「生徒が社会に目を向けるように」
NIE(教育に新聞を)の活動を進める学校が、普段の取り組みを紹介する実践発表会が2月6日、神戸新聞社(神戸市中央区)であった。兵庫県内の小中学校と高校の計3校が、新聞記事をどう活用しているかについて報告した。神戸新聞の若手記者も阪神・淡路大震災を語り継ぐ大切さをテーマに講演し、教員ら50人が耳を傾けた。(安福直剛)
新聞社や教育関係者でつくる兵庫県NIE推進協議会が主催。この日登壇した3校は、今夏に神戸市で開かれるNIEの全国大会でも公開授業や実践発表を実施する。
夜間中学の姫路市立あかつき中は、5カ国にルーツがある16歳から91歳までの生徒がいる中で、生活に身近なテーマの記事を活用していると紹介。社会では新紙幣の発行を取り上げたり、理科では播磨地域などで確認されたひょう被害を学んだりしたという。
その結果「社会に目を向けようとする積極的な姿勢が見られるようになった」といい、担当教諭は手応えを感じていた。
校外学習を活用して新聞づくりに挑戦した甲南小(神戸市東灘区)や、新聞を生かして探究活動に取り組む神戸甲北高(同市北区)の事例も紹介された。
神戸新聞淡路総局津名支局の中村有沙(ありさ)支局長(28)は、震災の被害が大きかった旧北淡町(淡路市)の当時の状況について取材を基に紹介。取材先の「当時を検証し語り継ぐことが防災につながる」といった言葉を紹介し、「自分は大阪出身で震災後の生まれだが、気が引けるというより伝えなければとの思いが強い」と話した。=7日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面
[写真㊤]NIEの実践例が報告された会合=いずれも神戸市中央区東川崎町1[写真㊨㊦]阪神・淡路大震災を語り継ぐ重要性について講演する神戸新聞の中村有沙記者
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小中校3校教諭 活用成果を発表
新聞を活用した学習の成果を紹介する県NIE実践発表会が2月6日、神戸市中央区の神戸新聞社で開かれた。学校関係者ら約50人を前に、小中高3校の教諭が活用例について発表した。
姫路市立あかつき中学校の伊達実教諭は、播磨地区初の夜間中学として、ネパールやパキスタンなど5か国の生徒が在籍していることを紹介。新紙幣発行や地元の祭りなど、身近な出来事の学習に新聞記事を利用しているといい、「多様な考え方を生かして豊かな学びへとつなげたい」と話した。
甲南小学校(神戸市東灘区)の田代弘子教諭は、自分たちで作った新聞を持ち寄ってグループ発表をする3年生の授業で、児童らが積極的に取り組むようになった様子を報告した。=7日付読売新聞朝刊神戸明石版、淡路版、播磨姫路版
[写真説明]新聞を活用する取り組みが報告された発表会(神戸市中央区で)
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新聞使った授業 3校が実践発表 神戸
新聞を活用した授業の取り組みを報告する県NIE(教育に新聞を)実践発表会が2月6日、神戸市中央区の神戸新聞社であった。3校の発表に教員ら約50人が耳を傾けた。
県立神戸甲北高校(神戸市北区)の久保淳平教諭は「週刊探Cue(たんきゅう)!」というキャリア教育を報告した。新聞記事を使った「正解のない問題」を生徒が考える取り組みなどを紹介。「(生徒が)当事者意識を持って社会課題を把握し解決する力を養い、社会での自分の生き方を描けるようになってもらうのが狙いだ」と話した。
夜間学校の姫路市立あかつき中学校の伊達実教諭は、年齢や国籍が多様な生徒たちに適した教材として、生活に身近なテーマの新聞記事を活用していると紹介。理科では、ひょう被害の記事を使い、発生原理だけでなく、防災意識の重要性にもつなげたと報告した。 甲南小学校(神戸市東灘区)の田代弘子司書教諭は、校外学習を活用して作った新聞を児童が発表する活動を報告した。
3校は7月31日~8月1日のNIE全国大会神戸大会でも報告をする。=8日付朝日新聞朝刊神戸版、阪神版
[写真説明]実践例を報告する県立神戸甲北高等学校の久保淳平教諭=2月6日、神戸市中央区
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