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「阪神・淡路」を伝える 神戸・滝川第二中で出前授業

251210takigawadainityuu1.JPG  12月8日深夜、最大震度6強の青森県東方沖を震源とする地震があった。備えにゴールはない――。「阪神・淡路大震災30年 伝える、そして忘れない」と題した出前授業が12月10日、神戸市西区春日台6の滝川第二中学校であり、1年生80人が参加した。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザー(65)が講師を務め、若者が震災の教訓を伝える大切さを伝えた。

 三好アドバイザーは30年前の大震災の日、全壊した神戸・三宮の神戸新聞本社で宿直勤務だった。直後から神戸市の復興まちづくりの取材に関わった。震度7の瞬間や当時の神戸の惨状について語り、「多くの助けが来るよう、祈りにも似た気持ちで記事を書いていた」と振り返った。

 同校の近くにあり、ピーク時には震災被災者1800人が暮らした西神第七仮設住宅についても説明。「まちの外れにあり、夜間は真っ暗などさまざまな課題があったが、新たなきずなも生まれた」と話した。

 大規模災害の記憶や教訓は約30年で風化するという「30年限界説」に触れ、「今は南海トラフ巨大地震などの災害前。若いみなさんが阪神・淡路の教訓を次世代に伝えてほしい」と呼びかけた。「阪神・淡路から30年たっても感染症リスクを抱える避難所の光景はあまり変わらない。圧死などの直接死ではない、地震後に体調を崩すなどした『関連死』の問題が残されたままだ」と指摘した。

 能登半島地震(2024年1月1日発生)の死者は691人、このうち関連死は463人に上っている(25年12月4日現在)。

 「人は二度死ぬ」といわれる。一度目は身体の死、二度目の死はみんなの記憶や思い出から消えてしまったときという意味だ。三好アドバイザーは「震災犠牲者の生きた証しを残すことが新聞の使命だと思う。卒論を仕上げるため神戸に戻って震災に遭った男子大学生、生き埋めに数時間耐えたが、体中に毒素が回る『クラッシュ症候群』で息を引き取った女児、『神戸に帰りたい』と切望しながら病のため加古川の仮設で看取られた女性――。一人一人を決して忘れない」と力を込めた。

 自分や家族、友達の命をどう守るか 生徒の意見 家族で話し合い、避難所の場所や避難経路を確認しておく▽非常持ち出し袋を準備する▽ハザードマップを確認する 

[写真㊤]「阪神・淡路大震災30年」をテーマにした出前授業=いずれも滝川第二中学校[写真㊦]新聞紙で防災スリッパをつくる生徒たち

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