※2月2日、須磨友が丘高校の生徒たちが、近くの横尾小学校6年制を対象に行った「震災授業」。2年目になる「小高連携授業」です。両校の先生にねらいや感想をご寄稿いただきました。
須磨友が丘高校 岩本和也教諭
29年前、地元神戸で発生した阪神・淡路大震災と、今年1月1日に発生した能登半島地震に関する新聞記事を利用して授業を行った。それぞれの地震について、特に避難所について報道された記事から「避難所で困っていること」を読み取り、そこから見える共通点や、どのような支援が必要かを話し合い、さらには「自分たちがどのような備えをしておくべきか」を考えることをねらいとした。
小学生のグループに高校生がファシリテーター役として入ることで、児童と生徒が意見交流し、学びを深め合うように授業計画を立てた。
小学生はこの日の授業で、新聞記事をよく読み、問いの答えを読み取ろうとしていた。苦戦している児童もいたが、高校生らのサポートを受けながら、真剣に取り組もうとする姿が見られた。
その結果、読み取った内容をもとに児童同士、あるいは児童と生徒の間で話し合い、意見交換することができた。複数の新聞を比較することで、時代による変化や、時代を経ても変わらない課題について考えることもできた。高校生にとっては「小学生に教える」という体験を通して、防災に関する意識がより高まる機会となった。
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横尾小学校 吉川拓郎教諭
2月2日、神戸市立横尾小学校6年生と県立須磨友が丘高校の生徒会による連携授業が行われた。教育に新聞を取り入れる「NIEE」の一環として、2022年度から取り組んでおり、今回が第2弾である。普段、高校生と小学生との接点は少なく、児童たちにとっては非常に新鮮である。前回と同様、「震災」をテーマに授業をしていただいた。
前回はグループごとに違うテーマについて話し合った。ラジオ放送や避難所の様子など、幅広い話題に触れられるという良さはあったのだが、全体でのふりかえりの際に話題がかみ合わない、さらに、授業後に得られる学びに差があることが課題として残った。その反省から今回は一つの話題に絞ったグループワークをご用意していただいた。
まず、代表の生徒が実際に東日本大震災の被災地に行って得た経験を話してくれた。その中で、「被災者の生の声から感じたこと」が印象的だった。津波で娘を亡くした母親が「仙台は悲しい場所ではなく、亡くなった娘との思い出が詰まったすてきな場所」と語ったという。一般的に被災地に向けては「かわいそう」という視線を向けがちだが、被災者にとってはその視線がマイナスに働いてしまう、という気づきだった。
その後、6グループに分かれてワークを行った。各班に高校生が1人ずつ付き、ファシリテーター役を担った。資料として阪神・淡路大震災と能登半島地震の、避難所に関する新聞記事を渡された。阪神・淡路の記事は、ある避難所の一日で起きていることを時系列に紹介し、避難者の思いや混乱が伝わってきた。能登の記事は、東日本大震災の後に、備蓄品の見直しをしたのにも関わらず、全く足りなかったという記事だった。
いつのときも必要とするものが同じであること、過去に経験した震災の教訓が生かされていないのはもったいないこと―。子どもたちはそれらの記事から感じたことや共通することを出し合った。
次に「もし、自分たちが避難するならどんなものが必要となるか」を話し合った。まずは暑さや寒さをしのぐもの、食料、トイレなどが挙がった。その後、サッカーボールなど、長期間の穂難所暮らしを見据えて欲しくなる娯楽を考えた児童もいた。
最後に、代表のグループが話し合った内容を発表した。他の児童も同じ内容を話し合っていたので、うなずきながら話を聞いていた児童が多くみられた。
授業後の子どもたちの感想を見ていると、授業内容もさることながら、高校生が前で上手に話す姿に感銘を受けている児童が多くみられた。児童と教師のちょうど間の存在として、憧れを抱きやすいように感じた。児童たちにとって得るものの多い時間となったと思う。