セミナー・発表会・公開授業

須磨友が丘高校×横尾小学校 NIE公開授業 参加者の感想

中野 晴美・神戸市立多聞東小学校校長

 「教育に新聞を」というキャッチフレーズと共にNIEの活動を意識し始めてから30年近くになります。古くから重宝されてきた教育の手段が、昨今簡単に教育現場から切り捨てられていく中で、長い年月をかけて守られてきた「新聞と共に学ぶ」学習スタイルは意味あるものです。ドキュメンタリーでありタイムリーであり、さらには真実や証拠に裏付けされたその内容は、緊張感を持って、読み手の心の奥に迫ってきます。だからこそ児童・生徒にとって一生ものの価値ある学びと経験をもたらすことになると考えています。同時に、教師が意図して授業を行うことの技術力や責任の重さも感じます。行元の報道の責任の重大さも感じます。

 私の学校でも必要に応じて、少しずつですが活用しています。例えば、防災学習を5年生が総合的な学習の時間に行っていますが、一人一人が、心を打たれた新聞記事をもとに、持論を書き添えるミニ新聞作りの学習があります。しかし、子どもの視点は濁りなく素直で、「なるほど、そうか」と原点に戻って反省し、修正し、真実を見つめ直すきっかけをくれたり、初めて気付かされ、学びや研究のチャンスをもらったりすることにもなるときがあります。子どもたちの書いた記事は学級内でシェアされ、学年掲示板で全校に向けて発信され、最後は家庭に持ち帰って、家族にも伝えられて広がっていきます。

 NIE公開授業を参観し、自分が想像していた以上に高校生のファシリテーション力の高さや、授業に関する準備の素晴らしかったことに感動しました。何より小学生という難関な相手に自分たちの意図した一番伝えたいことを届けていくコミュニケーション力に驚かされました。各グループに配置された高校生が舵取り役となり、小学生に考えさせました。それを人前で自分の言葉で自信を持って表現させるところに一部課題は残ったものの、「震災」をテーマにしたした協働学習は十分意味を成していたといえます。このNIEを活用した協働学習により改善が加えられ、発展していくことを願っています。

阿部 俊之・神戸市立丸山中学校西野分校教諭

 横尾小学校5年生×須磨友が丘高校のコラボ授業は、非常に心地よい授業でした。

 防災ジュニアリーダーを中心とした高校生による「防災授業」は、教える側、教えられる側という立場ではなく、互いが新聞記事を通して、「震災」という事実に向き合い、そこで起こった出来事、そこから学べる教訓を探しだす共有目線に立ったすてきな授業でした。

 横尾小学校の児童のみなさんが、真剣に考えて出してきた意見に、笑顔で「そうだね」と言葉を添える高校生のみなさんがいたからこそ、一般紙の言葉の難しさの壁を乗り越えて理解していこうとする、子どもたちの前向きな姿勢が生まれてきたのだと感じました。

 授業の最後に「みなさんは、知ったことで終わらないで。次の人に伝える人になってください」という司会者の高校生の言葉にもハッとさせられました。新聞を読む者から、事実を次の人々に伝えていく者へと変えられていくことも、このNIEの活動の大きな役割の一つであることを、今日の授業を通して教えていただきました。

 新聞はバトン。アンカーではなく次の走者へつなぐものとして、これからも子どもたちが新聞を役立ててくれることを期待しています。

稲葉 弥生・県立川西緑台高等学校実習教員

 全体説明を行った高校生は1、2組の担当ともよく声が通り、説明が聞きやすかったです。限られた時間の中で、よく考えて授業を進行されていました。

 導入で「風化」という言葉をキーワードにされていました。キーワードを印象づけるために、授業を受ける小学生向けにわかりやすい言葉を使用し補足説明を行ったり、最後の締めくくりで再度「風化」について触れるなどの工夫があると、高校生・小学生それぞれにより深い理解ができたのではないかと思いました。

 震災を経験していないみなさんが、新聞記事などを利用し、ともに考える授業を行われることが、「風化させない」という実践そのものになっていると感じました。

 有意義な機会を設けていただき、ありがとうございました。

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