共同通信社神戸支局の大熊慶洋支局長が、神戸市北区の神戸甲北高校で「選挙報道とメディア」をテーマに講演した。公民科の選択科目「神戸の研究」を受講する3年生11人が聞き入った。
神戸甲北高は、日本新聞協会のNIE実践指定校。東南アジアで約7年の駐在経験がある大熊支局長は、日本と海外の選挙の違いを解説した。
フン・セン首相時代のカンボジアで、最大野党の党首を逮捕して党の解散に追い込み、与党が選挙で圧勝した例を紹介。「日本は民主的な選挙の国だからこそ、(候補者を)きちんと選ばないといけない」と語った。
選挙で果たすべきメディアの役割については、「候補者が言いたくないことも含め、分かりやすく、有権者に判断材料を伝えること」などと強調。選挙期間中に交流サイト(SNS)で真偽が不確かな情報が多く発信される中、「裏付け取材をする新聞を参考にし、ファクトチェックを生かしてほしい」と訴えた。
生徒らは、神戸市長選の模擬投票も体験した。毎日、新聞に目を通すという小西穂乃香さん(17)は「新聞と選挙は密接に関わっていると改めて思った」と話した。(網 麻子)=12月4日付神戸新聞朝刊神戸版
[写真説明] 選挙報道とメディアについて語る大熊慶洋さん=神戸甲北高校
