩壊と脱成長」
大阪市立大学大学院経済学研究科准教授
斎藤 幸平 氏
神戸新聞情報文化懇話会の11月例会が30日、神戸市中央区の神戸メリケンパークオリエンタルホテルであり、大阪市立大大学院准教授の斎藤幸平さんが「人新世(ひとしんせい)の資本論 気候崩壊と脱成長」と題して講演しました。
斎藤さんは1987年、東京都生まれで、ドイツのベルリン・フンボルト大哲学科博士課程を修了。専門は経済思想や社会思想で、環境危機に対する解決策のヒントを提示した著書「人新世の『資本論』」はベストセラーとなっています。
「人新世」とは、人類の経済活動が地球を破壊し尽くす新たな年代を指します。斎藤さんは、資本主義の進展に伴う気候崩壊と経済格差の二つの危機を指摘。双方への対応が遅れる日本で、持続可能な開発目標(SDGs)の重要性が叫ばれるが、問題の本質から目を背ける状況を踏まえて「(SDGsの達成努力は)有害でさえある」と断じました。
自由を信条とする資本主義下でも、環境負荷を過剰に強いる活動には一定の規制が必要と説明。また、経済成長と脱炭素社会実現の両立は難しいとし、「脱成長」との新たな価値観を浸透させることが重要だと強調しました。
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