初めて学校で新聞を作ったときのことを覚えていますか?
現在、姫路市立豊富小中学校3年生の児童が「大豆新聞」を作成しています。大豆をテーマにした総合的な学習を通して、大豆を栽培・収穫・調理した体験をもとに、グループごとにテーマを設定し、記事を分担して模造紙にまとめていきます。
記事の作成にあたって、児童は学校図書館の図書資料や、1人1台のタブレット型端末を活用し「調べ学習」を進めています。各自で調べたことを大きな模造紙に新聞としてまとめるのは、3年生にとって初めて取り組む魅力的な学習です。
この「新聞づくりとの出合い」の手ごたえを今後につなげるため、いくつか工夫をしました。まず、栄養教諭や学校司書による学習支援です。大豆と身の回りの食品とのつながりについて考える「食育の授業」や、大豆に関係する図書資料を選書・各教室へ配架し、いつでも読むことができるようにする「調べ学習支援」など、校内の人材が「体験と学びをつなぐ場」を設定しました。
次に、地域資源による学習支援です。3年生の児童が大豆を育てているのは学校近くにある農場「わくわくファーム」です。地域団体の方に大豆栽培のノウハウを教えていただき、四季の移ろいと地域の温かさを感じながら取り組んできました。
そして、新聞記事の活用です。新聞づくりに際し、見出しの工夫や写真の役割などについて実際の紙面を参考にしました。大切にしたキーワードは「だれに」と「なにを」、つまり相手と目的です。児童は、自分も新聞記者になった気持ちで見出しやレイアウトを一生懸命考えていました。完成した新聞には、各自が作成した大豆の観察記録のQRコードも掲載する予定です。
新聞づくりに取り組んだ3年生の児童からは、「読む人が見やすいように丁寧に書きました」「みんなで協力して新聞をつくるのは、すごく楽しいです。大豆のことを、いろんな人に知ってもらいたいな」などの感想を聞くことができました。
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先日、6年生は奈良・京都方面への修学旅行で学んだことについて、クラウド型新聞製作アプリを使って個人新聞にまとめました。
7年生は人と防災未来センター(神戸市)での見学にタブレット型端末を持参し各自で取材しました。今後、収集した情報や体験から学んだことをもとに新聞にまとめていく予定です。
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本校は9年制の義務教育学校のため、発達段階に応じて新聞づくりの経験を積み重ねている様子がよくわかります。各学年では教科学習や体験活動のまとめとしての新聞づくりが進んでいるほか、新聞委員会(5~6年生)による学校新聞も発行しています。図書委員会(7~9年生)による図書通信の発行も始まりました。この委員会活動としての新聞は、自分たちで編集会議を重ねながらクラウド上で作成しています。
このうち、図書通信は学校内のWebサイトで公開し、児童生徒や保護者、教職員が自由に閲覧できる仕組みにしています。従来の紙での配付に比べ、作成における加工・編集が容易となり、より幅広い対象に鮮明で読みやすい情報を届けることができるようになりました。
これからも新聞づくりの経験を積み重ね、情報を発信する楽しさ、伝える喜を感じてほしいと願っています。
井上幸史(姫路市立豊富小中学校教頭/日本新聞協会NIEアドバイザー)(2021年11月22日)
[写真説明]
①タブレット型端末の情報も参考にしながら、模造紙に記事を書く児童
②人と防災未来センターで学んだことを記録に残す生徒
③クラウド型新聞製作アプリを活用した修学旅行新聞の例
④図書委員会の生徒が作成した「図書通信」の例