2022年7月アーカイブ

■NIE兵庫セミナー(7月9日・神戸市内、対象・3年生10人) セミナーは教員やNIE関係者向けだが、「『探究』...NIEで有事の背景を考える」をテーマとし、講師の一人、浜脇中学校の西村哲教諭が春以降、同校で行ってきたウクライナ有事の授業を紹介することもあり、教え子の有志が特別参加した。

生徒の感想                    NIE兵庫セミナーで意見発表する浜脇中学校の生徒

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 2022年度のNIE兵庫セミナーが神戸市内で開かれた。県内の小中高校、大学の教員ら約50人が参加。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻など「有事」をテーマにしたNIE展開について考えた。意見交換会では、教員らが学校での新聞活用の事例を紹介し合った。

 県NIE推進協議会が主催。記者授業では、神戸新聞の徳永恭子編集局次長が「コロナ報道では『二つの目線』が求められた」と説明した。

 世界全体の状況を伝える「鳥の目」と、各市町の現状を詳報する「虫の目」、死亡率などデータを分析する「クールな目線」と、居酒屋店主など個々の窮状を伝える「ホットな目線」、「公」の目線と「私」の目線―が必要で、「さらにウィズコロナ時代の新たな目線として、価値観が劇的に変わるパラダイムシフトを意識することが大切」と述べた。

 西宮市立浜脇中学校の西村哲教諭はウクライナ侵攻を学ぶ授業を紹介した。現在進行形の有事をどう伝えるか模索する中で、「生徒たちは報道に基づいて今後のシナリオを考えたり、当事者にメッセージを書いたりした」と話した。この日は、同校3年生10人が特別参加した。

 同協議会事務局によるワークショップもあり、参加者が、朝刊からウクライナ侵攻の関連記事を探したり、「戦争終結に向け、私たちにできること」を考えたりした。さらに事務局では昭和初期、神戸がウクライナ人を受け入れた事例として、ロシア革命で亡命した指揮者メッテルが住んだ「深江文化村」=神戸市東灘区深江南町=についても解説した。

 教員らによる意見交換会では、小学校から4コマ漫画で起承転結を学ぶ、中学校から夜間中学でのNIE展開、高校から学年に応じた探究学習とNIEの取り組み―などが紹介された。

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2022年7月12日)

[写真㊤]「コロナ報道では『二つの目線』が求められた」と話す、神戸新聞の徳永恭子編集局次長=いずれも神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社 [写真㊨㊦]学校でのNIEの取り組みについて意見交換する教員ら

ウクライナ侵攻をテーマにしたNIE授業で気に留めておきたいこと(作成・兵庫県NIE推進協議会事務局)=配布資料からの抜粋                                

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※参加者の感想はこちら  西宮市立浜脇中学校の生徒のみなさんの感想は「わたしの感想NIE」に掲載しています。感想はこちら

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 7月9日・神戸新聞本社で開催、参加者52人  

    【参加者の感想】

    米田 俊彦・愛徳学園中高校教諭

 コロナ、ウクライナの中、「『探究』...NIEで有事の背景を考える」をテーマに3年ぶりに対面で行われるNIE兵庫セミナーでしたが、奈良での元総理の銃撃の翌日でもあり、戸惑いと緊張感のある始まりだったように思います。

 秋田会長がご挨拶でおっしゃった「デジャブのような、近代史のどこかのページに迷い込んだような現実だが、今が永遠ではなく、よりよい次の『今』をつくるために、知る、考える、表現する力を、対話する粘り強さを育てるためにNIEも役に立ちたい」という言葉が強く印象に残り、勇気が出ました。

 続く神戸新聞・徳永編集局次長の「コロナ下での新聞報道で問われたもの」では、さまざまな視点と目線、さらに「パラダイムシフト」についてこれまでの新聞記事を使いながら述べられ、日頃の紙面に込められた想いや情熱がよくわかり、新聞の温もりや鼓動をに如実に感じる思いがしました。

 また、ワークショップ「授業:ウクライナ問題の淵源とこれから」では、三好事務局長による、ウクライナに関する世界の情勢や歴史を縦糸に、新聞の特長を横糸に織り込まれた「授業」から新聞の可能性を実感でき、これからの授業でぜひやってみたいと思いました。

 さらに浜脇中学校の西村哲先生のご実践と生徒の皆さんの応答に「これからのよりよい今を作っていくための」具体的な在り方とその成果に大きな希望を見た思いがしました。

 「ペンは剣よりも強し」という言葉は知ってはいますが、発表された皆様と参加者の方々からもお話を伺うことでペンの本当の力を感じることができ、忘れられないセミナーになりました。この学びをこれからの授業に生かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

 松本 神奈・兵庫県立須磨友が丘高校教諭

 私事だが4月より須磨友が丘高校に転勤となった。普通科から初めて総合学科に転勤になり、2年生の課題研究を1チーム受け持つことになった。ジャンルは情報と科学だが、生徒諸君はそのジャンルにとどまらない多様なテーマに興味を抱いている。ゼミを担当する中で難しいと感じるところがたくさんあるので、このセミナーで何かヒントを持って帰ろうと思って初めて参加した。

 結論としては、私が思っていた以上に、新聞を用いた課題研究、他校の課題研究の事例を通してたくさんのヒントやお土産を持ち帰ることができたと感じている。セミナーを運営してくださった方々や講師の方々に多大な感謝を伝えたい。

 本年度、わが校はNIE実践指定校に選ばれたが、記者による出前授業があったり、新聞5紙が送られてきて、総合的な探究の時間に活用することしか知らなかった。今回、セミナーに参加し、新聞5紙の活用の仕方、課題研究への取り組み、新聞と生徒の橋渡し、授業へのアプローチの仕方が、広く分かった。

 さらに講演やワークショップの中では、新聞社がこの有事の中、どんな視点を持ってどんな使命を持って報道しているのか、その有事について新聞を用いてどう授業で生徒たちにアプローチするのか、見せてもらう機会を得た。西宮市立浜脇中学校3年生の生徒諸君には、西村先生の授業を通じて、ウクライナの有事について主体的に情報を見ている姿を実際に見せてくれたことに、感謝したい。

 具体的に得られたヒントは、まず、新聞は端から端まで読めなければならないのではなく、見出しをざっと読んでいく、ということだ。見出しを読めば、何について伝えようとしているのか分かるように作ってあるということである。これならば、「新聞ってテレビ欄が付いているのですね。初めて知りました」って言ってしまうくらい新聞と縁のない生徒にも、新聞を手に取ることができる。課題研究にも、人権教育にも応用ができる。

 新便記事で気になる記事をNIE担当教員や図書委員などが選び、図書室の前に貼り出す。さらに、記事について図書委員の感想も付ける。「新聞にこんなことも書かれているんだ」と、生徒と新聞の橋渡しができる。

 さらに、「新聞を分かりやすい日本語で書き起こしてみよう」という取り組みも面白い。新聞から自分で選んだ記事を使って再編成し、人に伝える学びは、課題研究にも活用できると考える。

 今回のテーマは「NIEで有事の背景を考える」である。くしくも前日に日本でも大きな有事が起こった。不安の中、有事や新聞をどう子どもたちに伝えていくか、改めて考えながら学んでいくセミナーになった。3年目になるコロナをはじめ、この地球上で起こる戦争、テロ行為--有事続きである。未来を担う子どもたちにわれわれができることを、改めて今問われていると感じた。

                                                              ◆

 たくさんの感想をいただき、ありがとうございます。ほかの方々の感想はこちらからご覧ください。

  参加者の感想

■姫路市立大塩小学校(7月6、8日、対象・4年生70人) 書写山円教寺(姫路市)で行う林間学校の体験を新聞にまとめようーと、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーから取材のポイントや記事の書き方、レイアウト術を学んだ。グループごとに、どの事柄をトップやカタに置くか意見交換した。

児童の感想 01  児童の感想 02  児童の感想 03  児童の感想 04

 日本新聞協会は7月8日、新聞を生きた教材として活用する「NIE(教育に新聞を)」の2022年度実践指定校に全国534校を決めた。兵庫県内では20校が指定された。各都道府県のNIE推進協議会による独自認定校には13県56校(うち兵庫県は3校)が決まった。

 534校の内訳は、小学校212校、小中連携6校、中学校179校、中高連携19校、高校108校、特別支援学校9校、高専1校。県内は小学校6校、中学校6校、中高連携1校、高校6校、特別支援学校1校。指定は原則2年間で、新聞を自由に活用してもらうため、購読料を新聞協会と各新聞社が全額負担する。兵庫県の独自認定校は購読料を県NIE推進協議会が全額負担する。

 実践指定校は次の通り。
 【日本新聞協会認定】<小学校>新規=神戸市立白川、同市立横尾、姫路市立大塩▽継続=神戸市立淡河、尼崎市立立花南、養父市立宿南<中学校>新規=神戸市立丸山・西野分校、加古川市立加古川、南あわじ市・洲本市組合立広田▽継続=神戸市立神陵台、尼崎市立南武庫之荘、加古川市立志方<中高連携>継続=神戸山手女子<高校>新規=県立須磨友が丘、県立加古川西、神戸市立葺合、神港学園、クラーク記念国際▽継続=県立伊川谷<特別支援>継続=県立播磨
 【県推進協認定】<小中連携>新規=姫路市立豊富<高校>新規=県立兵庫、県立西宮

 県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で7月、人事異動があり、時事通信神戸総局長が丸山実子さんから水島信さんに交代した。人となりを自己紹介で―。

 時事通信神戸総局長 水島 信 

 出会いは運動面から

 7月1日付で神戸へ赴任してまいりました。NIEに携わる皆さまへの自己紹介にあたり、小学校の卒業文集の「将来の夢」が小学校教師だったことを懐かしく思い出します。小学校時代の私と新聞といえば、運動面を開いてひいきのプロ野球チームが勝ったか負けたかまず確認。ひいきのチームは基本的に弱かったのですが、たとえ負けていたとしても、中軸バッターが安打したのか、主力投手が防御率を上げたのかなどなど、紙面に載るスコア表にはチェックポイントが多々あり、たいていはどこかになぐさめを見いだすことができたのでした。

 運動記事を足掛かりに、社会面のニュースも読みました。千葉県の房総半島の田舎に生まれた私にとって、新聞は外部世界とつながる大切なツールだったと思います。小学校教師の夢は怠惰な学生生活を送る間に立ち消え、1991年に時事通信社に入社しました。橋本政権だった97年に政治部に異動となり、その後は主に政治畑を歩きました。主に取材したのは首相官邸、自民党、外務省などです。

 SNSの浸透で、ニュースへのアクセス方法は多様化しましたが、ネット空間に飛び交う情報は玉石混交です。NIEの活動を通じ、ネット時代に新聞が担う役割について私自身も認識を深めたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 書写山円教寺(姫路市)で行う林間学校の体験を新聞にしよう―と7月6日、姫路市大塩町汐咲2の大塩小学校で、取材のポイントを学ぶ授業があり、4年生約70人が参加した。 

 林間学校は7月7日に予定され、児童たちは、摩尼殿(まにでん)や食堂(じきどう)を見学したり、僧侶の講話を聴いたり、写経を体験したりする。新聞作りは数人のグループごとに行う。 

 授業は、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。三好アドバイザーは「自分だけが見つけた景色や感動を記事にしよう」と呼び掛け、取材のポイントとして、5W1Hを押さえる▽その体験がなぜ、どのように面白かったかをメモする▽講話の中身だけでなく、その場の雰囲気もメモする▽具体的なデータを押さえる―などをアドバイスした。

 緑豊かな山中に大伽藍(がらん)を構える円教寺。三好アドバイザーは「ふるさとの歴史と自然に触れる一日にしよう」「どんな文化財があるかだけでなく、どんなお寺なのかも調べよう」と強調した。

[写真説明]林間学校で楽しみにしていることを発表し合う児童たち=大塩小学校

                                                                     ◆

oosiosyou220708.JPG 書写山円教寺(姫路市)での林間学校は7月7日に行われた。児童たちは体験をグループごとに新聞にまとめるのを前に7月8日、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーから新聞作りのノウハウを教わった。 

 児童たちは何を記事に取り上げるかを話し合った。真剣に耳を傾けた僧侶の講話や心静かに取り組んだ写経のほか、ゴンドラからの眺めが美しかったロープウエー乗車、楽しかった弁当タイムを挙げたグループが目立った。

 三好アドバイザーは記事の書き方やレイアウトのポイントを説明し、「ほかのグループと違う紙面を作ろう」と呼び掛けた。

[写真㊤]「トップニュースを何にするか」を発表する児童=大塩小学校

[写真㊨㊦]僧侶の講話を聴く児童たち=7月7日、書写山円教寺(大塩小学校提供)

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※同校は本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定。「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。