教員によるNIE実践

「やさしい日本語」学ぶ 外国人向けに記事書き換え 伊川谷高

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 外国人や小さな子どもも理解しやすい「やさしい日本語」をテーマにした公開授業が9月17日、伊川谷高校(神戸市西区伊川谷町長坂)で開かれた。龍谷大グローバル教育推進アドバイザーの塩川雅美さんが講師を務め、長い文章を短く分けるといった表現方法を解説した。

 県内外の教員らで今年8月に結成した「新聞を使った『やさしい日本語』研究会」の主催。同校では、研究会世話人でもある福田浩三主幹教諭が数年前から、日本語を母語としない人にもニュースの内容が理解できるように新聞記事を書き換える授業を進めている。

 公開授業は研究会が取り組む企画の第一弾で、1年生約30人が授業を受け、県内各地の教員ら約20人が参観した。

  塩川さんは、分かりやすい日本語を書くための工夫として、長い文章を短く分けることのほか、必要な情報だけ伝える▽熟語や複合語はできるだけ使わない▽敬語、擬音語も使わない―といった方法を説明。「やさしい日本語を使えば、外国人や子どもとのやりとりだけでなく、AI(人工知能)ともスムーズにやりとりできる」と解説した。

 生徒の三膳麗蘭(みよし・れいら)さん(16)は「何げなく使っているつもりの日本語でも難しく感じる人がいることが分かった。新聞を書き換えるときはできるだけ易しく表現したい」と話していた。

[写真説明] 「やさしい日本語」をテーマに語る塩川雅美さん=伊川谷高校

参加者の感想

 塩川先生の講演で紹介された例文から―。コンビニ店員から「レジ袋は要りますか」と尋ねられ、「大丈夫です」、重い袋を持っている人に「持ってあげます」と声を掛けると、「どうも」―。日本語は難しい。やさしい日本語だと、前者は「要りません」、後者は「ありがとうございます」「お願いします」となる。「やさしい―」とひらがななのは「易しい」「優しい」の両方の意味を持つからだろう。来年夏のNIE全国大会神戸大会では、伊川谷高・福田先生による「新聞を使ったやさしい日本語」の実践発表も行われる。多様な社会実現に向けた大きな取り組みになる。(兵庫県NIE推進協議会事務局長 三好正文)