2023年4月アーカイブ

■神戸市立高倉中学校(4月14日、対象・3年生113人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「選挙報道と主権者教育」の授業を行った。生徒はゲーム形式の模擬投票を通じ、若者の投票率がアップすれば意見が反映されやすくなることを学んだ。国の予算額から1票の価値を換算したりした。

生徒の感想 01        生徒の感想 02        生徒の感想 03

 2022年度までNIE実践を続けてきた、8校の校長と実践代表者に取り組みをふりかえってもらった。(敬称略)

NIEで言語力育成
【神戸市立淡河小学校】
                          校長         黒井 陽子
                          実践代表者 藤岡 絵美
 本校では、「NIEを活用した言語力育成と言語活動充実」というテーマを設けた。子どもたちが新聞に多く触れるよう、新聞コーナー、新聞カフェを設けた。学習では、発達段階や学習内容に合わせ、工作や新聞作り、新聞の役割など、積極的に学習に組み込んだ。子どもたちは新聞に親しみ、学習や生活に生かすことができるようになったと感じる。今、情報の活用が重視されている。小学校では、新聞に親しむこと、新聞作りの経験、情報活用の力が求められる。今回の取り組みで今後の学習の方向性の一つを教えていただいたと思う。

社会への関心高まる
【尼崎市立立花南小学校】
       校長         平岩健太郎
       実践代表者 山川 和宏
 「新聞を通して、社会への関心を高める取り組み」を研究テーマにして、新聞記事を紹介する活動を中心に実践を重ねた。その中で、社会で起こっている出来事と自分とをつなげ、自分の考えを持てるような実践を試みた。その結果、子ども同士の日常会話の中でニュースの話題が出ることも多く、世の中の出来事が身近に感じられるようになってきたようである。今回の実践を機に、社会で起きている出来事と自分の身の回りの出来事とをつなげてとらえていけるような取り組みを継続していきたいと考えている。

地域のよさを再発見
【養父市立宿南小学校】
       校長      増田真知子
                   実践代表者 栄羽 麻里                     
 NIEの実践を通して、児童は、新聞を活用するための基礎的な知識を身に付け、身近な出来事から社会の情勢にまで目を向けるようになった。また、体験学習を終えたあとには、その時の様子や学びを新聞記事にして友だちと伝え合うことで、自分たちが住む地域の特徴やよさに改めて気づくこともできた。NIEは、子どもたちの 読解力を培いながら「新しいことを知る」、また「自分の思いを発信する」ための大事な学習である。これからも、日々の生活 の中に新聞がある環境を継続していこうと考えている。

情報の価値を認識
【神戸市立神陵台中学校】 
       校長    常光由起子
       実践代表者 山元 公大
本校は、令和3・4年度にNIE実践指定を受けた。生徒が新聞に親しめる環境づくりを目指すとともに、新聞をきっかけとした情報の取り扱い方・情報リテラシーの向上を目指してきた。実践指定を受けた当初実施した新聞の活用状況アンケートにおいては、新入生を中心に多くの生徒が、新聞が持つ情報価値に気づいておらず、インターネットという特定の情報源から情報を得ていることがわかった。NIE実践を継続していく中で、新聞の持つ情報的価値に気づき、少しずつ活用しようとする様子が見られるようになった。

時事問題に興味関心 
【加古川市立志方中学校】
       校長    廣居 洋三
       実践代表者 小山 真輔
 社会的事象や時事問題を授業等で扱うことにより多角的に物事を考察し、正しい判断ができる生徒の育成を目指して活動を行った。主な活動は、授業における新聞記事やワークシートの利用、新聞読書感想文への参加、新聞記事についてのレポートなどである。これらを通して、新聞を読む機会を与え、少しずつではあるが、社会的事象や時事問題に興味や関心を持たせることができたように感じる。今後も生徒が新聞に触れる機会を設け、社会的事象や時事問題について主体的に考えを深められるような工夫をしていきたい。

学校教育に新たな可能性
【神戸山手女子中学校高校】
       校長    平井 正朗
                   実践代表者 福永 博行
 本校では新聞を授業の中で題材や資料など、教材として利用するほかに、新聞を活用して語彙力や表現力の養成、記者派遣事業を通して生徒の進路意識の涵養など、さまざまな取り組みを試みた。社会の動向に以前よりも関心を持つようになった生徒や、文章表現の際にも言葉の伝わり方や相手の受け取り方を意識するようになったと感想を話してくれた生徒もおり、新聞と学校教育を結ぶ新たな可能性を感じることができた。指定校となって実践してきたNIEの取り組みを通じて得た経験を今後の教育活動に還元していきたい。

NIEに〝触れた〟2年間
【県立播磨特別支援学校】
       校長    藤井 生也
                   実践代表者 志水 幸広
 本校は、知肢並置の高等部のみの特別支援学校で、日常的に新聞を手にすることがほとんどない実態から、「触れる」ことを目標にして進めた。1年目は、肢体不自由部門の2年生を対象に、興味を持たせる環境づくりとして「新聞の木」づくりや1分間スピーチを、2年目は知的障害部門の3年生31名を対象に毎日のトップ記事の記録や新聞づくりなどに取り 組んだ。記者派遣事業も好評で、ニュースを身近なものとして捉え直すきっかけとなり、世界の平和や社会参加について考える機会を与えていただいた。

<県推進協独自認定校>
批判的思考力が向上
【県立兵庫高校】
       校長    福浦  潤
       実践代表者 岩見 理華
 「実践指定校」に指定された2021年度は、本校が高等学校新科目「総合的な探究の時間」を全校的に先行実施した初年度であり、「独自認定校」指定の2023年度まで、新聞記事や記者派遣事業等、NIEを活用してSDGsの視点に基づく地域課題解決型の探究活動を推進してきた。新聞を多角的な視点で読む活動を通して、情報収集能力や批判的思考力の向上がみられた。2023年度からは個人の情報端末を用いているが、調査活動にはインターネットに掲載された新聞記事も積極的に活用するように促していきたい。

  県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で3月、人事異動があり、日経新聞神戸支社長が下原口徹さんから稲荷竜也さんに交代した。人となりを自己紹介で―。

 日経新聞執行役員神戸支社長 稲荷 竜也

 ひとくくりに関西といっても 

 3月末に着任いたしました。関西勤務は三度目となります。記者生活をスタートさせたのが京都でありまして、1年前まで再び京都で勤務していました。ひそかに神戸にいけないかなと思っており、このほど念願がかないました。関西とひとくくりにされることに抵抗を感じる地元の方は少なくないと聞きます。逆に言えばそれぞれが個性豊かな土地柄で、みな地元に愛着と自負を持っている証左ではないかと思います。

  京都は難しいとよくいわれますが、閉鎖的だとか、ややこしいなと感じたことはありませんでした。「関西」とまたひとくくりにすると失礼ですが、関西の文化、風土、人柄に魅かれます。神戸、兵庫県のことを一から知りたいと切に願います。

  記者としては企業取材の畑が長く、東京ではエネルギー、化学、鉄鋼産業などを担当しました。一方、京都のほか、福岡でも勤務しており、振り返りますと、夜討ち朝駆けでニュース合戦に明け暮れた東京時代よりも、地域に密着した取材こそ地に足がついた実感がありました。

  NIEの活動は京都勤務時代に学生の作文添削などを通じてかかわらせていただきました。メディアもNIEの活動を励みとして、教育現場と地域のお役に立てることができるよう気を引き締め、改めてコンテンツを磨き直さなければと感じます。ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

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 模擬投票などを通じ、1票の意義を考える「選挙報道と主権者教育」の授業が4月14日、神戸市須磨区高倉台1の高倉中学校であった。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。3年生113人が参加し、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 模擬投票は「大学までの学費無料化」などをテーマに、生徒5人が18歳の高校生や40代の主婦、60代の会社社長などに分かれ、賛否やその理由を発表。若者の投票率がアップすれば意見が反映されやすくなることを学んだ。

 国の予算額から「1票の価値」を換算したり、「どの政治の争点に関心があるか」を考えるグループ討議を行ったりした。三好アドバイザーは「投票に行くことが、ウクライナ危機やコロナ禍の対応に、10代の意見を反映させる近道」「意見がぴったりの候補者がいなくても、意見の近い候補者を探す努力をしたい」などと話した。

 授業を受けた嶋田菜那さん(14)は「投票がどれだけ大切か、投票することが、新型コロナなど世界的な課題の解決につながっていくかが分かった。身の回りのことに関心を持ち、18歳になったら慎重に1票を入れたい」と話した。(兵庫県NIE推進協議会コーディネーター 吉田尚美)

[写真説明]模擬投票のゲームを通じて1票の意義を学ぶ生徒たち=高倉中学校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 兵庫県NIE推進協議会の新しいコーディネーターに、兵庫県立播磨南高校(播磨町)の前校長、吉田尚美さんが就任した。

 吉田さんは1983年度から姫路市や高砂市の高校で国語科教諭を務め、2017年4月から兵庫県立神戸特別支援学校校長、19年4月から同県立三木北高校校長、21年4月~23年3月、同県立播磨南高校校長を歴任した。

 人となりを自己紹介で―。似顔絵NIE推進協コーディネーター.jpg

 兵庫県NIE推進協議会コーディネーター 吉田 尚美(なおみ)

 2023年4月から兵庫県NIE推進協議会のコーディネーターに着任しました、吉田尚美です。

 高校国語教諭として、姫路市立姫路高校、県立高砂高校などに勤務し、県立教育研修所、県立図書館、特別支援学校にも勤務した経験があります。いろいろな職場を経験してみて、多様な人々の、さまざまな考え方、ものの見方があることを学び、長年の勤務の中で、社会の常識が変化する様子を見てきました。

 物事が大きく変化する現代社会では、さまざまな視点からの情報を受け取ることはとても重要です。新聞の強みは、事件・事故、政治、経済から文化、スポーツまであらゆる分野の情報が網羅され、その一つ一つの記事が複数の目による厳しいチェックを経て世に出ている、信頼性の高いメディアであることです。

 私はこれからNIE(教育に新聞を)活動を通して、子どもたちが正しい情報をもとに、自分の頭で考え、判断できる力を身につけられるよう、学校と協力して取り組んでまいりたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。