物理の冒険、どこまでも
交通流から経済の変動まで
知的人材ネットワークあいんしゅたいん
理事長 坂東昌子氏
神戸新聞情報文化懇話会の11月例会が14日、中央区北野町1のANAクラウンプラザホテル神戸で開かれ、NPO法人「知的人材ネットワークあいんしゅたいん」理事長の坂東昌子さんが「物理の冒険、どこまでも―交通流から経済の変動まで」と題して講演した。
坂東さんは1937年生まれ。京都大学の湯川秀樹研究室で学び、同大大学院博士課程修了。素粒子論と非線形物理(交通流理論、経済物理学)が専門で、愛知大学で教えた。2008年から同大学名誉教授。
坂東さんは、物質に質量を与える「ヒッグス粒子」を7月に欧州合同原子核研究所(CERN)が発見した世界的ニュースに触れ、「CERNには世界各国の研究者が参加している。国境を超えた対等、平等の協力による成果ということが大切だ」と指摘した。
また、高速道路で生じる自然渋滞を物理学理論で説明し、実際の実験で証明した様子を映像などで紹介。経済分野でもGDPと景況指数の関係性が同様の理論で説明できることを解説した。「実践的な課題は科学者の見る目を変え、視野が広がる」と、自身の研究の歩みを振り返った。
(2012年11月15日 神戸新聞掲載)
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