11月20日に初開催される神戸マラソンを盛り上げようと、記念シンポジウム「マラソンが地域をつなぐ」(神戸新聞社、神戸新聞情報文化懇話会主催)が17日、神戸市中央区のホテルオークラ神戸であった。明石市出身でバルセロナ五輪代表の小鴨由水さん(39)はゲストランナーとして参加することを表明した。
大会テーマは「感謝と友情」。阪神・淡路大震災時の恩返しとして全国からのランナーをもてなし、東日本の被災地へのチャリティーを募るなどさまざまな企画が練られている。
シンポジウムでは、コース策定にかかわった山口泰雄・神戸大大学院教授が「ランナー、ボランティア、観客が一体となって楽しむ市民マラソンは地域活性化の効果が大きい」と期待を語った。
小鴨さんは「地元・明石の友人にも当選して出場する人が多い。一緒に走るのが楽しみ」と話し、市民ランナーには「暑さを避けて練習し、本番まで体調を維持して」と助言した。
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神戸マラソン記念シンポジウム「マラソンが地域をつなぐ」は神戸新聞情報文化懇話会の設立25周年記念事業。著名講師を招く月例会としても第300回の節目を迎え、会員のほか一般聴講者を加えた約300人が神戸マラソンを運営面で支える関係者らの思いに耳を傾けた。
パネリストの主な発言は次の通り。
山口泰雄・神戸大大学院教授 「ここ数年は第2次マラソンブーム。健康志向が高まり今年度は神戸、大阪、京都の3都でフルマラソンが初開催される。競合して張り合うのではなくて、都市の魅力や特長を生かして地域活性化につなげたい」
明石市出身で元バルセロナ五輪代表の小鴨由水さん 「実業団まで記録だけを求めて走ってきたが、五輪後に目標を失った。今は再び子育てをしながら走るのが楽しい。マラソンは一人でもチームでもできるのが魅力だと思う。神戸では友人と走るのが楽しみです」
東京マラソン財団事務局の早崎道晴前次長 「都知事が『銀座は必ずコースに入れろ』と言うので交通規制が大変だった。制限時間が7時間だと完走率は97%。交通で不便を掛ける分、一部の愛好家だけではなく、誰でも参加できるという公益性が必要だった」
アスリートネットワーク事務局の高井聡次長 「マラソンを『しんどいだけ』と思うが見るのは好きなのが日本人。健康のために走り始めると楽しくなり、非日常感を求めて大会にも出る。支えるボランティアもコミュニティーが広がる楽しさがある」
スポーツクラブ21ひょうご神戸地区連絡協議会の中田進会長 「阪神・淡路大震災の復興のさなかにクラブができた。地域住民が運営することでつながりが生まれる。東北の復興にも参考になるのでは。神戸マラソンでは太鼓やチアなどでランナーを応援したい」
神戸マラソン実行委員会の植月正章会長 「16年前に全国からの支援で美しい神戸、兵庫がよみがえった。感謝を示すイベントとしてマラソンほど大人数が参加できるものはない。ランナーが実際に自分の目で、自分の足で神戸の復興した街並みを確認してもらえる。安全安心で事故がないレースを目指したい」