※10月3日の洲本高校の公開授業を担当した大石昇平教諭に、ねらいや成果、課題をご寄稿いただきました。
今回の公開授業では、洲本市の姉妹都市である米ハワイのヒロ高校生が来校するタイミングに合わせ、ハワイと日本の新聞を介して両国の現状を理解し、両国の関係を考察する授業を計画した。
◆ねらい
今回の授業のねらいとして、①新聞を介した立場の異なる人々との交流②両国の新聞の違いに気付く③新聞から両国の現状を知る④他国の新聞に登場する自国の情報を比較し合うことで、両国の関係性を考察するーという4点を設定していた。特に重視していたのは、④の関係性に関する考察である。他国の新聞は、自国のどのニュースをどれくらい報道しているのか? 他国の新聞を通じて自国を客観視すると共に、相手国にとって自国がどのような存在であるのかを生徒に考えてもらうため、この問いを設定した。
◆内容
洲本高校3年生41人とヒロ高校生10人が参加。授業では、洲本高校生3~5人の班にヒロ高校生1~2人の班を作り、グループワークの形をとった。ヒロ高校生はほとんど日本語をしゃべることができないため、生徒も授業者も英語でコミュニケーションをとりながら授業を進めた。具体的な授業計画は次のようなものであった。
Ⅰ自己紹介
Ⅱ両国の新聞から最大数を探そう(ねらい①・②)
Ⅲ新聞を使って"Hot News"(話題のニュース)を紹介しよう(ねらい③)
Ⅳ「アメリカの新聞に出てくる日本」・「日本の新聞に出てくるアメリカを探そう」(ねらい④)
Ⅱについては、生徒の緊張を解くために、10秒間で紙面から最大数を探すゲームを設定した。言語の壁があっても、数字を判断することは可能であると考え、生徒に取り組んでもらった。
Ⅲの"Hot News"紹介では、洲本高校生からは万博に関するニュースや、ヒロ高校生からはアメリカ政府の一部閉鎖に向かう動きなどが紹介された。
Ⅳの両国の新聞から関係性を考えるワークでは、日本の新聞にはアメリカの記事がたくさん見つかったが、アメリカの新聞からはほとんど日本に関する記事を見つけることができなかった。このようなワークを通して生徒のまとめには、「日本へのアメリカの影響の大きさを感じる」「アメリカの存在感が大きい」「日本の片思い(アメリカへの)」といった内容が並んだ。
◆成果と課題
言語の壁がありながらも、 生徒同士の交流ができ、日米間の新聞比較から考察できたことで、主なねらいは達成できたと感じた。ただし、その後の研究協議では、新聞の構成自体の比較といった大きな視点から比較すれば、両国の新聞の違いがさらに際立ったのではないかといった意見をいただいた。また、Ⅳでの考察において、「その違いはなぜ起こるのか?」といった問いに取り組めれば、両国の関係性に関する考察がさらに深まるのではないかという指摘もいただいた。
洲本高校生徒のアンケートからは、授業への興味・理解ともにポジティブな回答をえることができた。また、何より、「世の中を知ることへの意識が高まりましたか?」という問いについては80%以上、「新聞を読むことへの意識は高まりましたか?」という問いについては、70%以上の生徒が肯定的に答えた。ヒロ高校生との交流を通じて、新聞を読むこと、世の中を知ることについての意識が高まったように思われる。
今後も、新聞教材を活用し、生徒の世界が広がるような取り組みを実践していきたい。