「習近平体制と
日中関係の行方」
前駐中国全権大使
丹羽宇一郎 氏
神戸新聞情報文化懇話会の1月例会は13日、神戸市中央区のホテルオークラ神戸で開催。前駐中国全権大使で日中友好協会会長の丹羽宇一郎(にわ ういちろう)さんに「習近平体制と日中関係の行方」と題してご講演いただきました。
名古屋大学卒業後、伊藤忠商事で主に食料部門を担当した丹羽さん。同社社長、会長を経て、2010~12年に駐中国全権大使を務め、緊張化する日中関係の対応に尽力されました。
丹羽さんは21世紀の国際情勢の特徴として、「米国が世界の覇権を失いつつあり、軍事的にも経済的にも中国抜きでは何もまとまらなくなっている」と指摘し、「この変化を無視し、経験で判断してはいけない」と話されました。
現在、日本は名目国内総生産(GDP)、貿易総額、科学者数などで中国と2倍以上の差がついており、「欧米の政府は既に習近平との関係を深めつつある」と米国重視の日本を疑問視。「日本は独自に中国や韓国との関係を深め、北朝鮮問題などに取り組む段階だ」とし、また今後、中国との差が広がるとの見通しから、「日本は教育に存分に投資し、存在感を示すしかない」と締めくくりました。
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