ドイツ総領事が独日の深い絆を語る 甲南大学で特別講義
甲南大学と神戸新聞社の連携講座「地域(情報)とメディア」で、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館のメラニー・ザクシンガー総領事が11月5日、「神戸と世界におけるドイツ―過去、現在、未来」と題して岡本キャンパスで150人の学生に特別講義を行った。
ザクシンガー総領事は、大学で政治学や国際関係学などを専攻して外務省入り。東京の大使館や国連の代表部などを経て、2023年から現職。初の女性総領事として、2024年の総領事館開設150周年記念行事や、今年の大阪・関西万博のドイツパビリオン運営などを取り仕切ってきた。
今年は東西ドイツ統一から35年。この日は、16の州から成り立つ国の現状をはじめ、第二次大戦を経た国家分断、冷戦終結によるベルリンの壁崩壊からのドイツ再統一などの歴史を解説した。
日本最古の独日交流の一つがディーゼル技術を通じた尼崎市とアウグスブルクの姉妹都市提携であることを紹介。「独日関係は開港まもなくから神戸で始まった。当時は法学や医学の多くがドイツから入り、多くの日本の大学でドイツ語を学ぶ習慣があった」と述べた。また、「総領事館は阪神・淡路大震災で大阪に移転したが、ドイツの在外公館で2つの都市名が付いているのはこの総領事館だけ。神戸は独日関係のルーツ」と語った。
学生に外交官を志した理由を問われ、「子どものころ外国に住んで、海外との交流や政治に興味を持った」と話し、「独日は政治も経済も似ている民主的な法治国家で、価値観も課題も共通している。外相は日本のことを『プレミアムパートナー』と呼んでいる。皆さんもぜひ若いうちに一度ドイツを訪れてほしい。関心があれば留学などの支援もするので、気軽に総領事館に相談してほしい」と呼びかけた。
この日は、講座の履修学生のほか、グローバル教養学環やドイツ語を履修する学生、ドイツからの留学生らも聴講し、総領事の講義に関連した記事を新聞から選んで論説するレポートにも取り組んだ。(冨居雅人)
[写真説明] 独日の深い絆について語ったザクシンガー総領事の特別講義=神戸市東灘区、甲南大学







