過去の例会について
2019年5月例会

作家
大下 英治(おおした・えいじ)さん
「田中角栄と安倍晋三~強さと問題点~」

 神戸新聞情報文化懇話会の5月例会が21日、神戸市中央区のANAクラウンプラザホテル神戸でありました。政治家に迫った著述が多い作家の大下英治さんが「田中角栄と安倍晋三 強さと問題点」と題し講演しました。
 大下さんは1944年広島県生まれ。週刊文春の記者を経て作家として独立。著書に安倍官邸『権力』の正体」(KADOKAWA)などがあります。
 第1次安倍政権の退陣から再起し、長期政権を築いた安倍首相を、大下さんは「一度失敗し、今の政治家で一番執念、エネルギーがある」と評しました。ただ、森友学園への国有地売却に伴う財務省の文書改ざんを例に、強すぎる官邸が「官僚に惨めったらしい忖度(そんたく)をさせるほど、霞が関を押さえ込んでいる」と指摘しました。
 また、森友問題で引責しなかった麻生財務相を引き合いに田中元首相の逸話を紹介。「角さんは官僚に『伸び伸びやってくれ、責任は私が取る』と言った。頭のいい人は失敗した人に冷たいが、角さんには頭の良さと人間への愛情がどちらもあった」と振り返りました。最近の政治家を「小粒」と嘆き、「賞味期限の短い政治家ばかりになると、本を書く対象がいなくなる」と話しました。

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