「高齢社会を豊かにする福祉AI技術
―ゴジラ音楽から緊急地震速報―」
東京大学名誉教授、北海道大学名誉教授
伊福部 達(いふくべ・とおる)氏
神戸新聞情報文化懇話会の7月例会が24日、神戸市中央区の神戸メリケンパークオリエンタルホテルでありました。東京大名誉教授の伊福部達(とおる)さんが「高齢社会を豊かにする福祉AI(人工知能)技術―ゴジラ音楽から緊急地震速報」と題して講演されました。
伊福部さんは約50年前から失われた感覚や身体機能を技術で支援する「福祉工学」の研究を続け、人工内耳や人工声帯、文字を読み上げるスクリーンリーダーなどの開発に携わりました。
緊急地震速報のチャイムも制作。映画「ゴジラ」の音楽を担当した作曲家で叔父の故伊福部昭さんによるメロディーを基に、緊張感を与え、聴覚に障害があっても聴き取れる音を抽出した。「人を奮い立たせるアイヌ音楽のリズムも取り入れた。犬が逃げ回るという報告もあり、脳の潜在感覚に訴える音と言える」と強調しました。
AIを使った福祉技術の開発にも取り組む。シニア層それぞれの経験や知識、技能を集約し、1人の仮想の労働者として再構築する「高齢者クラウド」を企業と開発。「高齢者の社会参加が進み、人手不足も解消できる。世界各地で高齢化が進む中、日本の輸出産業としてビジネスチャンスになる可能性がある」と締めくくりました。
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