教育関係者ら視察 「正しい日本語習得に効果」
夜間の神戸市立丸山中学校西野分校(同市須磨区大黒町5)で、NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会による公開授業があった。さまざまな背景を持つ生徒が新聞を用い、社会問題などへの関心を深めた。(安藤真子)
同校は1950年1月、戦後の混乱や貧困などを理由に昼間の学校に通えない生徒を対象に開校した。現在は28人が在籍し、外国籍の生徒が約8割を占める。
県内の公立夜間中学は神戸、尼崎市にある計3校。来春、姫路市に4校目が開校を予定している。
11月30日にあった公開授業は学年をまたいだ少人数授業で本来の「国語」と「社会」「日本語」の時間を使って行われ、神戸市内を中心とした県内の教育関係者ら約40人が見学した。
社会の授業には日本のほか、フィリピンや中国にルーツを持つ10~70代の生徒5人が出席。生徒はまず、新聞から地球温暖化などのそれぞれが気になるニュースを選択。続いて、画用紙に見出しや要約をまとめた。日本語が母語でない生徒はふりがなを付けた子ども向けの新聞や英字新聞を活用した。
3年の古牧未穂さん(17)は、書店が減少傾向にあり、若者の活字離れが進んでいる―という記事を選んだ。「普段はあまり新聞を手に取ることはないが、開いてみると知らないニュースがたくさんあった」と驚いた様子。画用紙へのまとめ作業では「一目見て内容が伝わるよう、見出しを大きくした」と話した。
公開授業の後には、研究協議会が開かれ、見学者らが意見を交換。授業を踏まえつつ「新聞を教材に用いることで、生徒が正しい日本語を学ぶことができる」という声が多く上がった。=12月4日付神戸新聞朝刊神戸版
[写真説明]新聞を教材にして関心のあるニュースを選ぶ生徒ら=神戸市須磨区大黒町5
※公開授業を担当された先生方の寄稿(ねらいや展望)をこちら 参加者の感想をこちら に掲載しています。
日本新聞協会NIEサイトにも公開授業のリポートが掲載されています。リポートはこちら