川村かおり・姫路市立豊富小中学校教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)
「もう一度説明しますね」。優しく丁寧に記事の内容を伝えようとする4年生。どんな内容かしっかり聞き取ろうと目をキラキラさせている2年生。お互いにうれしそうな表情でやりとりする姿が印象的でした。「伝え合う力」を育むために新聞はとても適した教材だということ、一般紙でもテーマを設定し、写真に限定することで低学年でも十分新聞を活用できるということなど、改めて感じることができました。
本校も、施設一体型の小中一貫校として異学年での交流をさらに進め、子ども同士でつながり、深め合うための新聞活用法を今後も考えていきたいと思います。このたびは、貴重な学びの機会をいただきありがとうございました。
若生 佳久・明石市立大久保小学校教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)
今回の授業では45 分は短かったなということが一番です。2年生と4年生の交流といった意味では、十分な活動だったといえます。
4年生が2年生に自分の選んだ記事をていねいに説明し、それを聞いた2年生が応えていくという学習は、対話という形ではとても有用であったと思えます。
事後の意見交換会でも出ていましたが、「主体的・対話的・深い学び」といった言葉が文部科学省から出されています。そういった意味で「対話的」なよい授業であったと言えます。
しかし、スクラップを作るときにはもう少し時間が欲しいなと思いました。今回の授業での一番の課題ではないでしょうか。
子どもたちは、とても一生懸命「わかるように説明(4年)」し、「聞き(2年)」、「考え(2年)」、「意見を言い(2年)」、「スクラップのレイアウトを考え(4年)」、「字やイラストをかいて(2・4年)」あの短時間にあそこまで仕上げたのは素晴らしかったと思います。
力のある子どもたちだと思いました。
また、担任の先生方も適切な助言を適切なタイミングでしていたのが素晴らしかったと思いました。日ごろから子どもたちの学習状況を十分に把握していたからこその助言であるのだと思いました。2年生の子どもがなかなか作業をしていないところをしっかりと見て、把握して4年生に助言したところにも感心しました。子どもたちへの語りかけの口調もとても丁寧でした。これは私にとっても反省の部分です。子どもたちへのかける言葉の丁寧さをもっと気をつけねばとあの授業をみて反省しました。
もう一つ、事後の意見交換会でも話をしましたが、「書く」という活動は、学習活動にとって非常に大切な活動です。授業内で自分の考えや思いを「書く」ことで表出するまでには、頭の中でいろいろなことを思っていた内容を取捨選択し、その場で「言葉」として表出する行為です。この行為があることで、考えが定着するともいわれています。そういった意味で「書く」という活動は、授業内では必ず実施しなければならないと思っています。
スクラップを作るときも、「題字」や「メンバーの名前」を書いたり、イラストを描いたりするほかに、「まわしよみ新聞」のように「感想」や「思い」、「分かったこと」などを紙に書くことが、新聞記事の内容を理解し、自分なりに「分かる」ことになるのではないかと思います。
田代 弘子・甲南小学校司書教諭・学校司書
初めてNIEの公開授業を拝見し、新聞の活用は学年によって効果が異なるということがわかりました。
今回の授業では、4年生は2年生にわかりやすく冬の新聞記事を伝えるために、言葉を選んだり、ipadで調べたりして文章を再構成していました。2年生にとって難しいことについて、どうにかして伝えようと試行錯誤することで逆に理解を深めているようでした。
2年生も一生懸命、耳を傾けて理解しようと努力していました。そのことで、2年生だけでは知ることがなかった冬を題材にした新聞記事に出合い、世界が広がっているように感じました
両者の心に芽生えた「新聞っておもしろいな」という気持ちは、「また新聞を読んでおもしろいことを見つけたいな」という知的好奇心につながっていくのだろうと思います。
早速、本校の児童と新聞を楽しみたくなりました。ありがとうございました。