教員によるNIE実践

【寄稿】兵庫発、大学・企業の協力と支援を学校につなぐNIE活動

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 西宮市立浜脇中学校(生徒数840人)は2023年度、教育課程・学校教育目標に「NIE活動」を掲げた。社会とつながる個と集団の育成に向け、NIEの定着を図りたい。生徒たちに現代的な課題に向き合うスキルと態度をはぐくんでもらい、地域や社会とつながる数多くの機会を提供したい。

 さらに、主体的な学びを通して、社会全体を多面的・多角的に考察し、他者と対話する中で、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の11番目「住み続けられるまちづくりを」を地域のテーマとし、主権者教育にもつなげたい――。そんな思いをこめた。

 具体的なNIE活動としては、いずれも全校生で週1回取り組んでいる「朝NIE活動」と「NIEノート」が挙げられる。「朝NIE活動」は10分間、生徒たちが、新聞社が作成している「新聞ワークシート」に挑戦し、時事問題への関心を高めている。「NIEノート」は各自が自宅で興味のある記事をスクラップし、意見や感想、提案を書き込んだ上、社会科授業の冒頭に意見交換し、数人が調べたことなどをプレゼンテーションしている。

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 本年度、当校では、兵庫県NIE推進協議会と連携して「大学・企業の協力と支援を学校につなぐNIE活動」研究会も発足させた。NIEとSDGsを関連づけた取り組みなどを続けている。

 まず、日本国際博覧会協会主催の「リサーチミーティング」に毎年、全校生が参加している。大阪ガスや阪急阪神HD、大日本印刷、三菱自動車、NTTなど著名な企業によるSDGs講座を通じ、各企業のSDGsの取り組みを学んだり、企業と生徒の双方向でディスカッションしたりしている。

 二つ目は、桃山学院大学ビジネスデザイン学部(大阪市)と神戸ウォーターフロント機構、読売新聞社が主催する「中高生SDGsアイデアコンテスト」に、希望する生徒が参加している。

 神戸臨海地域の未来を考えるコンテストで、本校は22年度、最優秀の神戸ウォーターフロント機構賞を受けた。シービン(海洋ごみ回収装置)の活用により湾内清掃から回収したペットボトルを再利用してブローチなどにして神戸市内で販売する――という提案が評価された。

 併せて、優秀賞の桃山学院大学ビジネスデザイン学部賞も受けた。こちらは、KOBERというアプリを活用し、神戸市内を一つのテーマパークとする。その街中を歩くとポイントが貯まり、協賛店で活用できる。また歩道に発電機を設置し、歩く重みによって街で使う電気を作るという提案だった。

 三つ目は、SDGsとEXPOを絡めた学習だ。1年生の校外学習として、2025年大阪・関西万博に主体的な学びの中で参加しようという思いで続けている。おおさかATCグリーンエコプラザでのSDGs学習や、日本万国博覧会協会によるEXPO2025の学習、エイジレスセンターでの福祉教育などを関連づけ、楽しみながら学んでいる。

 最後に、アイデアミーティング。SDGsの11番目の目標「住み続けられるまちづくりを」をテーマに、生徒各自が、新聞記事から題材を見つけ、その記事内容に関連づけ、自分たちの住んでいるまちの発展や課題解決に向けて、アイデアを練ってプレゼンテーションしている。

 こうした取り組みはいずれもNIEがベースにあり、新聞を通じて社会問題への関心や理解を深めていく中で、生徒たちが多様な学びを深化させている。

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 今後は、地域とのつながりや、幼稚園や小学校との連携をいっそう強めたい。生徒たちが地域課題の解決策を考え、まちの可能性を見いだし、主体的にまちづくりに参画していくようNIE活動を継続していきたい。

渋谷 仁崇(日本新聞協会NIEアドバイザー/西宮市立浜脇中学校主幹教諭)(7月18日)

[写真説明]日本国際博覧会協会の講座に参加した浜脇中の生徒たち=今年5月24日、おおさかATCグリーンプラザ(大阪市住之江区)

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