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 兵庫県NIE(教育に新聞を)推進協議会は、2026年度のNIE実践指定校を募っています。対象は県内の国公私立小・中・高校と特別支援学校で、学校長の承認が必要です。

 25年度の指定校は26校で、このうち継続校を除く20校程度を募集します。応募多数の場合は地域や校種を考慮して選考します。

 日本新聞協会と連携した取り組みで、指定期間は原則2年間。各実践指定校には、県内で発行されている日刊6新聞を各1部ずつ4カ月、無償で提供します。子ども新聞(小中学校の場合)や英字新聞へ変更できます。また、記者を無償で派遣します。新聞を使った探究学習、主権者教育、平和学習、政治の解説、新聞の作り方、メディアリテラシーなど、ご希望に応じて講演などを行います。

 指定校は年度末、同協議会が発行する実践報告書(A4判4㌻)を作成していただきます。

 問い合わせは兵庫県NIE推進協議会事務局☎078・362・7054

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                 2026年度NIE実践校募集チラシ・申込用紙 .pdf

 ※10月3日の洲本高校の公開授業を担当した大石昇平教諭に、ねらいや成果、課題をご寄稿いただきました。

 今回の公開授業では、洲本市の姉妹都市である米ハワイのヒロ高校生が来校するタイミングに合わせ、ハワイと日本の新聞を介して両国の現状を理解し、両国の関係を考察する授業を計画した。

 ◆ねらい

 今回の授業のねらいとして、①新聞を介した立場の異なる人々との交流②両国の新聞の違いに気付く③新聞から両国の現状を知る④他国の新聞に登場する自国の情報を比較し合うことで、両国の関係性を考察するーという4点を設定していた。特に重視していたのは、④の関係性に関する考察である。他国の新聞は、自国のどのニュースをどれくらい報道しているのか? 他国の新聞を通じて自国を客観視すると共に、相手国にとって自国がどのような存在であるのかを生徒に考えてもらうため、この問いを設定した。 

 ◆内容

 洲本高校3年生41人とヒロ高校生10人が参加。授業では、洲本高校生3~5人の班にヒロ高校生1~2人の班を作り、グループワークの形をとった。ヒロ高校生はほとんど日本語をしゃべることができないため、生徒も授業者も英語でコミュニケーションをとりながら授業を進めた。具体的な授業計画は次のようなものであった。

 Ⅰ自己紹介

 Ⅱ両国の新聞から最大数を探そう(ねらい①・②)

 Ⅲ新聞を使って"Hot News"(話題のニュース)を紹介しよう(ねらい③)

 Ⅳ「アメリカの新聞に出てくる日本」・「日本の新聞に出てくるアメリカを探そう」(ねらい④)

 Ⅱについては、生徒の緊張を解くために、10秒間で紙面から最大数を探すゲームを設定した。言語の壁があっても、数字を判断することは可能であると考え、生徒に取り組んでもらった。

 Ⅲの"Hot News"紹介では、洲本高校生からは万博に関するニュースや、ヒロ高校生からはアメリカ政府の一部閉鎖に向かう動きなどが紹介された。

Ⅳの両国の新聞から関係性を考えるワークでは、日本の新聞にはアメリカの記事がたくさん見つかったが、アメリカの新聞からはほとんど日本に関する記事を見つけることができなかった。このようなワークを通して生徒のまとめには、「日本へのアメリカの影響の大きさを感じる」「アメリカの存在感が大きい」「日本の片思い(アメリカへの)」といった内容が並んだ。 

◆成果と課題

 言語の壁がありながらも、 生徒同士の交流ができ、日米間の新聞比較から考察できたことで、主なねらいは達成できたと感じた。ただし、その後の研究協議では、新聞の構成自体の比較といった大きな視点から比較すれば、両国の新聞の違いがさらに際立ったのではないかといった意見をいただいた。また、Ⅳでの考察において、「その違いはなぜ起こるのか?」といった問いに取り組めれば、両国の関係性に関する考察がさらに深まるのではないかという指摘もいただいた。

 洲本高校生徒のアンケートからは、授業への興味・理解ともにポジティブな回答をえることができた。また、何より、「世の中を知ることへの意識が高まりましたか?」という問いについては80%以上、「新聞を読むことへの意識は高まりましたか?」という問いについては、70%以上の生徒が肯定的に答えた。ヒロ高校生との交流を通じて、新聞を読むこと、世の中を知ることについての意識が高まったように思われる。

 今後も、新聞教材を活用し、生徒の世界が広がるような取り組みを実践していきたい。

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 主権者教育の出前授業が、東灘区の神戸大学付属中等教育学校であった。高校1年生に当たる4年生約120人が選挙のシミュレーションゲームなどを通じて1票の重さを学んだ。

 同校は兵庫県NIE推進協議会の独自認定校。出前授業では、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 ゲームは「大学の学費無償化」について、生徒5人が18歳の女子高校生や65歳の会社社長になりきり、賛否を表明した。女子高校生の無償化の訴えが若い有権者の共感を集めるという想定で、生徒らは選挙で吹く「風」を実感した。

 交流サイト(SNS)が台頭する中、神戸新聞社が7月の参院選で情報の正確性を検証するファクトチェックに取り組んだことも説明。三好アドバイザーは「さまざまな政治課題を自分事として捉え、1票の力を信じて投票しよう」と呼びかけた。

 水谷丞さん(15)は「シルバー世代の投票率の高さを再認識した。18歳になったら必ず選挙に行く」と話した。=10月21日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]ゲーム形式で選挙の仕組みを学ぶ生徒ら=神戸大学付属中等教育学校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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神戸新聞元記者が講師に 

「メディアリテラシー」(情報を読み解く力)をテーマにした出前授業が10月8日、芦屋市上宮川町のクラーク記念国際高校クラークスマート芦屋であった。県NIE推進協議会の網麻子事務局長が講師を務め、21人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。「新聞を多くの人に読んでもらうにはどうしたらよいか」について、生徒らが授業で研究している。

 網事務局長は、新聞は一覧性や網羅性が特長で「記者らがその時点でできる限り事実確認した正確なニュースを載せている」と説明した。交流サイト(SNS)やインターネット検索は好みの情報や自分の考えに近い情報が集まる傾向があると解説。「新聞やテレビなど複数の情報源を持とう。情報の発信源を確認しよう」と呼びかけた。

 新聞を使ったワークでは、生徒らは興味、関心のある記事を選び、感想や意見などを活発に話し合った。桑本愛実(まなみ)さん(16)は「普段ネットでニュースを見ていたが、家にある中高生新聞を読んでみようと思った。複数の情報源を意識し、視野を広げていきたい」と話した。=10月16日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明1] 新聞を広げ、興味、関心のあるニュースを探す生徒ら=芦屋市上宮川町

[写真説明2] 講義をする網麻子・兵庫県NIE推進協議会事務局長

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 県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で人事異動があり、朝日新聞神戸総局長が山崎直純さんから岡本玄さんに、産経新聞神戸総局長が丸橋茂幸さんから粂(くめ)博之さんに交代した。人となりを自己紹介でー。

朝日新聞神戸総局長 岡本玄

「分からない」と向き合い、突き詰める

 9月1日付で着任しました。中国新聞社で地方経済や広島県北の伝統芸能「神楽」などの取材を手がけた後、朝日新聞社に移りました。主に裁判の当事者や被爆者の方々を取材し、法律や人権の課題に向き合ってきました。

 新聞記者を志した原点は、中学校の社会科の授業です。新聞記事を切り抜いて意見を書くと、先生がコメントを返してくれました。興味の有無にかかわらず、新聞をめくることが「新たな発見」につながり、社会課題を自分事として考えるようになりました。新聞を教材として「読む・考える・伝える」力や、社会を多角的に捉える視点、そして情報を見極める力を育むという、まさにNIEの実践そのものでした。

 根拠が不明な情報もあふれている時代だからこそ、事実を丁寧に読み解く習慣と批判的思考、メディア・リテラシーの基盤は欠かせません。先生方や児童生徒の皆さんと共に、新聞を学びに生かす取り組みを進めてまいります。

 最近、神戸総局の若手記者が書いたコラムに、こんな一節がありました。

 「なぜこの事件が起きたのか、この人はどんな気持ちだったのか。『分からない』と向き合い、突き詰めることで、記事は生まれる」

 現場に足を運び、多様な声に耳を傾け、データや記録で確かめ、分からないことに粘り強く向き合う。そんな姿勢を大切に、微力ながら尽力してまいります。どうぞ、よろしくお願いいたします。

産経新聞神戸総局長 粂博之

新聞から考える楽しさ広めたい

 10月1日に神戸総局長に着任しました。神戸は、1998年から2年ほど勤務したことがあり2度目となります。神戸のほかは高松市、大阪、東京、千葉市、津市、奈良市での勤務を経験しました。

 NIE活動で先生方とご一緒させていただく機会が多かったのは奈良でした。小学校で出前授業の講師を務める機会をいただき、子供たちの思わぬ方向からの質問に驚き戸惑いながらも、楽しい時間を過ごすことができました。また、高校ではNIE担当の先生にお願いして、選挙権を得たばかりの生徒のグループにインタビューさせてもらったところ、社会情勢に高い関心を持っていることが分かり、頼もしさを覚えました。新聞に対する率直で厳しい注文はありましたが、期待も語ってくれたことは、私にとって大きな収穫でした。

 いずれも限られた時間でしたが、少しは新聞に興味を持ってもらえたのではないかと思います。また担当の先生方も、子供たちの反応に意を強くしておられるようでした。

 兵庫県でも、子供たちが読んで理解し考えることの楽しさを実感できるよう、微力ながらお手伝いしたいと思います。