「何を一番記事にしたいか」まとめて 取材のポイント、紙面製作を指南
兵庫県内の中学2年生が地域の事業所などで働く「トライやる・ウィーク」。生徒がそれぞれの職業体験を振り返り、個人新聞にまとめる取り組みが活発になり、兵庫県NIE推進協議会が各地の中学校で、取材のポイントや新聞製作のノウハウを教える出前授業を続けている。
5月18日、姫路市立家島中学校(同市家島町宮)で出前授業があった。2年生10人が島内外の幼稚園や小学校、ラーメン店、介護施設、ペットショップ、スーパーで働くのを前に、インタビューの仕方や取材時のメモの取り方、よい写真の撮り方などを学んだ。
トライやる期間(6月5~9日)終了後の6月12日には、生徒たちが体験したことを紹介し合い、「何を一番記事にしたいか」を短文にまとめ、記事の書き方や見出しのつけ方、紙面レイアウトなどについて学んだ。
両日とも講師を務めた同協議会事務局長は「働く楽しさや苦労したことを自分の言葉で伝えよう」「『トライやる』を自分の夢を見つけるきっかけにしよう」と呼びかけた。6月12日の授業では、生徒から「毎日の授業など、小学校の先生の仕事は大変だと感じた」「ペットショップでウサギの餌やりを体験できてよかった」などの感想が聞かれた。
同協議会では1学期、明石、加古川市の計3中学校の2年生約670人を対象に同様の授業を行った。取材時の参考にしてもらおうと、講師が担当教諭に「好きなもの」をテーマにインタビューし、その場で記事にしたり、生徒がお互いにインタビューしたりするワークショップをすることも多い。
「トライやる・ウィーク」は1995年の阪神・淡路大震災、97年の神戸連続児童殺傷事件をきっかけに、兵庫県が心の教育を見直そうと、98年から始めた。家島中の下村早希教諭は「出前授業を通し、読み手に伝わりやすいまとめ方を知ることができた。新聞づくりは、自分の考えを形にするきっかけになったと思う」と話している。
[写真説明]「トライやる・ウィーク」の感想を話し合う生徒たち=6月12日、姫路市立家島中学校
三好正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(7月21日)