阿部俊之・神戸市立丸山中学校西野分校教諭
「A5用紙の大きさで新聞を書く」。この発想に驚きました。
この大きさで書いたことにより、新聞を書くというよりも友達にニュースを届けるような感覚で書けたことが、自由な発想と構想につながったような気がしました。
文字フォントや大きさだけではなく、色を上手に使って見出しを工夫していた作品も多くて見ごたえがありました。
また「やさしい日本語」を用いることへの書き換えは、授業だけにとどまらず、これからの生活においてもこの経験が活かされていくような気がしました。
三嶋祐貴子・明石市立高丘中学校教諭
県立伊川谷高等学校による「やさしい日本語」新聞書き換え講座があった。母語としての日本語の理解を深め、グローバル社会における多文化共生の意義を考える授業だった。「やさしい日本語」講座講演会を行い、母語である日本語について考えなおし、実際に自分が気になる新聞記事を「やさしい日本語」に置き換えたはがき新聞を作っていた。どの作品も相手がわかりやすいように文字を大きくしたり、絵を挿入したりと工夫がされていた。また、新聞記事の要約だけでなく、その記事について自分がどう思うかも書かれており、班や全体で意見を交流するときに自分の意見を発表することで、互いの価値観を理解できる授業だった。
本校も、本年度から委員会や総合の時間に新聞を活用した取り組みを行っている。生徒の表現力、発想力、発信力、コミュニケーション能力を高められるように、新聞記事を活用していきたいと思う。
岩本 隆・日本経済新聞社神戸支社支局長
授業前、配られたタブレットで生徒が書き換えた記事を見て驚いた。「相手にわかりやすく伝えよう」という気持ちにあふれていたからだ。見出しをつけたり、イラストを描いたり、大事な文章をマーカーで囲んだり...。外国人でも読みやすいように、漢字にふりがなをつける工夫をした生徒もいた。
授業が始まると、各班の中で生徒が熱心に発表。各班で決めた5人の代表者が自分の書き換え記事をみんなの前で堂々と発表する姿にまた驚いた。
少し残念だったのは、記事が伝えたいポイントに触れずに書き換えていたものがあったこと。「高校1年生にそれを求めるのは少しハードルが高いかな...」と思った後、「むしろポイントがわかりやすいように、我々記者が努力しなければ...」と思い直した。
村上ともこ・愛媛県NIE推進協議会事務局長、愛媛新聞社地域読者局読者部副部長
「やさしい日本語」への記事書き換えを通して、「相手に伝わるように伝える」ことに真摯(しんし)に向き合う生徒たちの姿が印象的でした。記事を書き換えるためには、元の記事を読み込み理解し、ポイントを絞り、わかりやすい言葉に置き換えるなどたくさんの工夫が必要で、有効な言葉のトレーニングになると思います。また、読み手を想像しながら表現することは、生徒の視野の広がりに繋がると感じました。今後夜間中学との交流も予定されているとのこと、どのような交流が行われるのかも気になります。
オンラインでの参加だったため、スクリーンに投影されたはがき新聞の文字があまり読めませんでしたが、大きな文字で書かれ「伝わるように大きく書いた」と発言していた生徒の発表はよく理解できました。文章の内容だけにとどまらず、さまざまな工夫で相手に伝えようとする姿勢は大切だと感じました。今回は貴重な学びの機会をいただきありがとうございました。
木場翔太・兵庫県立相生産業高等学校定時制課程教諭
初めてNIE実践指定校の公開授業に参加させていただきました。本校はNIE実践指定校ではありませんが、県の「心のサポート推進事業」の一環として、新聞を活用した行事を月2回実施しています。内容は、当番の学年が選んだ新聞記事をその学年以外の生徒が読み、感想を書くといったものです。選んだ記事にはその理由も書くように指導しています。この取り組みの中で「文章を読む練習」「文字を書く練習」「文章の内容を理解する」「他者の考えを吸収する」の4つの力を身につけることを目標にしています。特に「文章の内容を理解する」「他者の考えを吸収する」の2つを身につけさせることに苦労していますが、伊川谷高校の生徒さんは1年生で新聞の記事をしっかり理解され、伝え方にも自分なりに工夫されており、大変驚きました。
私自身、今の勤務校までは新聞を活用した授業等の経験がなかったので、今回の公開授業はどの内容も新鮮で今後の本校の実践にぜひ活かしたいと思いました。伊川谷高校、福田先生をはじめ大変有意義な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。