推進協の取り組み

ウクライナ侵攻受け出前授業 有事の情報見極める 県NIE推進協

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 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、兵庫県NIE推進協議会が県内の小中高校で、「有事(非常事態)におけるメディアリテラシー」をテーマに授業を行っている。同協議会は「新聞を通し、世界情勢をより正しく把握し、戦争終結に向け、わたしたちに何ができるか考えたい」と力を込める。2月末から始めた授業は7回を数えた。

 メディアリテラシーは、メディアの情報を正しく見極め、読み解く力。授業は同協議会事務局長が担当し、神戸新聞朝刊の各面からウクライナ侵攻の関連記事を探してもらうワークショップなどを行っている。侵攻が始まった翌日の2月25日付朝刊の関連記事は34本に上った。

 その上で、新聞の特長である網羅性・一覧性などを説明し、「見出しだけでも一通り目を通せば、人命が奪われ続けているウクライナの状況や、各国の反応、経済への影響など、全体像が見えてくる」とする。

  気になった記事の関連記事を探し、関心を深める▽新聞各紙を読み比べ、記事の扱いや視点の違いを知る―なども勧めている。

 さらに、有事における会員制交流サイト(SNS)の功罪や、ロシアのプーチン大統領が軍事行動に踏み切った歴史的背景などを解説。「力による外交に対抗するには、強靭(きょうじん)な民主主義の国づくりが必要」「今回の出来事を、日本や世界の未来について友達や家族と話し合う大きな契機にしたい」と強調している。

 3月22日には、南あわじ市の広田中学校で授業を行った。生徒からは「今、誰もが平和について考えている。しっかりと正確な情報を得て、平和のためにできることをしたい」「世界情勢から地域ニュースまで、正確な情報を得るため新聞を読みたい」などの感想が寄せられた。

 同校の河野真也教諭(43)は「ウクライナ有事をはじめ社会の動きを自分のこととして考え、情報を整理するには新聞活用が有効」と話している。

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(3月27日)

[写真説明]ロシアによるウクライナ侵攻の関連記事を探す生徒たち=南あわじ市広田中筋、南あわじ市・洲本市組合立広田中学校

授業で使った資料から抜粋

 ※「有事のメディアリテラシー」の授業は尼崎市立立花南小学校、加古川西高校、姫路市立朝日中学校、多可高校、南あわじ市・洲本市組合立広田中学校、須磨友が丘高校、伊川谷高校、尼崎市立南武庫之荘中学校、大阪市立梅香中学校、兵庫高校、神港学園高校、2022年度NIE兵庫セミナー(教員向け、西宮市立浜脇中学校の生徒も参加)、西宮市立西宮高校(「主権者教育」の一環として)、蒼開高校(同)、クラーク記念国際高校芦屋校(同)、播磨特別支援学校(「新聞の読み方」「主権者教育」の一環として)、葺合高校(「新聞の作り方」の一環として)、神戸市立夢野中学校(「SDGs新聞作り」の一環として)、滝川中学校(同)、加古川市立加古川中学校(「新聞で調べ学習」の一環として)、明石市立中崎小学校(同)、神戸市立西須磨小学校(「新聞について知ろう」の一環として)、伊川谷高校(「新聞の持つ表現力」「18歳成人のあなたへ」をテーマにした授業の一環として)、須磨学園高校(「生徒の全質問に答える」授業の一環として)、神戸市立神出児童館(「新聞と新聞記者の仕事を知ろう」をテーマにした授業の一環として)、神戸市立住吉中学校(「新聞記者って楽しい?」をテーマにした授業の一環として)、丸山中学校西野分校(NIE授業の一環として)、南あわじ市・洲本市組合立広田中学校(「主権者教育」の一環として)、神戸市立竜が台小学校(新聞の特長や役割を学ぶ授業の一環として)、神戸学院大学(情報リテラシーを学ぶ講義の一環として)、流通科学大学(同)、姫路市立豊富小中学校(「播磨の戦争遺跡と平和の遺産」をテーマにした授業の一環として)、同市立大塩小学校(同)で行いました。兵庫教育大生を対象にした「NIEと新聞社の仕事を学ぶ研修会」でもウクライナ有事を取り上げました。

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年4カ月―。現在も多くの学校で「有事のメディアリテラシー」の授業を行っています。