「『はやぶさ2』が舞い降りた日」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授
的川 泰宣 氏
神戸新聞情報文化懇話会の5月例会が31日、神戸市中央区のホテルオークラ神戸であり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授の的川泰宣(まとがわやすのり)さんが、2機の小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」について講演しました。
的川さんは1942年、広島県呉市生まれ。東京大学大学院を修了後、宇宙科学研究所教授やJAXA執行役を歴任しました。この間、日本航空宇宙学会の会長なども務め、宇宙や科学に関する著書が多数あります。
的川さんは、80年代に始まった「はやぶさ」の計画について「世界初の技術を数多く採用しなければならず、無謀と言われた」と振り返りました。金銭的余裕がなく、研究者たちが町工場を走り回って多くの部品を調達したエピソードを紹介し、「足で稼いだ分、われわれは探査機の隅々まで知り尽くしていた」と話しました。
「はやぶさ2」の観測対象となった小惑星は着陸困難で、10万回のシミュレーションを重ねて惑星深部の試料を採取するなど多くの成果を挙げました。「太陽系の始まりや生物の誕生について手掛かりが得られるかもしれない」と今後への期待をにじませました。
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