「『人と自然』の最前線 連載『里へ』で見た足元の異変」
神戸新聞社カメラマン
小林 良多 記者
神戸新聞情報文化懇話会の11月例会が18日、中央区港島中町6の神戸ポートピアホテルで開かれました。写真連載企画「里へ 人と自然のものがたり」で2024年度の新聞協会賞を受けた本紙取材班代表の小林良多記者が、生き物の異変や取材で見えてきた社会課題などを話しました。
小林記者は、連載企画で人と生き物の接点を「里」と位置付けた経緯を説明しました。市街地での野生動物出没といった異変への素朴な疑問が取材の出発点だったといいました。
サルは昼間に活動するため撮影が比較的容易な一方、クマは夜行性で臆病、単体行動が多く苦労した―といった技術的な側面も紹介。動くものに反応して撮影できる「トレイルカメラ」や自作の自動撮影装置などを活用しました。
手つかずの自然やそこに暮らす動物との共生を重視しがちだが、野生動物を適度に管理する必要性も強調しました。人口減少社会に転じ、里山が消えて農地が荒れた結果、人と動物との境界線がなくなりつつあることが本質的な課題と指摘。「被害を防ぎながら生き物と向き合う仕組みをどうつくるかが大切」と訴えました。
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