教員によるNIE実践

新聞ノートで表現力養う 尼崎市立南武庫之荘中

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  興味ある記事を要約、グループ討議

    尼崎市立南武庫之荘中学校の2年生225人が、日刊紙6紙を読み比べ、記事の要旨や感想を書き記す「新聞ノート」の作成を続けている。教育現場で新聞を活用するNIE活動の一環。話を簡潔にまとめる「要約力」や、自身の意見を端的に伝える「表現力」を養う取り組みといえそうだ。

 同校は2021年度の日本新聞協会NIE実践指定校。生徒たちは1学期の国語の授業で、新聞記事を100字以内に要約し、200字以内で感想や意見を記すノートづくりに取り組んできた。

 例えば昨年4月、競泳の池江璃花子選手が白血病から復活し、東京五輪代表入りを果たした記事。生徒たちは「どのような気持ちで白血病と闘ったのだろう」と池江選手の心情に思いをはせ、「白血病について知識を深めたい」などとまとめた。

 昨年12月13日には、2年1組で発表会があった。テーマは「国連の持続可能な開発目標(SDGs)」で、約35人の生徒が4人程度のグループに分かれ、それぞれが選んだ新聞記事をもとに意見を交わした。

 ある生徒は「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」関連の記事を取り上げた。森林破壊を止めるため、各国が官民合わせて2・2兆円近くを援助する―という内容に「巨額の資金をどう調達するのか」と首をかしげた。

 各グループ代表による発表もあった。「『気候正義』実現への道」という記事を取り上げた生徒は、地球温暖化による海面上昇で水没の危機にある南太平洋の島国ツバルについて「先進国に生きる一人として、具体的な救済策を考えないと」と強調した。

 生徒たちは「記事を通し、水質汚染の課題解決など私たちがすべきことを考えることができた」(中川堪太(かんた)さん)、「グループ討議で、自分とは違う考え方に気づかされた」(藤原優花さん)、「SDGsにちなんだ記事を読み込むことで、関連する事柄や諸外国の実情を深く知ることができた」(本橋天花さん)などと振り返った。

 同校国語科の中嶋勝教諭によると、生徒たちは記事の要約も、回を重ねるたび上達してきたという。「多様なニュースから興味関心のある記事を選ぶことで意欲的に取り組むようになった」と手応えを語る。

(兵庫県NIE推進協議会コーディネーター 石原丈知)

[写真説明]「新聞ノート」を持ち寄ってグループ討議する生徒たち=尼崎市南武庫之荘4、南武庫之荘中学校