「家相/地霊 再考」
関西学院大学建築学部長
八木 康夫 氏
神戸新聞情報文化懇話会の9月例会が9月30日、中央区波止場町の神戸メリケンパークオリエンタルホテルでありました。関西学院大学建築学部長で1級建築士の八木康夫さんが「家相/地霊 再考」をテーマに講演しました。
八木さんは、家相や地霊を「先人たちの知恵の結晶」と表現しました。オカルト的な意味合いに受け取られることもあるが、学術的に根拠のある考えを再現しているものも多いといいます。
例えば、家の敷地の形は東西に長い方が良いとされるが、日差しを考えたときに南向きが有効なためと紹介。さらに、土地の気候や風土を無視できないと強調し「いかに安全で住みよい家を建てるかを考え、その工夫を体系化したものが家相」と説明しました。
また、地霊を知ることを「防災の原点」とも指摘しました。自治体の合併が繰り返されて昔の地名が消えた場所が多いが、本来はその土地の特徴を表しているとし、1964年の新潟地震では「川岸町」で大規模な液状化が起きたことに触れました。
日本は、世界有数の災害大国とされます。八木さんは、土地の記憶や歴史が刻まれた地霊を深く知ることで、開発場所を変更するなどの対応ができるとし、未来のまちづくりに役立てられる可能性に言及しました。
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