赤松三菜子・神戸市立高倉中学校長
さまざまな国籍や年齢層の人たちが共に助け合って学んでいる西野分校では、どの授業においても、主体的に学びに向かう姿が印象的でした。
新聞を活用した授業では、ルビ振り等の丁寧な教材準備と、生徒の反応を生かす教員の適切な声掛けにより、生徒と先生が一体となって対話的な学びが展開されていました。サッカーW杯や子供の貧困など幅広い内容の新聞記事を教材とすることで、生徒が日本語能力だけでなく、それぞれの人生経験から、その意味を理解していく場面もあり、新聞の大きな力を感じました。意見交換会では、授業者より本時のねらいやNIE実践への具体的取組についてうかがい、参加者と活発な情報交換をすることができ、有意義な時間となりました。
NIE実践校として、創意工夫を凝らし新聞を活用した教育活動を推進することは、夜間中学校で学ぶ生徒たちの思考力を高め、主体的で対話的な深い学びを実現することにつながることでしょう。学びへの力、新聞の力が大いに感じられる実践をありがとうございました。
河辺 有希生・兵庫県立西宮高校キャリア教育推進部教諭
11月30日の授業に、27日の新聞が使われ、教材化されていること、各授業のキーワードが日本語教育や生活にしっかりつながっていくのにまず驚きました。
日本語教育の専門家でない先生方が、学校全体体として研修・学びをし、それぞれの学年(日本語能力)にあわせてつけさせたい力を考え、きめ細く授業を展開されていることを感じました。
また、今、生徒の皆さんが必要としている興味・内容・知りたい事を新聞のなかにみつける授業に、「学び」の姿を感じました。
ありがとうございました。
河辺 桂子・兵庫県立西宮今津高校教諭
生徒のみなさんの学ぶ意欲と、どこまでもそれに応えようとなさる先生方の姿勢に強く感動しました。
最新の新聞記事を使った授業が展開されていること、特に日本社会で生きていくために知っておくべきことを取り上げ、オリジナル教材を作って活用されていることに驚きました。
また、授業のために日本語教育の研修を積まれているとお伺いし、私も頑張ろうと思いました。
学習の成果が発表される機会には、また授業を参観させていただければ有難く存じます。
事務局のみなさま、先生方、ありがとうございました。
米田 俊彦・愛徳学園中高校教諭
夜間中学と聞き(どなたかも授業後の会で同様のことをおっしゃっておられましたが、私も)遠い昔、夜間の高校で初めて教職に就いたときのことを思い出しながら参加しました。その時は全力で生徒一人ひとりと向き合い、かかわっていたと思っておりましたが、公開授業でお見せくださった先生方の授業を拝見し、本当はここまでできたのではないか、こんなやり方もあったのではないかとあの頃の自分の未熟さ、痛さを改めて思い知らされました。授業の途中、不意に、当時の生徒への至らなさと申し訳なで涙が出ました。びっくりしました。
現在の毎日の授業では1時間の中で、一人一人の生徒と向き合い、「たくさん」教材を読み、深く「考える」、より「はやく」生徒同士で意見や考えを交流し、さらには生徒と教師、生徒と社会とを「つなぐ」ことや様々なかたちに「のこす」ことで授業を構成していますが、今日の授業ではその中の、深く「考える」、学びを「のこす」、人と人を「つなぐ」場面やかかわりが強く印象に残っています。「ひとつひとつ」の言葉や出来事を「じっくり」と確かめつつ、生徒の言葉や思いを紡いでいかれた授業を拝見して心の深いところが温かく、そしてきゅんとなりました。私にとって大切な「授業」となりました。
ついつい、新聞の即時性や一覧性という「はやく」、「たくさん」の視点で新聞を使いがちですが、新聞の信頼性と表現の規範性、さらにはルビも振ってあるという優しさや懐の深さに触れることができました。夜間中学という学びの場と新聞との親和性の高さと、今だから使える「ICT機器」の可能性をも感じた充実した時間でした。
深い気づきと学びの多い公開授業を本当にありがとうございました。
福田 浩三・兵庫県立伊川谷高校教諭
小学生新聞は文字も大きく漢字にルビが振ってあるため、母語が日本語でない生徒対して効果的な活用が期待できると考えていたが、その実践例から自身の想像以上の効果が得られていると感じた。理解が困難な語彙や難しい漢字も使われていないため、生徒の日本語学習にも適し、加えて日本における時事問題にも興味関心を高めることが期待できると感じた。これから日本が向かえる多文化共生の世界の実現に向け、小学生新聞のような教材活用は必須であると考える。ただ一つ難点を言えば、小学生新聞を活用する母語が日本語でない方々は年齢も様々であるため、『やさしい新聞』など今後名称が検討されればよいのかと感じた。
夜間中学校の生徒は様々なルーツをもつ生徒がいるため、主義主張や考えが日本とは異なる場合も想定されるので、生徒から新聞の記述内容に対する質問を受けたときは、その返答に細心の注意を払ったつもりである。言葉の問題だけでなく、主義主張の違いも多文化共生社会における注意点であると身をもって体感することができた。
近藤 隆郎・日本新聞協会NIEアドバイザー
県下でも数少ない夜間中学校の授業は、多くの人が家路を急ぐ時刻に始まった。
年齢も国籍も様々で、仕事帰りの生徒も少なくないようだ。
熱いまなざしを向ける生徒に優しいまなざしで応える先生。
それを、入学からの折々の場面を捉えた写真が、教室の壁から温かく見守っている。
おかげで、この秋一番の冷え込みだったことをしばし忘れさせてもらえた。
NIEの公開授業が行われた国語、日本語、社会では、いずれも工夫を凝らして新聞が利用されていた。
なかでも、日本語以外を母国語とする生徒に対して小学生新聞を用いることの有用性には、大いに首肯させられた。
国内外で起きていることをこどもたちに正確にわかりやすく、また正しい表現で伝えることを使命とするこども新聞の力が存分に発揮されていたからである。
ワールドカップの記事から数字や数詞を抜き出したり、政府が発表した経済政策に関する記事から聞き取ったことを文字に起こしたり、各自が選んだ記事について自身の意見を添えて発表したり、といったものにどれもみな生き生きと取り組んでいた。
また、ルビが振られていることや、写真やイラストがふんだんに使われていることが、語彙や知識を増やしたり関心を高めるのに大いに役立っていることも見てとれた。
こうした実践を通して日本語が上達し日本のことをよりよく知るようになった生徒は、日本の社会や人に対してこれまで以上に親近感を持つようになってくれるだろうし、同時に、日本の側からもより身近で大切な存在として受け入れられるようになるのではないだろうか。
これからも是非地道な取り組みを続けていただきたい。
教育や紙面の果たす力について思いを新たにする機会をいただけたことに感謝している。
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