■尼崎市立立花南小学校(6月25日、対象・6年生110人) 毎日新聞阪神支局の中村清雅記者が授業を行った。新聞の構成や紙面の作り方、政治、経済、社会、地方支局など新聞社の組織と仕事を解説。2005年のJR福知山線脱線事故の紙面から、児童に見出しを考えてもらうワークショップも行った。
※同校は本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定
■尼崎市立立花南小学校(6月25日、対象・6年生110人) 毎日新聞阪神支局の中村清雅記者が授業を行った。新聞の構成や紙面の作り方、政治、経済、社会、地方支局など新聞社の組織と仕事を解説。2005年のJR福知山線脱線事故の紙面から、児童に見出しを考えてもらうワークショップも行った。
※同校は本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定
■伊川谷高校(6月25日、対象・1年生30人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「新聞の持つ表現力を考える」と題して講演。「見出しと前文で必要な情報はざっと分かる」「興味が広がれば関連記事を探そう」と呼び掛けた。インタビューの音声を聞いて記事に盛り込む事柄を考えたりした。
※同校は本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定
新聞の読み方や新聞の持つ表現力を学ぶ授業が6月25日、神戸市西区伊川谷町長坂の伊川谷高校であり、コミュニケーション類型の1年生30人が参加した。
同校は2021年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定している。授業は、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。
三好アドバイザーは、伝えたいことから書く「逆三角形」など記事のスタイルや、事実関係を伝える本記や雑感、解説記事など、さまざまな伝え方があることを紹介。「見出しと前文を読めば、必要な情報がざっと分かる」「興味が広がれば、各面の関連記事を探そう」と呼び掛けた。
生徒たちは、実際のインタビューの音声を聞いて記事に盛り込む事柄を考えたり、見出しをつけたりした。
桃下栞奈さんは「写真や表を入れ、読みやすいよう工夫しているのが分かった」、福木心海(みうな)さんは「新聞をもう少し読んでみたいと思った」と話した。
生徒たちは「朝の読書の時間」でも本紙を活用し、今年の「ひょうご新聞感想文コンクール」(神戸新聞社主催)にも応募する。=26日付神戸新聞朝刊神戸版
[写真説明]三好アドバイザーの話を聞く生徒たち=伊川谷高校
新聞の特長のひとつ「網羅性」を知ってもらうため、生徒たちに自宅で、25日付神戸新聞朝刊から新型コロナ関連の記事を探してもらった=関連記事は32本でした。
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
NIE(教育に新聞を)の一環として、尼崎市三反田町の市立立花南小で6月25日、毎日新聞阪神支局の中村清雅記者(37)が、出前授業をした。6年生約110人に新聞の構成や紙面の作り方などを解説した。
授業では、中村記者が毎日新聞には政治、経済、社会、地方支局などの取材部門があり、日々出稿される記事や写真を、編集部門で整理して紙面を作っていることを紹介。2005年のJR福知山線脱線事故の紙面を素材に、児童たちに見出しを考えてもらうワークショップも行った。
岩崎彩心(あこ)さんは「記事の大事な部分を抜き出して見出しにするのは初めてで難しかったけど、勉強になった」、三宅陽太さんは「これまでは新聞のことを学ぶ機会がなかったが、分かりやすく教えてもらえた」と話した。=26日付毎日新聞朝刊阪神三田版
[写真説明]自分たちで考えた見出しを発表する児童たち=尼崎市三反田町の立花南小で
児童の感想 田中月渚(るな)さん「『見出しは内容を説明するものでない方がいい』と知った。新聞作りに生かしたい」、江藤優和さん「新聞社はいろんな部署で新聞を作っていることを知って興味が深まった」
※同校は本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定。「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。
6月23日・愛徳学園中高校と神戸山手女子中高校をオンラインでつないで開催、Zoom(ズーム)でも公開 参加者約90人(時事通信神戸総局・丸山実子総局長の記者授業は愛徳学園の高1~3年94人も聴講)
【発表者のコメント】
<記者授業>
丸山 実子・時事通信神戸総局長
「進路を考えるときの材料になれば」と、この職業に就いたきっかけが「漢字」であることや、海外特派員の経験をお話しさせていただいた。伝えたかったのは、▽さまざまな取材相手や異文化との出会いを通じ、自ずと視野が広がること▽多様性を知り、受け入れることの大切さ・難しさ―だったが、時間オーバー。話の前置きとして、通信社や記者の仕事について紹介したため、こうした思いを伝えきれず、お恥ずかしい限りだった。
しかし、愛徳学園の生徒さんからいただいた感想には、「何がきっかけで自分に合う職業に出会えるか分からない。今の一つ一つの経験を大事にしよう」「現地に行かないと食い違いなど分からないことがあり、恐怖を感じたりするんだ。これをきっかけにニュースを見る機会を増やしたい」といった声。うれしく、ありがたく思った。
<タブレット体験ワーク>
近藤 隆郎・神戸山手女子中学高校教諭
香港紙・アップル・デイリーが、発行停止に追い込まれた。言論の自由を封じる暴挙に怒りが込み上げる。
一方で、それが保障されているわが国で新聞離れが進んでいることに重大な危機感を覚えている。
新聞、とりわけ紙の新聞は、知りたい情報をピンポイントで探すだけでなく、その一覧性により知らなかったこと、興味や関心すらなかったことと出合えることが最大の特長といえるだろう。学齢期の子どもたちにとって、それがいかに大きな意味を持つのかはあらためて論じるまでもないことだ。インターネット全盛の時代だからこそ、検索のための道具としてではなく、脳にシワ、心にヒダを刻むための手立てとして授業で紙面を活用する必要性はかえって高まっている。
今回のセミナーでは、小学校から高校まで使えるワークシートと、それをICT機器で活用する方法についてご紹介した。
NIEをICTで進めることに関心をお持ちの方に多少なりとも参考にしていただけたなら、幸甚至極である。
廣畑 彰久・愛徳学園中・高校教諭
対面とオンラインの両方を同時に対応するということで、行き届かない点があったかもしれません。
特に、画面の向こう側の方のサポートが十分できなかったことが悔やまれます。
しかし、今回のセミナーを通じて、少しでもシンキングツールの有用性、可能性、楽しさを感じてくださったら幸いです。
今回はICT機器を用いましたが、模造紙などでも活用できますので、今後シンキングツールが広がり、さまざまな活用事例の探究や情報交換ができればうれしいです。
米田 俊彦・愛徳学園中・高校教諭
これまで続けてきた新聞を使った授業を振り返り、「NIEにICTとシンキングツールを使った授業作り」として自分の体験から得たことについてまとめてみました。紙の新聞で授業を行う良さを踏まえつつも、デジタル化して新聞を扱うことで、一度に読み、考えることのできる記事が増えることや、自分の考えを共有しやすくなり、協働学習やプレゼンテーションがやりやすいことをお伝えしました。
さらにシンキングツールを用いて一つの記事を他の記事と比較・分類し、意味を考え、自分の意見をつくっていくと、考えようとしている対象とその操作が、「見える化」で試行錯誤や共有がしやすく、視野を広げ、考えを深めるのに有効なのではないかと体験をもとにお話ししました。
紙の新聞の持つ重さや手触り、においなどに加えて、多くの人が作り、届けているという実際に形のあるものとしての新聞の存在感を大切にしながら、双方の良いところを生かしつつ取り組んでいこうとあらためて思いました。
【参加者の感想】
中野 憲二・神港学園高校校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)
初めて参加させていただきました。
今回のセミナーの案内をいただいたときには日程が重なり参加できないと思っていました。オンラインで両校をつないだ開催のおかげで、職場で拝聴するという形で参加することができました。事務局の皆様、両校の先生方に心から感謝いたします。
時事通信社の丸山実子神戸総局長のご講演では、ご自身のキャリア形成にかかる選択の場面、記事の背景にある取材現場での戸惑いや機転の場面など、具体的な経験に基づいたキャリア教育の要素あふれるお話をお聞きすることができました。
神戸山手女子中・高等学校の近藤先生、愛徳学園中・高等学校の廣畑先生、米田先生のワークショップは、GIGAスクール構想の流れの中で悩む先生方にとって時宜を得た、実に実践的な研修でした。参加された先生方はおそらく、学校に戻って実践してみようと思われた発表だったに違いありません。発表の中で「情報交換できれば」という言葉がありましたが、情報交換による共有化が広がることは、NIEが広がり、授業改善も進むことにつながると思います。
「ICT初心者対象」というのは実に魅力的でした。私が所属する学校からも4人が自主的に申し込んで参加させていただきました。ありがとうございました。
阿部 和久・山形県NIE推進協議会会長
ICTを用いたNIEは編集力を鍛える。そうとしか思えなかった。神戸山手女子中高・近藤先生の発表を拝見しながら少しずつ気づいてはいた。それが確信に変わったのは、愛徳学園中高・米田先生による理論編、廣畑先生による体験編の時間を共有したからである。NIEは編集力を育てる、とは考えていた。しかし、ICTの力で何度でも試行し、容易に元の姿に戻し、詰まったら局面を変え、自らの思考を見える化していく授業ができる。やはり見える化された相手の思考と対話しつつ階段を一つ上ることができる。ドアを開き、知らないことを知った(体験した)セミナーだった。
伴 哲司・熊本県NIE推進協議会事務局次長(熊本日日新聞 読者・新聞学習センター次長)
新聞を読み、自身の思いや感想を言語化し、他者の考えと比較して視野を広げる授業が、ICTの活用でより充実したものになる。本セミナーに参加して確認することができた。
新学習指導要領は「主体的、対話的で深い学び」を掲げているが、その実践は始まったばかりだ。私もワークショップでロイロノートとシンキングツールを使い、生徒1人1人の考えを先生がタイムロスなく把握できるメリットを実感した。熊本でもぜひ今回の事例を紹介し、NIEでの活用を推し進めていきたい。
たくさんの感想をいただき、ありがとうございます。ほかの参加者の感想は こちら
2021年度のNIE兵庫セミナーが6月23日、神戸山手女子中学・高校(神戸市中央区諏訪山町)と愛徳学園中学・高校(同市垂水区歌敷山3)で開かれた。両校をオンラインでつなぎ、生徒約95人と教諭ら約90人が参加。新聞を活用した授業方法などを学んだ。
NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会が主催。愛徳学園では教員や生徒を対象に講演会があり、時事通信社神戸総局長の丸山実子さん(51)が記者の仕事を紹介。中国での海外特派員の経験を踏まえ、物事の本質をつかむために「多様性を理解すること、文化の違いを知ることが必要」と語った。
教育関係者が参加したワークショップでは、新聞を活用した授業について、同市の小中学校に導入予定のタブレットなどを使って、教室や自宅への配信を想定した事例が解説された。
姫路西高校の木岡智子教諭(42)は初めてセミナーに参加。「今までは紙に書いたり、話したりすることに重きを置いていた。実際にタブレットを使ってみて、思考を可視化しやすく、考えが深まりやすいと思った」と話していた。(丸山桃奈)=24日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面
[写真説明]時事通信社神戸総局長の丸山実子さんが海外特派員としての経験を話した講演会=神戸市垂水区歌敷山3、愛徳学園中学・高校
記者講演を聴講した、愛徳学園高校の苧阪(おさか)妃南乃さん(3年)は「他国の情報をリアルに伝える特派員の重要性を知った」、臼杵梨々菜さん(同)は「特派員として取材する怖さやチャレンジ精神を感じた。報道で救われる人がいることが心に響いた」と話した。
※「わたしの感想NIE」に記者講演を聴講した生徒のみなさんの感想を掲載しています。
教員らを対象にした「兵庫NIE(教育に新聞を)セミナー」が6月23日、神戸市中央区の神戸山手女子中・高等学校と同市垂水区の愛徳学園中・高等学校をオンラインでつないで開かれた。
講演では、時事通信社の丸山実子・神戸総局長が、中国・新疆ウイグル自治区を取材した体験を振り返り、「文化の多様性とは何かを考えさせられた」と話した。
実践例の紹介では、神戸山手女子中・高校の近藤隆郎教諭(53)が、生徒に投書欄を読んで考えをまとめさせるワークシートを披露。他人の意見を要約する作業などを通し、「主体的、対話的な学びが実現し、自分の世界の狭さにも気付くことができる」と利点を強調した=写真=。
セミナーに参加した神戸市立大沢中の藤田亜希子教諭(40)は「SDGs(持続可能な開発目標)の学習で新聞も活用し、発展させたい。実践例を参考にしたい」と話していた。=24日付読売新聞朝刊神戸・明石版
日本新聞協会NIEサイトにもNIE兵庫セミナーのリポートが掲載されています。リポートはこちら
2021年6月23日
2021年度NIEセミナー 挨拶
兵庫県NIE推進協議会会長 秋田久子
皆様こんにちは。会長の秋田久子です。今日は2年ぶりのセミナーです。たくさんのご参加を大変うれしく存じております。ありがとうございます。
本日のセミナーは、神戸山手女子中学校高等学校と愛徳学園中・高等学校の全面的なご支援を受けました。おかげさまで、参加者の皆様にタブレットを用いたNIE授業を体験していただけます。
また、好評をいただいております通信・新聞各社のご講演もございます。本日は時事通信社神戸総局長・丸山実子さまです。
盛りだくさんです。どうぞいっぱい、新しい空気を吸って持って帰ってください。
さて、昨年度は制限も受けましたが、実践校の皆さんのお力添えで、オンライン授業の特質と可能性を探ることができました。
オンライン授業では生徒個々人の「考えるための孤独」を確保でき、「考えの言語化」を促すことができるとわかりました。場の雰囲気に取り紛れないのです。
場の雰囲気を慮る心も大切です。一方で、目的に向かって事実を確かめつつ、考えを言葉で表現し共有して新しい視点を見出していく力をNIEで育てていきたいと考えています。
今日のセミナーを、その端緒を開くきっかけにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2021年度NIE兵庫セミナー 参加のお礼 6月23日、神戸山手女子中高校(神戸市中央区)と愛徳学園中高(同市垂水区)で開催し、両校をオンラインでつないで参加者に同時視聴いただいたり、Zoomでも公開したりしました。約90人に参加いただき、内訳は兵庫県内から教員やNIE関係者ら約70人、県外から山形から熊本まで約20人でした。時事通信神戸総局・丸山実子総局長の講演は愛徳学園の高1~3年生94人も聴講してくれました。ありがとうございました。
■神戸市立有馬小学校(6月17日、対象・6年生8人)、養父市立宿南小学校(6月18日、対象・5、6年生12人)、神戸市立淡河小学校(6月21日、対象・5、6年生9人)、淡路市立大町小学校(6月22日、対象・6年生16人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが、神戸新聞写真ニュースの今年1~6月号から気になる記事を選び、話し合って壁新聞を作る「まわしよみ新聞」の授業を行った。児童たちはトップ記事に何を選ぶか考え、思い思いの紙面を仕上げた。
※宿南小、淡河小が本年度、日本新聞協会のNIE実践指定校に内定
神戸新聞アドバイザーが講師に
新聞から気になる記事を選び、話し合って壁新聞を作る「まわしよみ新聞」の授業がこのほど、県内の小学校4校であった。児童たちはトップ記事に何を選ぶか、新聞のタイトルは何にするか考えながら思い思いの紙面を仕上げた。
神戸市北区の淡河(おうご)小で5、6年生9人、同市北区の有馬小で6年生8人、養父市八鹿町の宿南小で5、6年生12 人、淡路市の大町小で6年生16人が取り組んだ。淡河小と宿南小は本年度、日本新聞協会のNIE(教育に新聞を)実践指定校に内定している。
神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。各校とも児童たちが数人ずつの班に分かれて作業。神戸新聞写真ニュースの今年1~6月号の記事を模造紙に切り貼りし、感想を書きこんだ。
トップニュースは、探査機「はやぶさ2」からカプセルが帰還(昨年12月)や、淡路島に新種の恐竜化石(今年5月)を選んだ班が目立った。次号の写真ニュースについて、自分ならどんな紙面を作るかも考えた。
淡河小では6月21日に授業があった。衣笠翠さん(6年)は「自分たちで選んだ記事を切り抜き、新聞を作るのは面白い」、藤本楓さん(5年)は「新聞のレイアウトや新聞がどのようにできるかを教えてもらい、勉強になった」と話した。=23日付神戸新聞朝刊広域A版
[写真㊤]壁新聞を作る淡河小の児童たち=神戸市北区淡河町萩原
宿南小では6月18 日に授業があった。辻井結菜さん(5年)は「新聞作りは大変だった。よく考えて記事の感想を書いた」、小川彪牙(ひゅうが)君(6年)は「初めての体験だったけど、班で協力してやり遂げることができた」と話した。=24日付神戸新聞朝刊広域B版
[写真㊨]出来上がった新聞を紹介する宿南小の児童たち=養父市八鹿町宿南
[写真㊦]相談しながら新聞を作る有馬小の児童たち㊧と大町小の児童たち㊨
※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。
小規模校・複数校でオンライン授業、小中高一貫校・他学年と学び合う機会に
新聞を教材として活用するNIE(教育に新聞を)活動について、教員による自主的な研究グループが、兵庫県内に相次いで3つ誕生した。小規模校、小中高一貫教育を行う私立校など、学校の特性に合わせた実施計画を探り、より充実した内容を模索していく。
神戸市北区の市立淡河(おうご)小学校で5月中旬、「NIEで小規模校を繋(つな)ぐ研究チーム」の初会合が開かれた。同区の有馬小学校からオンライン参加した教諭もおり、5人で意見を交換。但馬や淡路を含め、児童数の少ない県内の学校をつないでオンライン授業をする▽各校でふるさとを取材し、その成果を共同で1枚の新聞にまとめ、発表する―など、充実した授業に向けて案を出し合った。
淡河小は児童数40人。児童数の少ない学校にとって複数校によるオンライン授業は、子どもたちが多様な意見を聞き、考えを深め合う貴重な機会になる。研究チーム世話人の藤岡絵美・淡河小教諭は「児童同士が刺激を受けながら、より主体的に自分の考えを表現し合える環境をつくりたい」と話す。
高校、中学校、小学校、幼稚園を運営する愛徳学園(神戸市垂水区)でも、小中高校の教諭らによる「NIE研究会」が発足した。小学校から高校まで、NIEによる学びを継続発展させることを目指す。
初会合には5人が参加し、「持続可能な開発目標(SDGs)」「マナー」「平和学習」など共通テーマを設けてNIE授業をする▽中高生が小学生に記事の内容を分かりやすく解説する▽学年別に取り組む内容を工夫する―などのアイデアが出た。同学園小の彦野周子教諭は「小中高全体で他学年と学び合う機会を設け、児童生徒が考えを深める機会にしたい」と語る。
神戸山手女子中学高校(神戸市中央区)の近藤隆郎教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)を世話人とする「NIE学校間連携研究会」も立ち上がった。兵庫県NIE推進協議会(事務局・神戸新聞社内)を拠点に、複数校で共通テーマによるNIE活動を実施し、地域や校種をこえた連携を進めていく。
県内にはこれまで、1991年4月に発足した明石市のNIE研究会と、昨年4月、特色ある取り組みに「NIEの実践」を掲げて開校した姫路市立豊富小中学校のNIE研究チームがあった。新たに3グループが誕生したことで、県内のNIE研究グループは5つに。さらに多様な展開が期待される。
三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(6月13日)
[写真㊤]NIEで小規模校を繋ぐ研究チーム」の初会合=5月18日、神戸市北区淡河町萩原、淡河小学校
[写真㊨]小中高校を通じた新聞活用について話し合った、愛徳学園のNIE研究会=5月19日、神戸市垂水区歌敷山3、愛徳学園
※日本新聞協会NIEサイト・各地の教員研究組織で、兵庫県内5つのNIE研究グループを紹介しています。
日本新聞協会は「第12回いっしょに読もう!新聞コンクール」の作品を募集している。興味を持った新聞記事を家族や友人と読み、感想や意見を専用の応募用紙に書き、あわせて記事の切り抜きも送る。
対象は小・中・高・高等専門学校生。記事は2020年9月9日~21年9月7日の新聞から選ぶ。個人賞と学校賞の各部門で校種別に審査、12月に結果を発表する。
応募要領・応募用紙は日本新聞協会NIEウェブサイトからダウンロードできる。兵庫県内の受け付けは、〒650-8571 神戸新聞社内、兵庫県NIE推進協議会「いっしょに読もう!新聞コンクール」係。9月8日必着。問い合わせは同協議会☎078・362・7054
GIGAスクール構想に対応した初心者向けタブレット体験ワークと、香港と北京での海外特派員の経験を踏まえた時事通信神戸総局長の記者授業があります。ぜひご参加ください。
裏面PDF版「参加申し込み」を開く 裏面Word版「参加申し込みFax用」を開く(開かないとき 右クリック→保存してから開く)西宮市立浜脇中学校は2019年度に「NIEノート」の活動を始め、21年度からは全校生徒(約800人)に拡大し取り組んでいます。NIEノートとは、生徒各自が選んだ新聞記事を貼り付け、感想を書き込むノートです。取り上げる記事は、政治、経済、スポーツ、科学、宇宙、環境など自由で、それぞれが興味を持った分野です。
生徒たちは毎週、記事を一つ選んでノートにまとめ、社会科の授業の冒頭に電子黒板上でプレゼンテーションします。20年度末に1人1台ずつ配布されたタブレットパソコンを活用する生徒も増えてきました。課題は週に記事一つを原則としていますが、自ら進んでたくさんの記事を調べたり、記事から発展させてより深い内容を調べたりする生徒も増えています。
生徒が選ぶ記事には次のような傾向がみられます。
全校生を通じて、コロナ禍の関連記事が多く選ばれています。「自分たちだけではなく、家族のためにも感染予防対策をしたい」との発表は、多くの生徒の思いでしょう。特に1年生は、コロナ禍の対策についての記事が目立ちました。
2年生は、社会科で学習した、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」に関連し、自然エネルギーや再生可能エネルギーの活用など「環境」をテーマにした発表をする生徒が増えています。「菅首相、2030年の温室効果ガス削減目標43%に」という記事では、「首相が大きな目標を立てるだけでは意味がなく、私たち一人一人が意識を高めて実際に行動していくことが大事」と発表していました。
3年生は、「地域の神社に吹奏楽の石碑が建てられた」「『カブトムシが夜行性ではなかった』という小学生の研究がアメリカの学会で発表された」など、自らの実生活や関心事について多様な発表がみられます。
特別支援学級では、「猫の多頭飼育問題」や「沖縄本土復帰49年続く基地負担」について、自分の興味のあるものを中心に調べています。
今後も、多面的・多角的に物事を判断できる生徒を育成する環境をつくっていきたいと思います。生徒一人一人が社会全体や世界の動きに対し、興味や関心を高め、主体的に考える力を身につける取り組みとして、NIEノートを続けていきたいと考えています。
渋谷 仁崇(西宮市立浜脇中学校教諭/日本新聞協会NIEアドバイザー)(6月8日)
[写真説明]NIEノートの内容を発表する生徒