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2025年3月例会

「わが国の財政についてー不都合な真実を正視し、打開するー」

元財務省事務次官・神奈川大学特別招聘教授
矢野 康治 氏

 神戸新聞情報文化懇話会の3月例会が、中央区波止場町のホテルオークラ神戸でありました。元財務事務次官で神奈川大学特別招聘(しょうへい)教授の矢野康治さんが「わが国の財政について―不都合な真実を正視し、打開する」をテーマに講演しました。
 矢野さんは、国の一般会計当初予算を1990年度と2025年度政府案で比較したグラフを取り上げ、歳出が49・3兆円増えていると指摘しました。中でも社会保障費は3・3倍になっており、支給対象の高齢者が増えたことを理由に挙げました。
 一方で、税の担い手となる生産年齢人口は減っており「社会保障の維持が世界で特に難しい状況になっており、どう打破していくかが課題」と分析しました。その上で、平均寿命とともに健康寿命も伸びていることに着目。健康のために働き続けたいという人も多いとし、就労年齢を伸ばして年金の支給年齢を引き上げる案を示しました。
 労働は、健康の増進や生きがいにもつながると利点を強調。「元気に長く働く高齢社会をつくることで、若い世代の負担を増やさないようにできる。これが長寿社会のうまい回し方ではないか」と語りました。

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