■伊川谷高校(11月21日、対象・1年生24人) 日経新聞神戸支社の岩本隆支局長が、「わかりやすい日本語」の書き方や企画記事のテーマをどう設定するかについて授業を行った。「1つの文章や1段落が長くなりすぎないように」とアドバイス。テーマ設定では「社会に潜む問題に着目しよう」と呼びかけた。
2023年11月アーカイブ
日経新聞支局長が講師に
日本経済新聞社神戸支社の岩本隆支局長は11月21日、兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、県立伊川谷高校1年生コミュニケーション類型のクラスで「『わかりやすい』日本語と企画記事のテーマ設定」をテーマに話した。この日は5人が欠席だったが、参加した24人が熱心に耳を傾けた。
授業の冒頭では、10月10日に行われたNIE公開授業「やさしい日本語書き換え講座」で発表された生徒の作品について「相手に分かりやすく伝えようという思いがあふれていて、驚いた」と講評。記者目線で見て、分かりやすかった作品を個別に紹介した。
その後「わかりやすい」日本語を書くコツを紹介。1段落や1つの文章が長くなりすぎないようにすることを解説したほか、逆接ではない「が」の使い方や「ら」抜き言葉などに注意するよう呼び掛けた。
企画記事のテーマ設定については①旬なテーマを選ぶ②社会に潜む問題に着目③旬じゃないけど大事な問題を深掘りする④「へぇ」「そうだったんだ」を大事にする――ことを実際の記事を見せながら説明。インターネットをリサーチで使う際は「複数のサイトを参考にして」などと話した。
生徒からは「分かりやすい日本語は簡単な方法でできると学んだ」「『新聞はネタの宝庫』という言葉がとても面白いと思った」などの感想が寄せられた。
コミュニケーション類型の生徒は普段は各クラスに分散し、他の生徒が「総合的な探究の時間」のときに、学校設定科目「コミュニケーション基礎」の授業を受けている。この日の記者派遣事業の授業もその一環となる。
[写真説明]企画記事のテーマ設定について学んだ出前授業=神戸市西区伊川谷町長坂
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
※同校で行われたNIE公開授業の記事はこちら
共同通信記者が講師に
NIEの一環として、共同通信社神戸支局の伊藤愛莉記者(25)が、西宮市宮前町3の浜脇中学校で出前授業を行った。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。記者の仕事の魅力について、2年生285人が聞き入った。
伊藤記者は昨年9月、愛媛県の松山支局から神戸支局に異動し、現在は主に阪神地域を担当。日本一に輝いたプロ野球・阪神タイガースのファンや、阪神・淡路大震災の遺族らの取材を続けている。
福祉に関心があるといい、西日本豪雨(2018年発生)で被災した広島・岡山・愛媛県で、障害者が避難しづらい状況にあることを家族へのアンケートで明らかにした自身の記事を紹介。「関係者から感謝のメールをいただき、記者になった意味を感じた」「記者の仕事は、名刺1枚で誰にでも取材でき、関心事を仕事につなげられるのが魅力」と話した。
授業を受けた前田紗良さんは「自分がやりたいことを存分にできる新聞記者に関心を持った」と話していた。(三好正文)=11月25日付神戸新聞朝刊阪神版
[写真説明]各教室のモニターを通じ、共同通信・伊藤愛莉記者の話を聞く生徒たち=浜脇中学校
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
新聞記者からインタビューの要点を学ぶ授業が、西宮市上甲東園2の県立西宮高校であり、2年生約280人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務め、生徒たちは「好きなもの」をテーマに互いにインタビューするワークショップを行った。
三好アドバイザーはインタビューの仕方について「具体的に聞く、変化を聞く、比較して聞く」などと助言。本紙阪神版のインタビュー記事を例に「テーマが変われば段落替えする」などのポイントを挙げた。
生徒同士のインタビューでは「好きなもの」として、ミニチュアダックスフントやゲームの「スプラトゥーン3」などが挙がった。聞き手の生徒は「なぜ好きなのか」「どんなところが好きなのか」と尋ね、メモを取り、記事にまとめた。
授業を受けた丸山琴弓さんは「テーマに沿って質問し、要点をまとめるのが大切だとわかった」と話していた。=11月25日付神戸新聞朝刊阪神版
[写真説明]インタビューの仕方を学んだ授業=県立西宮高校
生徒の感想 高橋 一さん「新聞は、記事に『5W1H』を入れたり、動きのある写真を撮るよう心がけたりしていることを知った。そんな視点で記事を読みたい」
■姫路市立豊富小中学校(11月10日、対象・9年生83人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「主権者教育」をテーマに授業を行った。「大学学費無償化」をテーマに選挙シミュレーションゲームを行ったり、生徒らが関心のある政策課題を意見交換したりした。今後、選挙報道について学ぶ。
神戸新聞アドバイザーが講師に
姫路市豊富町御蔭の豊富小中学校で11月10日、1票の意義を考える「主権者教育」の授業があり、中学3年生に相当する9年生83人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが若者が投票する重要性を伝えた。
同校は「主権者教育」に力を入れており、今後、マスコミの選挙報道について学ぶほか、模擬投票なども検討している。
三好アドバイザーは「大学学費無償化」などをテーマにした選挙シミュレーションゲームや、国の予算額から「1票の価値」を換算する実践を通し、生徒たちに「選挙に行かなければ意見が反映されず、ひどく損する」ということを体感してもらった。
生徒たちが、グループごとにどの争点に関心があるか意見交換する場もあった。三好アドバイザーは「将来の選挙に向けて、各政党の主張を調べてみよう」と呼びかけた。また諸外国の例として「ベルギーやオーストラリアなど国政選挙で義務投票制を採用している国がある。エストニアではネット投票を導入している」と説明した。
[写真説明]関心のある政策課題は何か―。意見交換する生徒たち=豊富小中学校
どの争点に関心があるか 生徒たちが選んだ争点と選んだ理由(一例)
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
産経新聞記者が講師に
教育現場で新聞を活用する「NIE」活動の一環として、神戸市中央区の神港学園高校で11月14日、産経新聞大阪本社写真報道局の彦野公太朗記者が2年生の29人を対象に、「ウクライナ戦争について」と題した授業を行った。
バリケードが張られた首都キーウの街並み、カフェで止血などの応急処置法を学ぶ人々、ロシア軍から奪った戦車を見に来る市民...。彦野記者は、戦時下のウクライナ国民の生活をうかがい知ることができる写真の数々を紹介した。
さらに「現在進行形で起きていることが歴史になっていく。それは、自分が感じたこと、考えたこと、言ったことを通じても形になっていくのだと感じた」と現地へ取材に行って感じたことを伝え、自らの経験から「疑問に思うことがあれば、まず自分の目で見ることが大事」と教えた。
授業を受けた金山聖峻さん(17)は「現地に行った人から話を聞けて、ニュースで見るよりも分かりやすかった。ウクライナの人たちがさまざまな対策をしていることが分かった」と話していた。
同校は昨年からNIE実践校の指定を受けており、2年生を対象に毎週1回、気になる新聞記事を取り上げ感想を書くなどの取り組みを行っている。=15日付産経新聞朝刊阪神・神戸版、播州版、但丹版、淡路版
[写真説明]ウクライナで撮影した写真を紹介する彦野公太朗記者=神戸市中央区
新聞を教育に活用する「NIE」の出前授業が11月1日、尼崎市立南武庫之荘中学校で行われ、読売新聞阪神支局の風間徹也支局長(50)が1年生約200人に、新聞の読み方や記者の仕事について語った。
風間支局長は、朝刊に掲載されている記事には約20万字が使われ、アナウンサーが読み上げても10時間以上かかると説明。「記事の見出しとリード(前文)を読めば内容がわかり、最後まで読めばより深くニュースを知ることができる」とコツを伝授した。
また、記事と同じように一つの文章や段落を短くし、「いつ」「どこで」という「5W1H」の要素を盛り込むことを意識すれば、論作文が上達すると助言した。
英ロンドン特派員などでサッカーワールドカップの取材を2度経験したことやプロ野球での取材の裏話なども披露。新聞が届くまでには、記者だけではなく、原稿の誤字脱字や事実関係の間違いをチェックする校閲やレイアウトを担当する編成、販売などの部署が関わっていることも紹介した。
授業を受けた福原絢音さん(13)は「多くの人の頑張りがあって新聞ができていることがわかった。そのことを意識して新聞を読みたい」と話した。=2日付読売新聞朝刊阪神、三田、神戸・明石版
[写真説明]新聞の読み方のコツを話す風間支局長(尼崎市で)
生徒の感想 嶋田優希さん「スポーツ面でどの記事を重視しているかなど、初めて知ることが多かった。風間記者は世界を駆け回って楽しそうと思った」
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
甲南高・中で記者派遣事業
甲南高等学校・中学校(芦屋市)では、日本新聞協会の2023年度NIE実践校として、複数の学年において新聞活用の取り組みを行っている。その一環として、10月20日、ロシアによる侵攻が続くウクライナを実際に取材した経験のある記者の方を招いての講演会が実施された。
本校では、中学3年生からグローバル教育に特化した「グローバルスタディ・プログラム」を各学年1クラスで実践している。単に英語の知識だけではなく、世界的な視野で物事をみることのできる生徒の育成を目的とし、その一環としてSDGsや国際平和をテーマに探究学習を展開している。
教員間で相談した結果、現在のウクライナ情勢を踏まえ、国際平和に関して現実の問題を身近に感じるような「出前授業」を依頼したいと考えた。そこで、戦闘地域、できれば2022年2月からロシアによる侵攻が始まったウクライナで実際に取材した記者の話を聴きたい、と兵庫県NIE推進協議会に申請した。申請が認められるか不安であったが、実際にウクライナに取材に入った経験を持つ記者に引き受けていただくことができた。
貴重な体験をされた記者に引き受けていただけるという幸運な機会に恵まれ、その授業をできるだけ多くの生徒に還元し実効性を高めるために 高校1年生から3年生までのグローバルスタディ・プログラムの履修生約120人に、2時間連続の時間割を組み受講の準備をした。
講師は、朝日新聞の金成隆一記者(現・大阪本社社会部次長)である。過去に優れた報道で国際理解に貢献したジャーリストを表彰する「ボーン・上田記念国際記者賞」の受賞歴もある。金成記者は2022年1月から計4回、ウクライナに滞在し、ロシアによる侵攻後も、甚大な被害が出たブチャをはじめ、各地での取材を重ね多数の記事を発表している。
「出前授業」においては、戦闘の状況だけでなく、戦争前の街の様子、一般市民の軍事訓練やそのインタビュー、日本人を含む国外からの志願兵、ブチャを離れた人々への取材など、現地の人々の様子や生の声を伝える写真や動画が多数あった。2時間連続してであったが、生徒たちも金成記者の話に聴き入り、あっという間に時間がたつというインパクトの強いものとなり、生徒たちの意識の中にも大きくとどまるものであった。
兵士や市民との個別のやりとりも紹介され、「私は逃げられない、国に残って家族を守る。ここには守りたいものが多すぎる」といった女性兵士の言葉や、「私たちがやらなければ、誰も守ってくれません。故郷は自分たちで守らないといけないのです」という軍事訓練に参加する初老の市民の言葉など、生徒たちがそれを反すうし、自らの中で意味づけを深めていけるように工夫されたものであった。
最後に、授業中に生徒各自がメモした内容を踏まえて、生徒からの質問にも応じてもらうことができた。「取材時に恐怖はなかったですか」「現地の人々の心的影響はどのようなものですか」「ロシアへの取材もしたいと思いますか」など、質問をする生徒が途切れることなく、その後も会場に残り質問を続ける生徒も見受けられた。
また、「取材する際の言語は英語ですか」との問いに「英語はもちろん重要ですが、皆さんはまだ若いので、使える言語を英語以外にもう一つ持つことによって、これから自分が動ける世界が広がります」など、生徒の今後の勉学にも示唆的な話も伺うことができた。
平和への思いを深めるだけでなく、国際紛争を通じて平和の持つ意味を今後も生徒たちが探究していく一つの契機になった有意義な「出前授業」であった。
足立恵英(甲南高等学校・中学校副校長)(11月7日)
[写真㊤]ウクライナでの取材について語る朝日新聞社の金成隆一記者=いずれも甲南高等学校・中学校 [写真㊨㊦]熱心に質問する生徒
23年10月23日付朝日新聞朝刊神戸・阪神・ひょうご版の記事
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学校の教材として新聞を活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む尼崎市の県立尼崎高校(水嶋正稔校長)で9月28日、毎日新聞阪神支局の亀田早苗記者が3年生15人に出前授業をし、新聞ができる過程やわかりやすく伝える工夫などを紹介した=写真。
県立尼崎高校は今年度、NIE実践指定校となり、生徒が興味を持った記事を切り抜く「回し読み新聞」づくりや各紙読み比べなどで、紙面に親しんできた。地歴公民科の平家靖久教諭は「社会問題に興味を持つ生徒が増えてきた」と話す。この日は選択授業「世界と日本の文化」で、記者の話を聞いた。
亀田記者は、生徒に新聞を手にとってもらい、記事の掲載位置や見出しの大きさなどでニュースの重要性がわかる構成になっていることなどを説明。記者がニュースを発掘する調査報道で世論を形成する新聞の役割などを話した。=9月29日付毎日新聞朝刊神戸版
■甲南高校(10月20日、対象・全学年から120人) 8月まで朝日新聞ヨーロッパ総局員だった金成隆一記者(現大阪本社社会部次長)が「死の通り ブチャ生存者の証言―特派員が語るウクライナ」と題し講演した。金成記者はロシアによるウクライナ侵攻前後の2022年に4回、首都キーウなどで取材した。
■加古川市立加古川中学校(10月23日、対象・3年生324人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「循環型社会」をテーマに授業を行った。生徒たちは県内の実践例の紹介記事を読み、4つのR(Reduce、Reuse、Recycle、Refuse)を意識した暮らしについて考えた。
「循環型社会を目指して」をテーマにした出前授業が、加古川市加古川町備後の加古川中学校であり、3年生324人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。
循環型社会は、限りある地球の資源を有効に使いつつ、リユースやリサイクルを促進し、環境への負荷を抑える社会。授業では、本紙紙面から県内の実践例を紹介した記事を読んだ。ある生徒は、流通大手のイオンがプラスチックごみの削減に向け、食品などを再利用できる容器で販売、回収し、再利用している循環型ショッピングの記事を取り上げた。「メーカー側にもコスト削減などのメリットがあると思う」と話した。
三好アドバイザーは、まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」の問題などにも触れ、「一人一人が何をできるか考えよう」と呼びかけた。授業を受けた江草圭輔さんは「節電などできることから取り組み、循環型社会の実現に向け、みんなで意識を高めたい」と話していた。=11月2日付神戸新聞朝刊東播版
[写真説明]循環型社会へ私たちができることは何か。意見交換する生徒たち=加古川中学校
生徒の感想 鴻池心羽(ここは)さん「循環型社会に向けてささやかな取り組みを重ねることで、ごみ問題の解決につなげたい。(過剰包装などを断る)リフューズも大切だと知った」.
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■南あわじ市・広田中学校(10月17日、対象・1年生47人) 神戸新聞淡路総局の荻野俊太郎記者が講師を務め、初任地・淡路島での記者の仕事の面白さや、将来目指す記者像について語った。生徒たちは荻野記者に「淡路島の魅力は何か」などと取材し、一部の生徒はその内容をもとに記事づくりに挑戦した。
取材や記事執筆も体験
新聞や記者の仕事について学ぶ授業が、南あわじ市広田中筋の広田中学校であった。1年生約45人を前に、神戸新聞淡路総局の荻野俊太郎記者(23)が仕事の面白さなどを語り、生徒はそれを踏まえて記事を書くなどして理解を深めた。
同校は教育に新聞を活用する日本新聞協会のNIE実践指定校。キャリアについて学ぶ総合学習の一環で授業があった。
荻野記者は「東京出身」「入社2年目で、最初の赴任地が淡路総局」と自己紹介し「取材相手に分かりやすく質問し、読者から求められる記事を書ける記者を目指している」と説明。崩した字でつづった取材ノートも公開した。
生徒は荻野記者に「淡路島の魅力は何か」「子どもの頃の夢は」などと取材。一部の生徒はその内容を基に記事作りに挑戦し「荻野さんは、デスクでじっとせず、いろんな所を駆け回りたいから記者になった」などとまとめた。
山滝瑠夏さん(13)は「自分たちが知らない所で、どんなふうに世の中の出来事が発信されているかが分かった」と感想を語った。=11月1日付神戸新聞朝刊淡路版
[写真説明]神戸新聞の荻野俊太郎記者(右)の話を聞く生徒=広田中学校
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