セミナー・発表会・公開授業

NIE兵庫セミナー 参加者の感想

尼崎市立南武庫之荘中学校教諭の中嶋勝さん

 NIE兵庫セミナーでは毎回新しい学びを得ることができますが、今回も多くの学びをいただきました。神戸新聞報道部の広畑千春記者の講演「ファクトチェックの取り組み」からは、私たちは世代を問わず、SNS等による偽誤情報の溢(あふ)れた世界で生きているということ。広島の小学生とハガキ新聞を使い、平和をテーマにした交流について発表された愛徳学園の彦野周子先生からは、「平和」教育を継続していくことの重要性を。中学生1、2年生の取り組みを発表された神戸龍谷中学校高等学校の黒瀬大亮副教頭からは、新聞の強制的遭遇という言葉を。新聞と出会う場をいかにして作るのかを試行錯誤されているクラーク記念国際高等学校クラークスマート芦屋の山千代智也先生からは、新聞を学びの場で使うことの魅力について再認識しました。

 意見交換会中学校の部では、それぞれの立場(市教育委員会、NIEは初めての先生、アドバイザーの先生等)で意見や感想が出され、新しい実践も教えていただける有意義な時間となりました。セミナーを主催してくださった事務局の皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

兵庫県立有馬高校教諭の宮田和昌さん

 今回のセミナーにおいて、「情報の適切な取捨選択の重要性と難しさ」、「新聞の存在の意味」を感じました。ネット上の情報は真偽を見極めければならない一方、自身の趣味・趣向に沿った情報のみが選択される状況もあり、視野が広くなるようでいて狭くなりがちであること。「トピックに対する様々なベクトルを向いた情報をいかに収集し、思考・整理できるか」を意識し、行動するうえでも新聞の存在意義があるのではないかと再認識しました。

姫路市立英賀保小学校長の井上幸史さん 「新聞を起点に考える、メディアリテラシーの未来」

 7月3日に開催された兵庫県NIEセミナーは、これからのNIEの未来を考える上で示唆に富む内容であった。

 前半の広畑記者の講演では、現代のファクトチェックの仕組みやその具体的な成果、そして直面している課題について深く学ぶことができた。特に印象的だったのは、「つまらない真実より面白い嘘(うそ)の方が拡散されやすい」というオンライン社会の現実である。私たちは日々膨大な情報に晒(さら)されているが、真偽が定かではない情報ほど刺激的で、人々の関心を引きつけやすい性質を持つ。広畑氏のアプローチからは、自分が「誰かに伝えたい」と強く思う情報ほど発信する前に一呼吸置き、「だまされているかも?」という警戒心を持って、いったん立ち止まって調べる習慣を身につけることの大切さを痛感させられた。

 さらに今回のセミナーは、単に紙面としての「新聞記事」を活用するだけでなく、「記者という専門家から直接学ぶ」ことの価値を再認識する機会となった。記者の視点や取材のプロセスに触れることで、情報の裏側にある背景や意図を読み解く力が養われる。こうした経験を通じて、学校現場のみならず、地域や社会全体におけるNIEを用いた社会教育へのアプローチの必要性をますます強く感じるようになった。

 また、実践発表からは、子どもたちが自ら問いを持ち、課題を深く掘り下げていくプロセスの重要性が示された。新聞は、地域社会のニュースを通じて、物理的な距離や空間を超えて人々とつながるすばらしさを教えてくれる。学校の中に「新聞のある空間」をいかに創り出すかといった、正解のないNIE実践へのチャレンジは、教育の可能性を大きく広げるものである。

  本セミナーで得た多くの気づきやファクトチェックの視点は、現在自校で取り組んでいる「大人のメディアリテラシー」の向上につながる貴重な知見である。不確実性が高い時代だからこそ、今後も自校の実践に活(い)かしてさらに発展させ、新しい時代のNIEを切り拓(ひら)いていきたい。そのためには、「新聞記事をいかに活用するか」という視点から、「新聞というメディアを切り口に、ニュースを読み解くリテラシーの育成」へと、捉(とら)え方を転換していくことが重要ではないだろうか。