西上三鶴・兵庫県教育長
多様な情報が凝縮された新聞
新型コロナウイルス感染症が確認されて2年がたち、世の中の在り方は大きく変わりました。社会全体でデジタル化、オンライン化が推進され、学校では遠隔・オンライン教育に注目が集まりました。このような変化の中、学校においては「守るべきもの」と「変わるべきもの」のバランスを取ることが重要となっています。
かつて、新聞は代表的な情報入手ツールでしたが、今の子どもたちは、スマートフォンやタブレットで簡単に情報を手に入れます。しかし、その情報は自分の見たいものに限られているのではないでしょうか。
新聞は、限られた紙面に多様な情報が凝縮されており、子どもたちの新たな興味を生み出すきっかけとなります。本年度の実践発表で、子どもたちが関心のある記事を集め、まとめる取り組みを通し、教員は子どもたちの興味のあることを知り、子どもたちは意見を考え、まとめる力を身に付けたという報告がありました。これは、さまざまな情報が掲載されている紙面をもつ新聞を教材としたからこそ得られた学びだと思います。
これからの学校教育の幅を広げるツールとしてのICTをNIE活動にも活用することで、大人が想像している以上の新聞の活用方法が、現場から生み出されるかもしれません。工夫されたNIEの活動を通じて、児童・生徒がこころ豊かに成長することを期待しています。
長田 淳・神戸市教育長
新聞とICTで主体的な学び
新聞には、私たちの生活を取り巻くさまざまな事象について、多様な視点や考え方が掲載されています。
日頃から新聞記事に触れることは、「数多くの情報から必要な情報を抽出し、課題を見つけ、考える」という主体的な学びにつながるものであり、今後、「主体的・対話的で深い学び」を展開していくうえで、学校での新聞の活用はよりいっそう重要になると考えています。
現在の国際情勢を新聞で注視し、見識を広げている子どもも多いのではないでしょうか。
昨年4月から、学習用パソコンを活用した授業が小・中学校で進められています。
神戸市内の小学校と市外の小学校では、それぞれの歴史や話題について紹介する新聞を合同で製作し、オンラインでつないで発表し合う取り組みも行われました。
共同作業の中では、児童が互いの郷土に興味をもち、さらに学びを深めたいという意欲につながったと聞いています。
このように、新聞とICTを効果的に組み合わせながら、子どもたちの主体的な学びに向けた取り組みを推進していきたいと考えています。
今後もNIEの活動の充実を期待しています。