「疫病・災害と信仰-妖怪論の観点からー」
国際日本文化研究センター前所長
小松 和彦 氏
神戸新聞情報文化懇話会の10月例会が27日、神戸市中央区のホテルオークラ神戸であり、国際日本文化研究センター(日文研)前所長の小松和彦さん=猪名川町=が「疫病・災害と信仰―妖怪論の観点から―」と題して講演しました。
小松さんは1947年、東京都生まれ。東京都立大大学院で学び、大阪大教授などを経て、今年3月まで日文研所長を務めた。民俗学と文化人類学を専攻し、妖怪をテーマにした著書が多数あります。
講演では、嵐を大蛇が起こしたり、病を鬼になぞらえたりしている絵画資料を紹介。日本には自然災害や疫病の際、「原因となる目に見えないものを形にし、それを絵にする特有の文化がある」と指摘しました。
コロナ禍で注目を集めた妖怪「アマビエ」についても、瓦版に描かれた江戸末期の1846(弘化3)年は、天災や凶作で一揆が各地で起きていたと説明。前後して、災害などを予言する妖怪(予言獣)の絵が多数描かれており、アマビエを予言獣の一つだとしました。
アマビエのイラスト投稿が流行した背景に、見た目のかわいさを挙げ、「親しみやすかったのだろう。これまでの歴史と比べながら今回のブームについて考えると興味深い」と話しました。
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