神戸新聞情報文化懇話会の３月例会が１５日、神戸市中央区波止場町のホテルオークラ神戸であり、大和ハウス工業会長兼最高経営責任者（ＣＥＯ）の樋口武男さん（７３）が「夢を抱いてチャレンジする熱き心」と題して講演した。
　
　尼崎市生まれの樋口さんは関西学院大法学部を卒業し、１９６３年に大和ハウスに入社。９３年にグループ会社の大和団地社長に就き、２００１年に大和ハウス社長に就任した。０４年から現職。
　
　樋口さんは、大和ハウスを一代で１兆円企業に育て上げた創業者の故石橋信夫氏から教わった企業経営の心得を披露。住宅や流通店舗、建築など同社の多岐にわたる事業は「全て、現場がくれた知恵に基づいている」とし、「創業者は『何をしたらもうかるか』ではなく、『どんな商品が世の中の役に立つのか』を考えていた」と述べた。
　
　企業を永続させるには「人材育成が大事」と強調。権限を託すに足りる意欲的な人間を見つけ、育てることが重要で、そのためには「多くの人を見ないといけない」と話した。また、上に立つ者に必要な品性として「公平公正、無私無欲、ロマン、使命感」の四つを挙げた。
　
（2012年３月16日　神戸新聞掲載）