全体会のパネル討議で「ICT時代のNIE」について意見交換する登壇者ら=8月3日、愛媛県県民文化会館
新聞を学校教育に活用するNIEの第28回全国大会(日本新聞協会主催、愛媛県NIE推進協議会、愛媛新聞社主管)が8月3、4日、松山市の愛媛県県民文化会館で開かれた。「ICT(情報通信技術)でひらくNIE」を大会スローガンに開催。全国から教員や新聞・通信社の関係者ら約1200人が参加し、パネル討議や公開授業、実践発表を通じ、NIEの可能性を探った。
兵庫県NIE推進協議会からは3人が参加した。聴講した公開事業について報告する。
▼愛媛大学教育学部付属小 地域の魅力、見出しで発信
愛媛大学教育学部付属小学校の3年生29人は、幸島恭輔教諭(34)による公開授業で、松山の魅力を愛媛県外の人に伝えよう―と自らが書いた記事に見出しを付けるワークに取り組んだ=写真。
児童たちは事前学習でチームに分かれ、道後商店街や松山城、路面電車、松山の名産・名所など「わがまちの魅力」をテーマに取材。観光客にインタビューもしたという。
授業では、各自が手書きや学習支援アプリで作った紙面を持ち寄り、仕上げの作業として見出しを考えた。
児童たちは「10文字以内」を目標に、キーワードは何かを考えながら、読み手の興味を引く言葉をひねり出した。男子児童は松山城の記事に「松山城だけの守る工夫」、女子児童は道後商店街の記事に「見たこともない食べ物」と付けた。
出来上がった新聞は会場で県外からの参加者にも配布され、大会後には、新聞を手に松山城観光などに出かけた人もいたようだ。
学びの振り返りで、幸島教諭は「児童たちに、無駄なく正確に伝える新聞の手法を通して『言葉の力』を感じ取ってほしい」と話した。(三好正文)
[写真㊨]児童が見出しを付けた新聞
▼愛媛県立伊予高 特産品の知名度向上考える
愛媛県立伊予高校が立地する松前町には、県が生産量日本一を誇る特産品「はだか麦」がある。作付面積は町土の1割に及ぶ。生徒たちは「給食利用推進」「スーパーでの販売促進」を目指す班に分かれて、知名度向上案を競った=写真。
給食班は、学校給食センターで献立の開発やアレルギー対策などを取材。松山東雲短大では、はだか麦のグラタンやミネストローネの調理方法、使用器具などについて取材した。
分科会には給食センターの職員2人が参加し、生徒考案のレシピにプロの目から調理時間や材料について助言。交流会では、キッチンカーで調理したはだか麦のグラタンやキーマカレー、カナッペなどを参加者に振る舞った。
スーパーでの販促班は、チラシのほか、作詞作曲したはだか麦の歌を動画で発表。地元ショッピングセンター職員から、視覚、聴覚に加え、味覚にも訴える宣伝を考えてみては―とアドバイスされた。
松本直美指導教諭は「地域課題への関心を育てるには新聞の活用が有用。取材を重ねることで、解決すべき課題を立体化していくことができた」と振り返った。(吉田尚美)
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来年の全国大会は京都市、2025年の第30回大会は神戸市で開かれる予定。
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