お知らせ

2020~21年度NIE実践指定校 県内10校がふりかえり

 2020~21年度、NIE実践を続けてきた10校の校長と実践代表者に取り組みをふりかえってもらった。(敬称略)

新聞から広がる世界
【伊丹市立天神川小学校】
       校長    津田 康子
       実践代表者 渡邊 奈美
 本校は本年度、実践2年目を終えた。コロナ禍で人と人の関わり方が難しい中での実践となった。昨年度・本年度の取り組みでは、普段新聞に慣れていない児童への興味付けを中心に行った。「ことまど」やエクセルでの新聞作りや、いつでも自由に読めるNIEコーナーの設置を行った。また、記者の仕事の内容や、見出しの付け方も学習した。この2年間の実践を通して、新聞の存在は、情報を得たり、発信したりする力を高めるものになった。そして、児童自身が新たな情報への関心を広げることができた。

NIEノート」~日常の取り組みへ~
【西宮市立浜脇中学校】
       校長    辻村  隆
       実践代表者 渋谷 仁崇
 本校は2019年度からNIE活動を開始、20年度から指定校となった。21年度からは全校生がNIEノートを作成し、週1回以上記事をまとめた。その中で、SDGsプログラム、ジュニアEXPO、記者派遣事業など多くを主体的・多面的に学ぶ生徒が増えた。新聞各社には記事を取りあげてもらった。今後も学校全体で取り組み、地域ともつながりをもち、幅広いNIE活動を推進したい。社会の動きへの興味関心を高め、世界に目を向け、社会的思考力を持って、意見やアイデアを表現できる人物育成を目指す。

記者派遣と新聞製作で成果
【兵庫教育大学附属中】
          校長    上野 佳哉
       実践代表者 橋本美砂子
 ①記者派遣事業として、産経新聞の小林記者をお招きし、「新聞記者の視点から語る〝ミライ〟に必要な力」というテーマでお話しいただいた。続いて、各学年の代表者と小林記者との座談会を開催。「興味がわく新聞とは?」「どのように取材するのか?」「勉強の大切さ」等、話題は多岐に渡った。②キャリア探究総合では、神戸新聞の三好アドバイザーを講師に15回にわたる授業を展開した。生徒たちはSDGsをテーマに、各々が選んだ新聞記事から各自が捉えた課題を探究し、その考えを「ことまど新聞」へまとめた。

「考える授業」さらに実践
【愛徳学園中・高】
       校長    宮内 健一
       実践代表者 米田 俊彦
 コロナ禍の中、ICTを用いたリモート授業やタブレット端末を用いた授業でも新聞が活用でき、生徒の考えが深まることを実感できた。(県推進協HP「セミナー・発表会―」に記事や感想があります)。今年1月には愛徳学園小・中学校をZoomでつないで交流授業を行い、児童・生徒が新聞を仲立ちとして学び合うことで、互いに学びが深まり、学校をつなぐ授業の可能性を強く感じた。(同HP「教員によるNIE実践」に記事や感想があります)これからも新聞を用いた新たな考える授業の実践に取り組んでいきたい。

Chromebookを活用
【蒼開中・高】
       校長    阪口 寛明
       実践代表者 奥村 智紀
 NIE実践指定校となって2年目の2021年度は「情報」の授業の中でChromebookを活用し、紙媒体・データ媒体双方から新聞記事に触れる機会を設け、ICT導入によるアプローチを行った。また探究活動と連携し、自分で課題を設定し、その課題を解決する〝問題解決能力〟を育成できた。しかし、情報があふれる現代社会においては、情報を収集・発信する力はもちろん、誤った情報をうのみにしない力(情報リテラシー)が必要である。今後、新聞そのものに触れる機会を増やしつつ、情報リテラシーの育成を図りたい。

「正解のない問い」に挑む
【県立神戸高塚高】
       校長    高本正道
       実践代表者 伊東琢麿
 2019年度から新学習指導要領「総合的な探究の時間」を先行実施し、3年計画の探究プログラムを作成。初年度は新聞を利用し「情報収集・分析・まとめ・発表」法を指導した。20~21年度はNIE指定校として、生徒に4カ月分6新聞がある環境を提供できた。「正解のない問い」にあふれる現代でアンテナを張り巡らせ「自ら課題を発見し、課題解決に取り組む姿勢と手法」を身につけるよう取り組んだ。県立高は22年度から全入学生がタブレットを日々活用する。目的に応じ情報を適正に活用できるよう指導する。

批判的・多角的視点を醸成
【県立兵庫高】
       校長    升川清則
       実践代表者 岩見理華
 本校は2020年度、文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」(グローカル型)の指定を受け、「総合的な探究の時間」を先行実施している。本授業では、SDGsの視点に基づく世界の課題につながる地域の課題を自分ごととして捉え、解決策を提案する探究学習に取り組んでいる。NIEは、新聞記事を活用した話し合いによる課題の発見や、調査内容をまとめる学習に記者派遣事業を位置づけた。生徒たちは、NIEを通して社会的課題について関心を高め、批判的・多角的な視点を身につけることができた。

「防災・災害」テーマに
【県立明石西高】
       校長    樫木 直人
       実践代表者 上田多江子
 本校では、1年次の総合的な探究の時間で、「防災・災害」をテーマとした課題研究を行っている。その過程で、新聞記事の読み方講座や、「神戸新聞の7日間」のDVD鑑賞、新聞等を参考文献としたミニ論文作りに取り組んだ。また、図書館前のNIEコーナー設置、各教科の授業での新聞活用を行い、生徒が積極的に新聞に触れる機会を設けた。2022年度の新入生からは1人1台情報端末を購入するので、情報機器を用いた新聞活用の授業開発を行い、生徒の学びに向かう力を育成したい。

新聞が身近な存在に
【県立西宮高】
       校長    萩原 健吉
       実践代表者 宮垣佳寿子
本校は、1年次で地域的な課題、2年次でグローバルな課題(SDGsのゴール)の解決に向けた探究学習に取り組んできた。この取り組みの中で、ネットで情報収集し、新聞離れしている生徒にとって、新聞は紙面を通して多くの情報が提供されていることに気づいた。さらに、新聞記者の講演で新聞記事の信憑(しんぴょう)性を知った。レポート作成等に用いることで、新聞を身近に感じるようになったことが一番の成果である。今後は「課題研究」の資料としても活用できるよう、閲覧方法を工夫していきたい。

社会に目を向ける教育活動を
【県立多可高】
       校長    殿井 瑞穂
       実践代表者 盛岡 宗太
             植山 正彦
 本校は、2年間のNIE実践を通じて、新聞を活用し、他者と意見交換することで多様な価値観に触れ、社会の変化に対応できる力の育成を目指してきた。1年目は新聞自体に抵抗感を示す生徒も多かったが、2年目になると、生徒がさまざまな出来事に対して、他者の意見や考えを認めながら、主体的に話し合う姿が散見された。ここで実践指定校としての期間は終えるが、今後もこの取り組むを生かして、生徒が日々の変化を敏感に感じ取り、社会に目を向けていくよう、日々の教育活動を行っていきたい。