2021年12月アーカイブ

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 兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、神戸市立大沢小学校は11月24日、産経新聞神戸総局の入沢亮輔記者に「ニュースって楽しい!と題した授業を行っていただき、5年生10人が参加しました。

 第1部は、「新聞記者ってどんな仕事?」をテーマに入沢記者の話を聞いたり、クイズ形式で記者のかばんの中身を想像したりしました。「大阪で起きた森友学園問題の取材では、暑い日も寒い日もじっと立ったまま待つということもあった」というお話に、子どもたちは、記者の仕事の大変さに思いをはせていました。一方で、「自分の知りたいと思うことを調べることができ、それをみんなに伝えることは楽しい」と聞いて、記者としてのやりがいを感じ取っていたようです。

 第2部は、実践編「記者体験をしてみよう」。まず、入沢記者が、担任の先生に「好きなこと」をインタビューする様子を見せていただきました。担任の先生は、読売ジャイアンツのファンです。「なぜ、ファンになったのか」「好きな選手は?」「今シーズンの戦いぶりをどう思うか」。(担任の先生「来シーズンは優勝します」)。次々に話を聞き出していく様子に子どもたちは「さすが」と感動していました。

 さらに驚いたのは、休憩の10分間で取材内容を記事に仕上げられたことです。記事にするときには、「いつ・どこで・誰が・何を・へえ、そうなんだ」を入れることが大切だと教えていただきました。「へえ、そうなんだ」と記者自身が驚いたり面白いと感じたりするような内容を取材で聞き出すことで、よい記事になることが分かりました。また、聞きながら次の質問を考えておくとスムーズにインタビューが進むということも教えていただきました。

 続いて、子どもたちが実践! 2人一組で「好きなこと」をインタビューし合いました。メモを取るのが追いつかなかったり、次の質問を考える余裕がなかったりと苦戦していましたが、記事を書くのは予想以上にスムーズにできました。実は、教室前のスクリーンに入沢記者の記事が映し出されていて、それを見習いながら全員が時間内に書き上げ、みんな満足そうでした。

 子どもたちからは「友達の知らない面を知ることができて楽しかった」「これから新聞を読むときには、いつ・どこで・誰が・何を・へえ、そうなんだ、を意識して読もうと思う」「新聞に興味が出て読みたくなった」といった感想が出されました。

 今、新しい学習指導要領のもと「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指しています。今回の入沢記者との実践的な学習は、相手との対話の中から驚きや面白さを聞き出していく活動、つまり主体的に自ら追究していく活動でした。まさに今求められている教育を体現できたと感じました。非常に意義のある学習となりました。

長﨑康子(神戸市立大沢小学校校長)(12月28日)

[写真説明]「好きなこと」をインタビューし合う子どもたち

21年11月25日付産経新聞朝刊神戸版の記事

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 新聞を教育現場で活用する「NIE」活動の一環として、神戸市西区の県立神戸高塚高校で12月20日、1年生約190人を対象に、産経新聞神戸総局の岸本佳子総局長が授業を行った=写真。「記事を書くために大切なこと」と題した講演で、「5W1H」「逆三角形」の重要性を解説。「みなさんの表現活動にも役立ててほしい」と呼びかけた。

 同校は昨年度、日本新聞協会のNIE実践校に指定。1年生は「探究基礎・特色探究基礎Ⅰ」の授業において、新聞を通して課題の発見、情報収集、分析・発表に取り組んできた。その参考になればと、記者を講師に招いた。

 岸本総局長は、まず文章の基本となる「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」を指し示す「5W1H」について説明。続いて、新聞記事の特徴である、結論から始まり説明、補足と続ける「逆三角形」の文章構成について「桃太郎」を例に解説し、「人に伝えたい文章を書くには、あれもこれも詰め込むのではなく、一番伝えたいことは何か、よく考えて書いてほしい」と話した。

 1年生の石垣胡汰郎さんは、「新聞の文章の構成はとてもよく考えられている、ということがわかった。自分も意識してやってみようと思う」と話していた。=21日付産経新聞朝刊神戸版

 生徒の感想 赤﨑郁歩(かほ)さん「『5W1H』を意識すると事実がよく伝わる文章になることが分かった」

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

■加古川市立志方中学校(12月7日、対象・3年生約60人) 読売新聞姫路支局の渡部哲也支局長が、記事の読み方や「逆三角形」などの記事のスタイル、文章を要約した見出しの大切さを語った。生徒たちに、読売中高生新聞に掲載された女優・川栄李奈さんのインタビュー記事の見出しを考えてもらったりした。

生徒の感想 01

生徒の感想 02

 日本新聞協会は12月21日、家族や友人と新聞を読み、話し合ってまとめた感想文が対象の第12回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の最優秀賞に、東京都北区立王子第二小5年、佐藤せり花さんら3人を選んだと発表した。国内外の小・中・高・高専生から計6万4513点の応募があった。兵庫県内からは2331点の応募があり、個人の奨励賞に7人、学校奨励賞に5校が選ばれた。県内の入賞は次の通り。(敬称略)

 【奨励賞】林美羽(神戸大付属小3年)=神戸新聞8月29日付週刊まなびー「なんと高さ70㌢!虹色かき氷いかが」を読んで▽小林明香里(西宮市立浜脇中1年)=読売新聞8月12日付朝刊「アジア系米国人(2)若い世代 差別抗議」を読んで▽齋藤音葉(愛徳学園中3年)=神戸新聞6月20日付朝刊「教室はまちがうところだ 中学教諭の詩 読み継がれ半世紀」を読んで▽栃本千裕(鳴尾高1年)=朝日新聞7月25日付朝刊「いま子どもたちは いじめの過去と闘う 裁判を終えて」を読んで▽肱岡和樹(御影高1年)=朝日新聞8月19日付朝刊「大人の『契約』よく知って」を読んで▽安井駿(尼崎北高2年)=読売新聞6月21日付夕刊「世界ALSデー」を読んで▽面出朱里(兵庫高2年)=神戸新聞7月19日付朝刊「『病の語り』に導かれ(3)あなたのこと覚えている」を読んで

 【学校奨励賞】兵庫教育大付属中、尼崎市立南武庫之荘中、西宮市立浜脇中、神戸女学院中、神戸山手女子中高

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 兵庫県NIE推進協議会が県内の中学・高校や大学で、1票の意義について考える「選挙報道と主権者教育」の授業を続けている。「18歳選挙権」が2016年に導入されて6年。成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法の施行も来年4月に迫り、同協議会は「若者の社会参加を促したい」と力を入れる。

 同協議会事務局長が各校を訪れ、新聞の社会的任務である選挙報道について説明する。また、「どの政治課題に関心があるか」を考えるグループ討議や、国の予算額から「1票の価値」を換算するといった実践を通じ、政治を身近に感じてもらう。衆院選を前に今年9月から始め、延べ10回を超えた。

 10月には多可高校(多可町中区東山)で3年生36人に実施。今年7月の兵庫県知事選を取り上げ、世論調査や出口調査をはじめとする選挙報道を説明した。また、新聞社などが主催した立候補予定者の公開討論会の意義についても解説した。

 政治課題についてのグループ討議では「医療従事者を目指しているので、医療の現状に関心がある」「子育てに関心がある。待機児童を減らすため保育士の待遇改善が必要」など、生徒らが活発に意見を交わした。「1票の価値」をお金に換算するのは、滋賀県立大学環境科学部の村上一真准教授が考案した計算式で、生徒たちの興味を引いた。

 投票するかしないかで政策決定が左右されるゲームも行った。同校3年の金沢健斗さんは「選挙に行くのは自分たちのためだと実感した」と話した。

 10代の投票率は国政選挙で低迷していたが、10月の衆院選では回復傾向。会員制交流サイト(SNS)では若者に投票を呼びかける運動も起こった。9月22日に授業を受けた神戸山手女子高校(神戸市中央区)の近藤隆郎教諭は「報道を通して政治や選挙をとらえ直すことは、生徒が視野を広げたり、より深い理解を得たりすることにつながっている」と話している。

                          ◆

 12月16日に行った尼崎市立南武庫之荘中学校の授業では、2年生約210人が事前に記入したワークシート「どの政治の争点に関心があるか」を持参し、グループ討議した。

 生徒たちの選んだ「関心のある政治の争点」はこちら

三好正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2021年12月22日)

[写真説明]関心のある政治課題について、グループ討議する生徒たち=多可高校

 ※主権者教育の授業は神戸山手女子高校、伊川谷高校、多可高校(2回)、クラーク記念国際高校芦屋校(2回)、西宮市立西宮高校(2回)、流通科学大学、尼崎市立南武庫之荘中学校、神港学園高校、姫路女学院高校(2回)、蒼開高校、播磨特別支援学校、南あわじ市・洲本市組合立広田中学校、有馬高校、神戸市立高倉中学校、伊川谷高校(「18歳成人のあなたへ」をテーマにした授業の一環として)で行いました。

 ※12月17日の公開授業(発表)で事例発表した西宮市立浜脇中学校の渋谷仁崇教諭に、ねらいや展望をご寄稿いただきました。

                           渋谷仁崇・西宮市立浜脇中学校教諭 

NIEノートについて

 NIEノートは、生徒各自が興味を持って選んだ新聞記事を貼り付け、「感想」を書き込むノートです。政治、経済、スポーツ、科学、宇宙、環境など,取り上げる分野は自由です。

 生徒たちは記事を毎週一つ選んでノートにまとめ、社会科の授業の冒頭に電子黒板上でプレゼンテーションします。また、お互いに発表 内容をメモにとります。令和2(2020)年度末に1人1台ずつ配布されたタブレットパソコンを活用する生徒も増えてきました。課題は週に記事一つを原則としていますが、自ら進んでたくさんの記事を調べたり、記事から発展させてより深く内容を掘り下げたりする生徒も増えています。毎回、個性的な記事や世界の動きについての記事などを発表しています。

ねらい

 社会の動きに対する興味関心をさらに高め、世界に目を向け,社会的な思考力を持って、自分の意見やアイデアを表現できる人物の育成を目指しています。

まとめ・今後の展望

 成果として、全国学力調査では「新聞を読む」と回答した生徒が全国平均を超えました。また、日本新聞協会主催の「いっしょに読もう!新聞コンクール」で学校奨励賞を受賞し、個人賞も受賞する生徒もいました。全校生で参加するなど、保護者、地域とも協力をしています。保護者からも「家庭内でニュースに関する会話が増えました」「今まで新聞をとっていなかったけれど、とるようになりました」などの声も聞いています。道徳や国語、家庭科など,教科をまたいで活動にも力を入れています。また生徒たちの書いた「社会に対する意見や感想」が神戸新聞に掲載されました。トライやる事業での兵庫県NIE推進協議会の講座により、生徒自身が取材し、記事を考え、新聞作りを体験しました。また、2025年の大阪・関西万博に向けて「SDGs」をテーマにジュニアEXPOに参加し、企業の考えを聞き、生徒との意見交換も行いました。

 今後も、多面的・多角的に物事を判断できる生徒を育成する環境をつくっていきたいと思います。生徒一人一人が社会全体や世界の動きに対し、興味や関心を高め、主体的に考える力を身につける取り組みとして、NIEノートを続けていきたいと考えています。

 ■県立西宮高校(11月4日、対象・2年生約280人) 日経新聞神戸支社の堀直樹支局長が「『裏付け』の大切さ」をテーマに講演した。「情報収集の際に事実関係の裏付けをとり、情報発信の際には内容や表現を精査することが極めて重要になる」と強調し、新聞社ではどう裏付けをとっているのかを解説した。

生徒の感想

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 兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、県立西宮高校で11月4日、日本経済新聞社神戸支社の堀直樹支局長が「『裏付け』の大切さ」をテーマに、2年生約280人に向けて話をした=写真。

 当日の内容は、インターネット上に情報が氾濫(はんらん)し、猛スピードで拡散する現代においてこそ、情報収集の際に事実関係の「裏付け」をとることを常に意識し、情報を発信する際には内容や表現を精査することが極めて重要になると説明した。

 そして新聞社ではどのように「裏付け」をとっているのかを解説。記者が取材や記事を執筆する際に事実確認に細心の注意を払っていることや、社内の複数の人間がクロスチェックでミス防止に取り組んでいることを紹介した。確認作業を怠ったり思い込みで記事を書いたりすると大きな失敗を招きかねないことを具体的な事例を交えて話した。

 ネット社会ではフェイクニュースがますます巧妙化し、ネット検索やSNSの特性として偏った情報が集まりがちになることを指摘した。その上で新聞記事が情報の洪水の中で一つの道しるべや座標軸になると説明し、紙面の構成や記事の読み方などの活用方法を簡単に紹介した。

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

■神戸市立淡河小学校、同市立有馬小学校、養父市立宿南小学校、淡路市立大町小学校(12月17日) 4校の児童たちがふるさとの歴史・観光と町の話題を取材し、共同で新聞を製作。オンライン授業で発表し合い、質問や感想を交わした。教員による「NIEで小規模校を繋(つな)ぐ研究チーム」の活動の一環で、 より多くの児童が交流できる機会となった。 

淡河小 児童の感想

有馬小 児童の感想

宿南小 児童の感想

大町小 児童の感想

ougoougokoutoku.JPG 神戸市北区淡河町萩原の淡河好徳幼稚園の園児28人と、隣接する淡河小学校1、2年生17人が、新聞紙で建物など造形物を完成させました。協力して頑丈に作り上げました。新聞紙を使った工作も新聞活用術。これからも新聞に触れる機会を増やしてほしいです。

   (兵庫県NIE推進協議会事務局長 三好正文)

 9月、淡河好徳幼稚園で行われた「幼児向けNIE活動」の記事はこちら。

 11月、大沢幼稚園(神戸市北区大沢町)で行われたNIE活動の記事はこちら。

■兵庫教育大付属中学校(11月19日、対象・1~3年生262人) 産経新聞神戸総局姫路駐在の小林宏之記者が「ミライに必要な力」と題して講演し、「書いた記事が社会を動かすこともあり、何かに貢献もできる」と強調した。生徒たちと新聞や記者をめぐる座談会もあり、模様は全教室にリモート配信した。 

生徒の感想 01

生徒の感想 02

生徒の感想 03

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 県内の4小学校が合同で作った新聞のオンライン発表会が12月17日、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で開かれた。児童たちはそれぞれの地元で取材した歴史や自然、町の話題について伝え合った。

 神戸市北区の淡河小と有馬小、淡路市の大町小、養父市の宿南小。教員による「NIEで小規模校を繋(つな)ぐ研究チーム」の活動の一環で、より多くの児童が交流できる機会にと企画。11月に合同で新聞を製作した。

 淡河小が江戸時代の大名が泊まった「淡河宿本陣跡」について紹介したほか、有馬小はホタルの飼育や幼虫の放流、大町小は給食で出た淡路牛のステーキやハモの天ぷら、宿南小は県内一高い氷ノ山など、各校とも思い思いのテーマで取材した内容をアピールした。

 発表後、「(本陣跡の)うぐいす張りってどんな音がするの」「氷ノ山を登ってみたい」といったお互いの発表に対する質問や感想を交わした。

 淡河小5年の石井咲来さん(11)は「記事はポイントを集めて短くまとめるのが難しかった。(他校の)発表では有馬小のホタルの飼育がすばらしいと思った」と話した。(小野萌海)=18日付神戸新聞朝刊広域A・B版

[写真㊤]オンラインで交流する児童たち=神戸市北区淡河町萩原、淡河小

[写真㊦]交流の感想を発表する児童=養父市八鹿町宿南、宿南小(宿南小提供)

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4校の児童が共同製作した新聞はこちら。

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

※担当した4人の先生の寄稿はこちら。

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 西上三鶴・兵庫県教育長

 生徒が生き生きとしている授業の雰囲気が素晴らしい。お聞きすると、生徒が関心をもっていることをつかんで授業を進めるためのキーワードは、「NIEノート」にあるとのこと。

 生徒にとっては、自分が関心する記事を集め、意見を考え、そしてまとめる力を育成することにつながる。

 一方、先生にとっては、授業のはじめに生徒のノートを確認することで、生徒の関心がどこにあるかを探っているとのこと。でも、即座に、授業をどう進めるかを判断する能力があってのことではあるが。

 こうした取り組みは、生徒だけでなく先生にとってもNIE活動ならではの成果なのかもしれない。

 新聞づくりも、これから必要な能力。今や高校生にも、ポスターセッションやプレゼンの機会が増えた。きっと役立つ。

 また、ICTは、新聞をとっていない家庭での学びを補ってくれる。新聞づくりにも。

 これからは、NIE活動もICTを効果的に組み合わせることが重要である。

 あらためてNIE活動の広がりを感じた授業でした。

   愛徳学園中・高校 米田俊彦教諭

 発表では「NIEノート」の楽しさを知り、ノートが十数冊に及ぶ生徒もいるとお聞きしました。生徒の達成感やさらに知りたいという意欲を高める日ごろの取り組みが大きな効果を上げていることに感服し、一人ひとりの生徒との関わりの大切さを痛感しました。

 生徒のアンケートからは「新聞を毎日読む」「週に2、3回読む」と答えた割合に、「月に2、3回読む」まで加えると「新聞を読む生徒」の割合は全国平均の2.3倍に上り、感動を覚えました。

 さらに自宅で読んだ新聞を学校に持ち寄り、読みたい生徒が自由に持ち帰れる仕組みは新鮮で、購読率が低下する中、より多くの生徒が新聞に親しむことにつながっていて、大きな可能性を感じました。

 大変有意義な時間でした。こうした取り組みを継続し、高校での学びにどう生かすか、高校から新聞を読み始める生徒をどう増やすか、授業での関わりや学校の仕組みづくりが必要だと感じました。

 また、コロナ下の対応として、例年の公開授業と違って、全体の説明をした後、授業や活動の様子を長めの動画で見せるのも、取り組みや授業の意図がよくわかる手法だったのではないかと思います。

 明石市立高丘中学校 池田 靖教頭

 公開授業に参加させていただき、新聞活用に対する、同じような思いの方々や実践されている先生方に出会うことができました。新聞の設置方法や校内の組織について、同じ教科の先生方との連携など細かなところまで教えていただきました。本当にお世話になり、ありがとうございました。

 芦屋市立潮見中学校 松下優子教諭

 インターネットによる情報が生徒の中に大きく入り込んでいる現在、新聞に親しませるには授業で扱うことが最も近道だと思います。そのための特別な時間を作るよりも、生徒にとっての「日常」に組み入れてしまうことが一番だと、あらためて実感しました。

 「NIEノート」は私の担当する国語科としても取り入れてみたい取り組みです。確実な情報を手に入れる手段として、また、確かな文章を読むことで考えを広めたり深めたりする手段として、少しでも新聞に触れる時間を持たせたいと思っています。

   宮崎県キャリア教育支援センター 水永正憲トータルコーディネーター

   浜脇中学校のNIE活動は、生徒たちの「主体性」を引き出す素晴らしい取り組みだと感じました。「NIEノート」という手法が学校内で定着している様子もよく分かりました。先生や親に与えられた情報ではなく、自分で新聞などのメディアから情報を選んでいくことを積み重ねることで「主体性」が生まれるに違いないと思います。浜脇中学校の生徒たちは、このような実践を体験しつづけることで、将来社会に出て主権者になった時に、民主主義の要である「投票する」ことにも積極的になれるのではないかと感じました。

 トライやる事業と重ねて、新聞づくりをされていますが、コロナ禍で職場体験が中止になる中で、新しい取り組みだと思いました。ぜひとも宮崎でも実践してみたいと思います。また、兵庫県NIE推進協議会との連携も緊密で、実践的な学びが実現できていることにも感銘を受けました。

      

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 NIE(教育に新聞を)活動の一環で、日常の学校生活に取り入れている「NIEノート」の事例発表会が12月17日、神戸市内であった。西宮市立浜脇中学校の渋谷仁崇教諭(42)が、社会への関心を高めるため新聞記事のスクラップを続け、意見発表することの有効性を語った。

 県NIE推進協議会が企画。発表会は、コロナ対策として、例年の公開授業の代わりに、事前収録した授業風景の動画も流す発表スタイルにした。

 NIEノートは、生徒各自が選んだ新聞記事を貼り付け、感想を書き込むノート。生徒たちは毎週、記事を一つ選んでノートにまとめ、社会科の授業の冒頭に電子黒板上でプレゼンテーションしている。

 生徒が選ぶ記事の傾向として、渋谷教諭は「3年生になると、自らの実生活や関心事について多様な発表がみられ、記事の読み比べやニュースの追跡も増える」と説明。「NIEノートの取り組みから新聞を読む習慣が育まれている」とした。

 11月、音楽家やユーチューバーら各分野の講師が行った授業を、生徒たちが取材し新聞製作した取り組みなども紹介された。

 発表会はビデオ会議アプリも併用し、県内外から教育関係者約40人が参加した。姫路市立白鷺小中学校の山口偉一校長(61)は「関心のある記事を自ら選び、意見交換することで主体的・対話的な学びが生まれる。よい実践だと思った」と話していた。(三好正文)=18日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]NIEノート活用の実例を発表する浜脇中学校の渋谷仁崇教諭=神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社報道展示室(撮影・金居光由)

■尼崎市立南武庫之荘中学校(12月16日、対象・2年生約210人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「主権者教育」の授業を行い、「若者が投票しなければ、世界や日本はよくならない」と強調した。生徒は、事前に「どの政治の争点に関心があるか」に回答し授業でグループ討議した。 

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 1票の意義を考える「選挙報道と主権者教育」の授業が12月16日、尼崎市南武庫之荘4の南武庫之荘中学校であり、2年生約210人が参加した。

 県NIE推進協議会は本年度から、記者派遣事業の一環として「主権者教育」に取り組んでおり、中学校でも授業を行う。「18歳選挙権」が導入されたのは2016年。今年10月の衆院選では10代投票率は43・01%(総務省の抽出調査による速報値)と回復傾向がみられた。SNSを通じ若者に投票を呼び掛ける運動も起こった。

 授業は、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。生徒たちは「どの政治の争点に関心があるか」を考えるグループ討議などを通じ、1票の大切さを学んだ。生徒たちが上げた争点は、コロナ下の医療・保健や経済・財政のほか、男女共同参画社会の推進や宇宙開発など多岐にわたった。

 三好アドバイザーは「関心をもった争点について友達や家族で話し合ってみよう」「18歳になったら投票に行こう。意見がぴったりでなくても、よりよい候補者を探す努力を」と呼び掛けた。

[写真説明]関心のある政治の争点について話し合う生徒たち=南武庫之荘中

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。生徒の選んだ「関心のある政治の争点」はこちら。

※日本新聞協会NIEサイトにも「1票の意義考えよう 兵庫県推進協が主権者教育で出前授業」としてリポートが掲載されています。リポートは こちら。

 1票を投じる意義を考える「選挙報道と主権者教育」の授業(兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業)を12月16日、尼崎市南武庫之荘4の南武庫之荘中学校で開くのを前に、受講する2年生のみなさんから「どの争点に関心があるか」に対する回答が届きました。

 中学生の関心がどこに向いているかがよく分かります。ご一読ください。

                                                             (兵庫県NIE推進協議会事務局長 三好正文)

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 ※11月26日の公開授業(発表)で事例発表した神戸高塚高校の伊東琢麿教諭に、ねらいや展望をご寄稿いただきました。

                           伊東琢麿・兵庫県立神戸高塚高等学校教諭

◇ねらい

 本校では3年間の探究プログラムを設定し、内容知(世界・日本・地域社会の現状、SDGsの視点)と方法知(探究プロセス、コミュニケーション力、言語運用能力、情報リテラシー)の習得、及び、これからの社会生活でも求められる「情報収集力・分析力」「課題発見力」「情報整理力・まとめる力」「発表する力」の育成を目指しています。

◇感想

 NIEの活動は、世界にあふれる、さまざまな出来事へのアプローチとして最適だと考えています。複数の新聞から得られる、さまざまな分野の情報は、生徒の興味・関心を引き、「答えのない問い」へ挑戦する第一歩になっています。今後ますますDXが社会的に進んでいきますが、机上でさまざまな情報に一度にアクセスできるメリットは大きいと感じています。引き続き複数の新聞を探究活動に利用できればいいと考えています。

◇今後の展望

 本年度で3年のプログラムをすべて実践できました。3年生の生徒のアンケートには、「社会への関心を持つようになった」「今後の社会生活で役に立つ知識や技術が身についた」「大学で学びたい内容が見つけられた」等の意見が見られました。今後も引き続き、生徒の興味・関心・進路に応じた分野について、生徒自身が役に立つと思える活動を展開できるようにプログラムを改善していきます。

   また、本校の探究活動の趣旨に賛同し、ともに歩んでくださる人と協働して本校の探究プログラムを推進していきます。

    新聞を学習に活用するNIE(教育に新聞を)の授業が12月7日、加古川市の市立志方中学校であり、読売新聞姫路支局の渡部哲也支局長(53)が中学3年生約60人に記事の読み方や見出しの大切さなどを語った。

 志方中は今年度のNIE実践校。渡部支局長は生徒たちに、新聞記事は大事な内容が最初に書かれ、その後により細かな内容が続いていく構成になっていることを伝え、文章を要約した見出しの重要性を語った。

 また、「起承転結」の構成となった読売中高生新聞のインタビュー記事を配り、見出しを考えてもらったほか、来年に受験を控えた生徒たちに「面接に備え、日々のニュースにも敏感になってほしい」と話した。

 山下芽生君(15)は「内容が簡潔にまとめられているのが見出しとは知らなかった。これからの受験対策にも生かしていきたい」と話した。=8日付読売新聞朝刊姫路版

[写真説明]読売中高生新聞に掲載された女優・川栄李奈さんのインタビュー記事の見出しを考える生徒たち=志方中学校      

 sikatatyuu1.JPG ※写真は兵庫県NIE推進協議会が撮影

 生徒の感想 高田有彩さん(15)「見出しが記事全体の内容を的確に表していることが分かった」 

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

多可高校 生徒の感想

■多可高校(10月22日、対象・3年生36人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「主権者教育」の授業を行い、「投票に行くことが、コロナ対策にも若者の声を反映させる近道」と強調した。生徒たちは、投票に行くか行かないかが政策を左右するゲームなどを通じ、1票の大切さを学んだ。 

生徒の感想

 西宮市立浜脇中学校のNIE公開授業が12月17日、神戸市中央区東川崎町1の神戸新聞社報道展示室である。NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会の主催。同校の渋谷仁崇教諭が「日常の学校生活に取り入れるNIE活動」をテーマに、動画を含め、校内のNIE活動について報告する。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」でも公開する。

 参加無料。午後2~4時。意見交換会もある(ズームでの参加可)。希望者は12月9日までに申し込む。申込書は同協議会のホームページから取り出せる。同協議会☎078・362・7054、ファクス078・362・7424

NIE公開授業の案内を開く

鳴門教育大学大学院学校教育研究科(教職大学院)井上 奈穂さん

 他県のNIEの取り組みに興味を持ち、参加させていただいた。初参加だったが、大きな刺激を受けた。伊東先生のご提案された高校の「総合的な探究の時間」の実践は大変興味深かった。

 本実践では、3年間の学習の見通しを持った段階的な「課題発見・課題解決能力の育成」を目指していた。第1学年では、探究の基礎を身につけるためのグループ学習、第2学年以降は、個人での探究を深める時間が設定され、ルーブリックを通して生徒と教員が「学習のイメージ」を共有し、生徒相互の意見交換等を通し具体化していくことが計画の中に緩やかに組み込まれ、カリキュラムマネジメントの面からみても非常に優れていると感じた。

 探究のプロセスだけでなく、新聞6紙を「探究」のための共通教材として位置づけ、探究の内容の質も保障していた。新聞というメディアの特徴の一つに「情報の一覧性」がある。毎日、情報が更新される新聞が教室の中にあり、それを全員が読み、アクセスできる環境をつくることで、自身の知らなかった新たな情報を得ることができ、自身の新たな興味関心に気づくこともできる。

 今の社会はこれまで以上に情報に囲まれている。何か知りたければ、ネットで検索すればすぐに分かる。一方、自身が興味関心がない情報はアクセスすらできず「タコつぼ化」している。そのような現状を踏まえれば、玉石混淆(こんこう)の情報があふれる社会に踏み込む前に、「新聞」というメディアを使用し、自身の興味関心を広げ、情報活用の能力を鍛える機会を持つことは非常に有意義なのではないだろうか。2023年度から高校では新しい学習指導要領が始まり、「探究」はひとつの目玉となっている。この「探究」に新聞は大いに役立つのではないか。ぜひ、徳島でも本実践を紹介し、よりよい実践につなげていきたい。

岩橋 達彦・兵庫県立尼崎北高校教諭 

 圧倒的な情報量に「圧倒」されました。同じ1年生のはずなのに、発表の質が違えば量も違うことに、驚きを隠せませんでした。

 生徒たちが、継続的に新聞を読み続けていることによって、情報のデータべースができあがっていたから、あのような発表ができたのだと思います。

 しかも、指導教員があの発表に不十分な点を指摘したことにも驚きました。私からすれば、十分な発表だったと思います。しかし伊東先生の改善を促す姿勢に、より深い学びへ誘う熱意を感じました。

 あの学びを継続的に取り組めば、多様な視点を手に入れることができると思います。3年次では小論文や面接などできっと役に立つことでしょう。普段は校務に忙殺されていますが、何らかの形で取り入れたいです。

 毎度、NIEの発表には驚きと発見があります。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

瀧口 梓・兵庫県立尼崎高校教諭、日本新聞協会NIEアドバイザー

 発表を聞いて、まず初めの感想は私にはできそうにないなと思うくらい壮大な実践だと思いました。

 しかし、実践の方法や困難だった点などを丁寧にお話してくださったおかげで、今から高校で本格的に始まっていく探究活動をどのように進めていくかビジョンが見えてきました。そして、探求活動を行うための情報のインプットのために新聞が最適だということも再認識することができました。

 探究活動とはさまざまな科目で身につける知識や能力を使い、中等教育と高等教育の橋渡しになる重要な活動だと認識できる発表でした。

 ただ、高校で全員が探究活動するには教師の人数が本当に少なすぎると感じました。伊東先生はご自身が大学でやっているようなことを探求活動でしているとおっしゃっていましたが、大学ではゼミに入って多くても10人に1人ほどの割合で指導教諭が付くと思います。それを高校の探求では40人に1人。その人手のなさの中で、どれほど達成感のある活動にしていくのか、それが課題だと感じました。

本岡 諒也・神港学園高校教諭

 初めてNIEに触れました。教員2年目で、恥ずかしながらNIEについてまったく知識がなく、言葉すら知らないような状況でした。新聞の購読が減ってきている中、現在の高校生も新聞に触れ合う機会がほとんどないと思います。

 そのような社会状況下、社会科としても、現在起きている政治問題や経済問題、社会情勢について考えるための基礎的な知識、さらに考える力を身に付けさせる素材のひとつとして、新聞活用は非常に大切だと感じました。政治離れが深刻な中、現代を生き抜く力を育成するためにも新聞は好材料です。

 ただし、われわれ素材を扱う側の入念な準備が必要だということも考えました。計画から実行、素材の吟味や評価など、まだまだ無知なところも多いので、今後も新聞に触れつつ、こうした発表会に足を運べたらと思います。

■明石市立江井島中学校(11月25日、対象・3年生120人) 兵庫県NIE推進協議会の石原丈知コーディネーターが、プロバスケットボールの八村塁選手らにSNSで人種差別的なメッセージが送られたという記事を通し、人権問題を考える授業を行った。学習支援アプリ「ロイロノートスクール」を活用した。

生徒の感想