7月9日・神戸新聞本社で開催、参加者52人
【参加者の感想】
米田 俊彦・愛徳学園中高校教諭
コロナ、ウクライナの中、「『探究』...NIEで有事の背景を考える」をテーマに3年ぶりに対面で行われるNIE兵庫セミナーでしたが、奈良での元総理の銃撃の翌日でもあり、戸惑いと緊張感のある始まりだったように思います。
秋田会長がご挨拶でおっしゃった「デジャブのような、近代史のどこかのページに迷い込んだような現実だが、今が永遠ではなく、よりよい次の『今』をつくるために、知る、考える、表現する力を、対話する粘り強さを育てるためにNIEも役に立ちたい」という言葉が強く印象に残り、勇気が出ました。
続く神戸新聞・徳永編集局次長の「コロナ下での新聞報道で問われたもの」では、さまざまな視点と目線、さらに「パラダイムシフト」についてこれまでの新聞記事を使いながら述べられ、日頃の紙面に込められた想いや情熱がよくわかり、新聞の温もりや鼓動をに如実に感じる思いがしました。
また、ワークショップ「授業:ウクライナ問題の淵源とこれから」では、三好事務局長による、ウクライナに関する世界の情勢や歴史を縦糸に、新聞の特長を横糸に織り込まれた「授業」から新聞の可能性を実感でき、これからの授業でぜひやってみたいと思いました。
さらに浜脇中学校の西村哲先生のご実践と生徒の皆さんの応答に「これからのよりよい今を作っていくための」具体的な在り方とその成果に大きな希望を見た思いがしました。
「ペンは剣よりも強し」という言葉は知ってはいますが、発表された皆様と参加者の方々からもお話を伺うことでペンの本当の力を感じることができ、忘れられないセミナーになりました。この学びをこれからの授業に生かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。
松本 神奈・兵庫県立須磨友が丘高校教諭
私事だが4月より須磨友が丘高校に転勤となった。普通科から初めて総合学科に転勤になり、2年生の課題研究を1チーム受け持つことになった。ジャンルは情報と科学だが、生徒諸君はそのジャンルにとどまらない多様なテーマに興味を抱いている。ゼミを担当する中で難しいと感じるところがたくさんあるので、このセミナーで何かヒントを持って帰ろうと思って初めて参加した。
結論としては、私が思っていた以上に、新聞を用いた課題研究、他校の課題研究の事例を通してたくさんのヒントやお土産を持ち帰ることができたと感じている。セミナーを運営してくださった方々や講師の方々に多大な感謝を伝えたい。
本年度、わが校はNIE実践指定校に選ばれたが、記者による出前授業があったり、新聞5紙が送られてきて、総合的な探究の時間に活用することしか知らなかった。今回、セミナーに参加し、新聞5紙の活用の仕方、課題研究への取り組み、新聞と生徒の橋渡し、授業へのアプローチの仕方が、広く分かった。
さらに講演やワークショップの中では、新聞社がこの有事の中、どんな視点を持ってどんな使命を持って報道しているのか、その有事について新聞を用いてどう授業で生徒たちにアプローチするのか、見せてもらう機会を得た。西宮市立浜脇中学校3年生の生徒諸君には、西村先生の授業を通じて、ウクライナの有事について主体的に情報を見ている姿を実際に見せてくれたことに、感謝したい。
具体的に得られたヒントは、まず、新聞は端から端まで読めなければならないのではなく、見出しをざっと読んでいく、ということだ。見出しを読めば、何について伝えようとしているのか分かるように作ってあるということである。これならば、「新聞ってテレビ欄が付いているのですね。初めて知りました」って言ってしまうくらい新聞と縁のない生徒にも、新聞を手に取ることができる。課題研究にも、人権教育にも応用ができる。
新便記事で気になる記事をNIE担当教員や図書委員などが選び、図書室の前に貼り出す。さらに、記事について図書委員の感想も付ける。「新聞にこんなことも書かれているんだ」と、生徒と新聞の橋渡しができる。
さらに、「新聞を分かりやすい日本語で書き起こしてみよう」という取り組みも面白い。新聞から自分で選んだ記事を使って再編成し、人に伝える学びは、課題研究にも活用できると考える。
今回のテーマは「NIEで有事の背景を考える」である。くしくも前日に日本でも大きな有事が起こった。不安の中、有事や新聞をどう子どもたちに伝えていくか、改めて考えながら学んでいくセミナーになった。3年目になるコロナをはじめ、この地球上で起こる戦争、テロ行為--有事続きである。未来を担う子どもたちにわれわれができることを、改めて今問われていると感じた。
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