極地観測の意義について
元国立極地研究所長の
渡辺興亜さん講演
探検の歴史も紹介
神戸新聞情報文化懇話会の5月例会が17日、神戸市中央区の神戸メリケンパークオリエンタルホテルであり、元国立極地研究所長の渡辺興亜(おきつぐ)さんが「南北両極地 自然の今」と題し、講演した。
同研究所北極圏環境研究センター長などを経て、2000~04年まで同研究所長。この間、南極観測にアルゼンチン隊で1回、日本隊で4回参加し、北極圏の氷河調査も手掛けた。
講演では、1594年のバレンツ海発見、1820年の南極大陸発見など、北極と南極探検の歴史について、日本の南極観測にも触れながら紹介した。
「北極圏は南極圏に比べて地球温暖化の影響を受けやすく、氷が溶けて減ってきた」と説明。北極圏は石油などの天然資源が豊富とされ、ロシアが領有権を主張し始めるなど「氷の減少で、各国が注目する海域になっている」と指摘した。
また、南極の氷を調べることで、過去何十万年という大気の変化が分かるといい「将来の気候変動予測に役立つ可能性がある」と南極観測の意義を強調した。
(2011年5月18日 神戸新聞掲載)
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