2021年7月アーカイブ

■神戸市立淡河小学校(7月5日、対象・1年生9人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが熱海市土石流の被害を伝える新聞記事から「命の大切さ」を学ぶ授業を行った。現場の惨状や捜索、避難所の様子など、記事の写真を見て感想を発表し、担任教諭とともに災害や災害時の対応を考えた。

児童の感想一覧

 ougosyou1nen.JPG

神戸新聞アドバイザーが講師に

    今月3日に静岡県熱海市で発生した大規模土石流の被害を伝える神戸新聞記事から「命の大切さ」を学ぶ授業が、神戸市北区淡河町萩原の淡河小学校であり、1年生9人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践校。授業は、ほかのまちの災害を自分ごととして考える目的で5日に行われ、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 1年生は記事を読むのはまだ難しいため、写真を見るのが中心。現場の惨状や捜索、避難所、募金活動の様子などを食い入るように見つめ、「ビルが泥で埋まっている」「バスが流されている」「建物に人が取り残されている」などと、気づいたことを発表した。

 担任の久保恭子教諭が記事の内容を説明。神戸市は山と海が近い熱海市に似た地形で、久保教諭は2008年7月、同市灘区で発生した都賀川水難事故にも触れた。児童は「土石流が速くて怖かった」「行方不明の人に生きていてほしい」「ぼくも大雨のときは早く避難しようと思う」と話した。

 三好アドバイザーは、阪神・淡路大震災と東日本大震災の被災地の写真も紹介し、「命と弱者を守ることが何よりも大切」と強調していた。

   また同校2、3年生14人は12日、新聞から夏を感じる写真を選んでオリジナルの新聞を作り、4~6年生17人は19日、新聞の読み方や記事の書き方を学んだ。=21日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]熱海土石流の記事の感想を書く児童たち=神戸市北区淡河町萩原、淡河小

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

 日本新聞協会NIEサイトにも「熱海土石流記事から小1が学ぶ『命の大切さ』 兵庫・淡河小」としてリポートが掲載されています。リポートはこちら

■神戸市立淡河小学校(7月12日、対象・2、3年生14人) 新聞から「夏」を感じる写真や記事を選び、切り貼りしてオリジナル新聞を作る授業。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。ホタルの乱舞、海開き、氷の出荷ー。児童は写真から思い描いた音や声、触感、感想も書いた。

児童の感想一覧

 日本新聞協会が発行している「NIEニュース」第98号の同協会NIEアドバイザー紹介コーナーに、姫路市立豊富小中学校の井上幸史教頭、西宮市立浜脇中学校の渋谷仁崇教諭のお二人が掲載されています。

 ぜひお読みください。

 日本新聞協会「NIEニュース」

 

ougosyou23nen.JPG

神戸新聞アドバイザーが講師に

 新聞から「夏」を感じる写真や記事を選んでオリジナルの新聞を作る授業が7月12日、神戸市北区淡河町萩原の淡河小学校であり、2、3年生14人が参加した=写真。

 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。まず、児童たちに夏休みの思い出を尋ねた。トマトやキュウリを収穫して食べたこと、クワガタを捕まえたこと、かき氷、花火、夏祭り、大阪や明石、千葉に遊びに行ったこと...。全員が楽しかったことを発表した。コロナ禍の昨年ではなく、それより前の記憶をたどった児童もいた。

 続いて、最近の新聞から「夏」を感じる写真や記事を切り抜き、紙に貼っていった。ホタルの乱舞、七つの味を楽しめるかき氷、逃げ水、メロンシャーベット、海開き、お茶の収穫、氷の出荷―。写真から思い描いた音や声、手ざわり、感想も書いていった。

 三好アドバイザーは「コロナの収束は見通せないけれど、楽しい夏休みを過ごしてください」と呼びかけた。後日、児童たちは「今年の夏休みにしたいこと」を書いて新聞を完成させた。

 子どもたちの「今年の夏休みにしたいこと」 「旅行に行きたい」「いとこの家に行きたい」「釣りやディズニーランドに行きたい」「花火をしたい」「パソコンで知らないことを学びたい」

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

■神戸市立淡河小学校(7月19日、対象・4~6年生17人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが新聞の読み方や記事の書き方をテーマに授業を行った。児童は「新聞に出てくる写真(人や動物、モノ)が何を話しているか考える」「新聞から最も怒っている人を探す」などの例題にも取り組んだ。

児童の感想一覧

ougosyou456nenn◎.jpg

神戸新聞アドバイザーが講師に

  新聞の読み方や記者の仕事について学ぶ授業が7月19日、神戸市北区淡河町萩原の淡河小学校であり、4~6年生17人が神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーの話を聞いた。

 三好アドバイザーは、新聞記事は、大事なことから書く「逆三角形」のスタイルにしたり、一目でわかる写真や図を使ったりするなど「伝える工夫」をしていることを紹介。「見出しと前文を読めば、ざっと内容が分かる」と説明した。

 記者の仕事では、取材したり記事を書いたりするときのポイントとして、5W1Hを押さえる▽人や光景をよく観察して描写する▽好きな文章をまねてみるーなどを勧めた。

 児童たちは、新聞から「登場する人やモノが何を話しているか考える」「最も怒っている人や悲しんでいる人を探す」などの例題にも取り組んだ。

 藤田一希さん(5年)は「5W1Hや逆三角形の意味など少し難しいことを知ることができて良かった」、前田聖桜さん(4年)は「次に新聞を読むときには5W1Hに気をつけて読みたい」と話した。

                                             ◆

   児童たちは、新聞の特長の一つ「網羅性」を知るため、自宅でこの日の朝刊から県知事選の関連記事を探した=関連記事は18本でした。

[写真説明]三好アドバイザーの話を聞く児童たち=淡河小

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。 

niekennsyuougosyou◎◎.jpg

    新聞に親しむ〝鍵〟は楽しさ

 幼稚園児や小学校低学年の児童教育にも、新聞を活用してもらうには―。兵庫県NIE推進協議会が、幅広いニーズに応えようと、学年別の教員向けNIE研修会をスタートさせた。初回は6月30日、神戸市北区の市立淡河小学校であり、近くの幼稚園教諭を含む12人が参加。子どもたちが楽しみながら新聞に親しめるコツを伝授した。

 同校は2021年度の日本新聞協会NIE実践指定校。学校全体でNIEに取り組む中で、「低学年はどう新聞を活用すればいいのか」などの声が上がったのを受け、同協議会が学年別の研修会を企画した。

 講師は同協議会の三好正文事務局長が務めた。研修会では「新聞活用で情報を読み解く力を磨く、という大目標は大切にしてほしい」と語る一方、「楽しくなければNIEじゃない」として、多様な取り組みを紹介した。

 幼稚園・小学1年向けには、新聞からクイズの答え(文字)を探す▽新聞から動物や食べ物を探すーなどを提案した。「新聞に出てくる動物などが何を話しているか考える」という例題には、参加した教員が、神戸市立王子動物園で飼育中のパンダ「タンタン」がササを食べる写真を選んで「淡河産はおいしいな」と答え、場を和ませた。

 小学校低学年向けには、新聞から「夏」を見つけよう▽4コマ漫画を切り離して「起承転結」を考える―などのワークショップに取り組んでもらった。

 「新聞に載っている大きな数を探そう」というワークショップでは、参加教員がその日の朝刊をじっくり調べた。その結果、最も大きな数は「30億」。世界で行われた新型コロナワクチン接種の累計回数だった。

 高学年向けには、記事に見出しをつける▽3~4人の班ごとに各自がイチオシ記事を選び、話し合って壁新聞を作る企画「まわしよみ新聞」▽「食品ロス」「平和」など、自分たちでテーマを決めて取材し、新聞を作る―などを提案。子どもの年齢が上がればできることも増えるため、より幅広いアイデアを示した。

 例えば「新型コロナ関連の記事を、当日の朝刊から探す」取り組み。新聞の全ページをめくって目を通す作業を通じて、新聞の特長のひとつ「網羅性」を体感できる。また、「いろんな新聞を読み比べる」ことをすれば、記事の扱いや、見出し・写真・記事内容の違いから、それぞれの新聞社が伝えたいことの違いが分かる。

 小学4年を担任する竹下歩教諭は「数字や文字を探す活動は、新聞を親しみやすくする上で有効な学習だと感じた。トップ記事を選んだ理由を話し合う活動は、他者の多様な考え方やものの見方を聞くことができるので、今後の指導に生かしたい」と振り返った。淡河好徳幼稚園で5歳児を担任する小西みゆき常勤講師は「研修で幼稚園児に合った新聞の活用方法について、教わることができてよかった」と話した。

 同協議会は今後も各校で研修会を重ねながら、学年別のNIE授業を順次行う予定だ。

                        ◆

 研修会で紹介したワークショップのうち、「4コマ漫画を切り離して『起承転結』を考える」と「新聞に載っている大きな数を探そう」はともに、明石市立大久保小学校の若生佳久主幹教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)の授業例。日本新聞協会が2020年発行した、教員向けガイドブック「 新聞で授業が変わる」(小学校編)に収録されている。

 参加した教員の感想はこちら。

[写真説明]新聞の活用法を学年別に考えた研修会=神戸市北区淡河町萩原、淡河小学校

 日本新聞協会は7月9日、新聞を生きた教材として活用する「NIE(教育に新聞を)」の2021年度実践指定校に全国541校を決めた。兵庫県内では20校が指定された。

 541校の内訳は、小学校219校、小中連携2校、中学校181校、中高連携20校、高校110校、特別支援学校8校、高専1校。

 県内は小学校5校、中学校5校、中高連携3校、高校6校、特別支援学校1校。指定は原則2年間で、新聞を自由に活用してもらうため、購読料を新聞協会と各新聞社が全額負担する。県内の実践指定校は次の通り。

 【小学校】新規=神戸市立大沢、神戸市立淡河、尼崎市立立花南、養父市立宿南▽継続=伊丹市立天神川
 【中学校】新規=神戸市立神陵台、尼崎市立南武庫之荘、加古川市立志方▽継続=西宮市立浜脇、兵庫教育大附属
 【中高連携】新規=神戸山手女子▽継続=愛徳学園、蒼開
 【高校】新規=県立伊川谷▽継続=県立神戸高塚、県立兵庫、県立明石西、県立西宮、県立多可
 【特別支援】新規=県立播磨

■加古川市立志方中学校(7月2日、対象・2年生58人)兵庫県NIE推進協議会の石原丈知コーディネーターが、記事を題材に人種差別問題を考える授業を行った。同協議会コーディネーターのNIEワークショップ。「なぜ、SNSに差別的投稿が届くのか」、そして「自分にできること」を考えてもらった。 

※同校は本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定

生徒の感想一覧

sikatatyuubetucut.jpg

 新聞記事を題材に人種差別問題を考える授業が7月2日、加古川市志方町宮山の志方中学校であり、2年生58人が参加した。講師は同校元校長で、兵庫県NIE推進協議会の石原丈知コーディネーター。「人種差別解消のため、わたしたちができることは何か」―。生徒たちは身近な問題として考えた。

 同推進協議会コーディネーターによるNIEワークショップ。2020年度、コロナ禍の影響で見送られ、2年ぶりに再開した。同校では道徳の授業で取り組んだ。同校は本年度、日本新聞協会のNIE(教育に新聞を)実践指定校に内定している。

 石原コーディネーターは、米プロバスケットボール、NBAのウィザーズで活躍する八村塁選手と、弟で東海大の八村阿蓮選手に対し、会員制交流サイト(SNS)で人種差別的なメッセージが送られてきた記事(21年5月6日付神戸新聞夕刊)を取り上げた。

 まず、生徒たちに「なぜ、こんな投稿をする人がいるのか」と質問。生徒は意見を書いた付箋を黒板に貼っていき、黒板上で「八村兄弟に対して」「投稿者自身のこと」「SNSに関して」の3つに分けて意見を整理した。八村兄弟に対して=うらやましいから、しっとしている▽投稿者自身のこと=相手が嫌がるのを楽しむ▽SNSに関して=無記名だから軽い気持ちでするーなどの意見が出た。

 続いて、「わたしたちができること」を考えた。「すぐにやること」として、応援コメントを送る▽差別的なコメントはすぐ通報して消去してもらう▽アカウントを凍結する▽自分はしないーなど、「じっくりやること」として、人権についてしっかり学ぶ▽投稿者に考えを改めてもらうよう説得する▽差別についてみんなで考える―などの意見があった。

 生徒たちは「差別は絶対なくさないといけない。差別全体に対し反対の声を上げていきたい」「SNSで差別的な発言を見つけたら通報するなど、できることからしていきたい」と話した。

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(7月2日)

[写真説明]意見を書いた付箋を黒板に貼る生徒たち=志方中

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。