「ミャンマー政変が突きつける日本外交の課題」
京都大学東南アジア地域研究研究所准教授
中西 嘉宏 氏
神戸新聞情報文化懇話会の7月例会が30日、神戸市中央区のホテルオークラ神戸であり、京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏(よしひろ)准教授が「ミャンマー政変が突きつける日本外交の課題」をテーマに講演しました。
中西氏は1977年生まれ、尼崎市の出身で、東北大法学部を卒業後、京都大アジア・アフリカ地域研究研究科を修了。東南アジア地域研究や比較政治学が専門で、ミャンマーにも知人が多数いるといいます。
今年2月、民主派の政権幹部が軍に拘束された政変の背景について、軍の利権が民主化勢力に奪われた▽中国が裏で糸を引いていた―などの説を否定。「(民主派と軍の)国家観、イデオロギーの違いが最大の原因」であり、2020年の選挙で民主派が大勝し対立が決定的になったと指摘しました。
また、市民の抵抗が各地で続き、新型コロナウイルスによる医療崩壊や経済停滞という危機的な状況に触れ、当面は混迷が続く可能性が高いと説明。日本政府は一方的に制裁を課すなどの手段に出ず、多方面の関係者との接触を試みるべきと指摘した。同時に、しがらみのない市民レベルでの人道支援の重要性も訴えました。
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