記者派遣

大震災 神戸新聞記者が語る 川西と尼崎の中学校で授業

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 阪神・淡路大震災から29年となるのを前に、当時取材に当たった神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザー(63)と震災の年に生まれた名倉あかり記者(27)が、川西市立清和台中で授業を行った。1年生計約170人が耳を傾け、防災や震災報道と向き合った。

 震災当日、神戸・三宮の神戸新聞本社で宿直勤務をしていた三好アドバイザーは、爆発時のように窓ガラスが割れ、天井が沈み込んできたことなどを振り返り、「発生時刻に起きていたので命が助かった」と語った。

 直後は、どこに行けば風呂に入れるのか、食料をもらえるのかといったこまめな生活情報の提供が急務だった一方、「亡くなった人の生きた証しを残すことも大事だった」とした。

 1995年生まれの名倉記者はこれまで取材した記事を紹介し、「大切な家族を亡くした人にとって、29年という時間は必ずしも癒やしにならない」と強調。「震災を知らない世代の『先輩』として、さらに下の子たちへ伝える方法を一緒に考えたい」と呼びかけた。

 授業の後半、生徒や教員を交えてパネル討議を実施。生徒からは「取材で泣くことはあるのか」「記事を書く時に一番難しかったことは」などの質問が相次いだ。「大切な人を震災から守るためにできる努力は」との問いに三好アドバイザーは「防災知識を身に付けて」、名倉記者は「いろいろなニュースを自分事に引き付ける想像力を持って」と応じた。楠本羽奏さん(12)は「家族で災害時の集合場所を決めるとか、どう備えたらいいのか具体的に見えてきた」と話した.

 尼崎市立南武庫之荘中でも1年生約180人を対象に授業があり、樋口依瑠(いる)さん(13)は「中学生も亡くなったと聞き、初めて震災が自分事に思えた」と表情を引き締めた。=13日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真㊤]生徒と神戸新聞の記者らが防災について議論した授業=川西市清和台西2、清和台中学校[写真㊦]生徒の質問に答える三好アドバイザーと名倉記者=尼崎市南武庫之荘4、南武庫之荘中学校

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※尼崎市立南武庫之荘中は日本新聞協会のNIE実践指定校です。

※「わたしの感想NIE」に両中の生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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