伍賀 正晃・神戸市教育委員会事務局学校教育部教科指導課指導主事
「個別最適な学びと協働的な学びの一体化」を進める現在において、多様な意見・見解に触れることや、他者に向けて自分の考えを伝えること、またそれらの活動の土台となる語彙力や表現力、感性を磨くことは非常に重要である。今回の公開授業では、その語彙力・表現力・感性を高める授業が目指されていた。
国語の授業では、新聞の中の写真からイメージを膨らませ、記事の内容を織り込みながら、俳句を作る学習が行われていた。頭で考えるよりも写真を見た方がイメージしやすく、生徒たちが独自の感性を働かせながら、17文字の制限の中で自分にある語彙力を注ぎ込む様子が見られた。社会の授業では、新聞から「対立と合意」に関係する記事を選び、背景やポイントをまとめる活動が行われていた。記事に記されている内容は端的であるため、生徒たちはわかりやすく伝えることに苦心しながらも、グループで協力して活動を進めることができていた。
新聞のよさとは、写真や文章がコンパクトにまとめられていることや、情報の信頼性が高いこと、紙ならではの手触りやぬくもりなどが挙げられる。各紙を比較することによって、一つの出来事でも見方や表現の仕方が様々で、いろいろな考え方があることに気付くこともできる。新聞は社会につながるための一つの入り口である。各自の興味・関心に応じて学習を深めたり、ICTの活用を通して気になる記事を見せ合い、意見を交換したりするなど、「何のために使うのか」ということを意識して活用することによって、新聞が各教科等の見方・考え方を育むうえでの強力なツールになると改めて感じた。
小島 幹子・姫路市立城山中学校教諭
N IE教育について改めて考え直す貴重な機会となりました。ありがとうございました。
それぞれの授業で新聞を効果的に活用されており、身近に新聞があれば、自分事として深い学びを得ることができると実感しました。
自由に新聞が読める環境があることが何より幸せなことだと思います。ただ、目の前の子ども達は普段から新聞にふれていないがために敷居が高くなってしまっています。
今、私たちが生きている社会でどんなことが起こっているのか、まずは知ることで自分の見方や考え方ができ、意見をもつことができます。新聞を各教科の中で効果的に扱ったり、教科横断的に取り入れていくような少しの工夫があれば、新聞は子どもたちにとって身近な存在に変わっていくと感じます。